第229話閑話 ルイス・マッケンジー

前世でサキを失った時の事は転生した今でも俺を時々苦しめる。




警察の遺体安置所でサキを見た時の荒れ狂った俺の感情。泣き崩れて立ち上がれなかったあの日。


もう生きている意味が無いと思ったあの日。辛くて苦しくて。




また失うんじゃないかって転生したのに不安になる。




本当にこう言う所、女々しいよなあ。






本選前日。


「親父、お袋!頼みがある!」


俺は金賞取れたら学生結婚させてくれ!と頭を下げた。


「ルイス・・・。まじか?仕方ねーなあ。」


「まあいつ結婚しても良いんだけどねぇ。」


呆れられながら2人は許可してくれた。絶対取れると信じて親の承諾サインも貰う。


「お前、本当に好きなんだなあ。」


「2人が幸せなら私は良いよ。でも、学校は卒業しろよ。」




絶対、避妊しろよ。とキツく言われた。勿論、そこはちゃんとします。






そして本選当日。




緊張はしているがルナリーが言うように観客の力って凄い。


俺もとても楽しくなってきた。




舞台に上がると拍手と歓声。おぉ!ファンだらけ!


黄色くない声援が俺に飛ぶ。うーん?何故か俺には男性ファンが多い。




ルナリーの歌はピアノを弾きながらでも凄く感動した。


身内を褒めすぎるのは好きでは無いのだが上手い!美しい!


こりゃ金賞取れたんじゃねーかなあ。




そして発表。


ルナリーの名前が呼ばれる。嬉し過ぎて言葉が出ない。ルナリーも狼狽えている。結局、言葉をかける事も出来ずにルナリーは表彰の舞台へ上がって行った。


「ルイス、良かったね!」


後ろからジェファーソンが声をかける。うん!めちゃくちゃ嬉しい!


「遂に正式婚約だねー!良かったなあ。」


クライスもジョージも一緒に喜んでくれる。ルナリー2位!うれしくて泣けてきた。


座席に戻って座ったルナリーに「俺の嫁!」と思わず抱き締めた。




嬉しい。とにかく嬉しい!


さあ、ルナリーの両親に結婚させて貰える様にお願いしなければ!


サプライズだからなあ。ルナリー驚くだろうな。でも、我儘何でも聞くと言ったから今度は俺の本気の我儘に付き合って貰おう!






ルナリーの両親は結婚を喜んでくれた。


婚姻届にサインをお願いする。




そこで思わぬ衝撃が。


軽い腹パンチ!


「先にプロポーズしろ!」とルナリーがちょっとキレた。


そして親父とお袋にも怒られる。暴走し過ぎたか。。




ちゃんと後でしようと思っていたんだが順番って大事なんだなと改めて思った。ルナリーには申し訳無い事をした。




役所に書類を提出し無事に結婚出来た。


幸せ過ぎる。




そして今日、朝からルナリーの家へ車で向かう。


学生の間はルナリーは通い婚にしようと決めた。週末とかだけ家に来る。


家に上がらせて貰いルナリーの両親へも挨拶する。


昨日の疲れからかルナリーはまだ部屋に居るらしい。


ルナリーの部屋へ向かう。


トントン!部屋をノックする。


「んー?あー。もうこんな時間かー。起きるよ。」


「入るぞー。」


ルイス、すまん寝てたとベッドで伸びをするルナリー。寝起きが可愛い。




「おはようー。急いで準備するよ。」




「おはよう!プロポーズしに来た!」


そう言ってデカい薔薇の花束を渡す。




「うわー!何本有るんだ?綺麗だなあ!」


ルナリーがびっくりして嬉しそうに薔薇の匂いを嗅ぐ。知らなかったけどルナリーは薔薇が好きらしい。




「幸せにする!結婚して下さい!」




ルナリーがうーん?と首を傾げる


「在り来りだなあー。どうしようかなあ?」


ルナリーが意地悪そうに笑う。


くそー!気に入らなかったか!




「えーとー!毎日、お前の味噌汁が食いたい!」




「この国でそんな無茶言うな!」


ルナリーが苦笑する。


まあ、確かに無茶だな。




「愛してます・・・・。」


本当に。心から。思い詰めると俺は言葉が上手く出ない。。




「私もルイスを幸せにする。もう早死にしないからさ。大丈夫。」


俺の気持ちを察してくれたのかルナリーがそう言った。




「俺と一緒にこの世界で長生きして下さい!!」


色んな思いが込み上げて来てしまって涙が溢れる。




「勿論!!ずっと一緒に生きていこ!」


ルナリーが抱き着いて来て俺の背中をポンポンと優しく叩く。




温かい体温の通う身体が凄く愛おしくて嬉しくて。


生きている君がただ傍に居ると言う事がこんなに幸せだと心から思った。




「泣きすぎだルイス。」


そう言うルナリーも泣いていてお互いに目が合って笑いが込み上げる。


優しくキスをする。続きは週末に取っておこう。




「何、ニヤニヤしてるんだよ?」


ルナリーが目を擦りながら笑う。




「週末が楽しみだなあと考えていた。」


正直に言うとゲゲっと言う顔をして朝から下ネタかよ!と笑った。


俺の言った意味が解ってくれて嬉しい。




「さあ、練習行くぞー!」


「んじゃ着替える。」


着替え見たいけど、、、下に降りるか。後ろ髪を引かれながらゆっくり出て行く。チラ見。




「アホ。エロ。」


突っ込みを入れられてしまった。はいはい降りますよーだ。




ルナリーの御両親にリビングで改めてご挨拶をして待たせて貰う。珈琲まで入れてもらって有難い。




制服に着替えたルナリーも席に付いて朝ご飯。


こう言うのも良いなー。何か庶民感が前世っぽい。




歯磨きして髪をポニーテールにしてきたルナリーがまた可愛い。




「おーし!行くぞー!」


「ぼちぼちコンサートの準備だよなあ。」


次は何の曲にするかと話しながら車に乗り込む。




さあ、今日も頑張るかー!

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