第224話卒業式
「卒業生代表答辞。3年声楽科ケビン・フォワード。」
本日はアリア学院卒業式。
壇上に会長が上がって行く。成績優秀な生徒が勿論、送辞と答辞は行う。
「本日は御来賓の皆様、保護者の皆様、ご臨席頂き誠にありがとうございます。」
そしてここで1曲披露。答辞と送辞に選ばれた生徒は学科に応じて演奏すると言うアリア学院ならでは。
ちなみに先程の送辞は王子がピアノを弾いた。
声楽科の生徒の場合アカペラになる。
会長の声はやはり綺麗だ。カウンターテノールの美声が会場に響く。『お前を讃える栄光のために』久しぶりに会長の声楽曲を聞いた。
歌い終わると拍手喝采。
その後に少し挨拶。
「ご清聴ありがとうございました。」
会長がお辞儀をし話を始める。
「僕は2年生の時にこれからの人生を共にする仲間と出会いました。最初の出会いは最悪でしたけど。」
そう言ってニヤっと笑う。キャサリンの断罪イベントの時だ。
最初は受け入れて貰えるか解らない音楽交流海外遠征では不安もありました。
しかし彼等は僕と共に国立教会のクリスマスミサコンサートに出演をしようと誘ってくれたのです。
「この国、いやこの世界に無い新しい音楽は僕にもそして礼拝者達にも感動を齎しました。」
そしてそのクリスマスミサコンサートをきっかけに僕は学年は1つ下ですが彼等と本当の友情を築いて行く事になりました。
その後、沢山、新曲を皆で作り毎月ミサコンサートを開催、ノネット・クライムとして本格的にデビュー。
1年間本当に1日1日が目まぐるしくとても充実していて本当に素晴らしかった。
「在校生の皆さん。本当の友達をこれからの人生を共にする仲間を作れると言う素晴らしい機会は沢山あります。庶民だから財閥だからと壁を作るのは損していると思います。今後のアリア学院の更なる発展を祈ります。」
会長は笑顔でお辞儀をした。
拍手と啜り泣く声が耐えない。
そして両隣のクライスとカインも号泣している。私も思い出し泣き中だが。
「会長、寂しいよぉ。」
「明日からも会えるけど寂しいー。」
号泣する2人の頭を撫でておこう。姐として。。
明日からも会えるんだけどな。何故かしらとても寂しい。
そうか。会長の制服姿って今日で最後なんだ。
出会いは本当に最悪だった。サイボーグってあだ名付けてごめんよ。
でも、最高に頼りになる。私の人生にもそして皆にも会長は無くてはならない人物だ。
卒業式が終わりその後終業式も終わった。明日から春休みとなる。
放課後、会長がなかなかレッスンルームに来ない。
多分、卒業生同士で盛り上がっているんだろう。
「会長まだかなあ。」
「おそーい!」
クライスとジョージが可愛く拗ねている。
ガラ、、ガラガラ。
「よいしょっと!!ごめん。めちゃくちゃ遅くなった!」
会長がレッスンルームの扉を足で開けながら声をかけた。
「わー!大丈夫?!」
思わず会長を支えに走った。両手いっぱいのプレゼントや花束。
鞄もパンパンに膨らんでいる。
「あー。ちょっと持ってくれたら助かる。」
皆で会長のプレゼントを持ちテーブルに置いてあげた。
「これでもうちの運転手に1回プレゼント貰ったやつ渡したんだ。その後貰ったやつでこれ。」
会長は人生で1番沢山プレゼント貰ったよと笑っていた。
「うーん。来年、僕らも同じ感じかな。」
「多分。」
「8人いるから分散するんじゃないかなー?」
多分、クライスが1番貰いそう。
「では、改めまして!会長!!」
卒業おめでとうございます!!!
レッスンルームでちょっとした卒業パーティーをする事にした。
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