第217話正月と言えば餅つきだー!


正月!毎年日本の正月が恋しくなる日だ。


だがしかし今年は城で餅が食べれる事になった。




プラゲ国と国交が開始され本日は城で餅つき大会を行う事になったのだ!


発案は大司教さんだと言う。食べたかったんだろうな。




「餅だ!テンション上がるな!」


迎えに来たルイスの単車に乗り込む。


「だよなあ。餅が食えるとはなあ。あっ親父達も来るぞ。」


グレンさん、ローズさんもそりゃ食べたいよね。




大司教さんは国交が締結されてからプラゲ国に電話して杵と臼と餅米を個人輸入したそうだ。




城へ着くと調度餅米を蒸し器で蒸している所だった。


「おはよう!」


「あっ、姐さんにルイス!!何か楽しそうだよね!」


クライスが駆け寄ってきた。


ボードウェン国って正月は何もしないもんなあ。明けましておめでとうございます的な親戚へ挨拶へ行ったりお年玉貰ったりも無いし。


大抵の財閥やお金持ち達はバカンスに行くらしいが今年は誰も行っていない。




「プラゲ国の餅だろ?楽しみだなあ。」


醤油があるからなー。絶対に美味いぞ!




大司教さんは厨房だと言うので挨拶に向かった。


「大司教さん!!おはようございます!」


蒸し器の前で大司教さんが笑顔で待っていた。




『明けましておめでとうございます。』


大司教さんがプラゲ語で御挨拶。


『明けましておめでとうございます!』


『明けましておめでとうございます!大司教さん!』


ルイスと私も新年の御挨拶。




「良いですよね。餅。雑煮も作りましょう。プラゲ国で少し習って詳しくは電話で聞いた事にしてますからね!」


大司教さんは耳打ちして来た。なるほど。


餅つきも出来るとは流石、ハイスペック営業マンだな。




「ルイスとグレンさんには手伝って貰いますよ。結構、杵が重いからね。」


ルイスは勿論了解と言った。




「その杵と臼は?」


と聞くと外のパーティーを行う広場に設置しているそうだ。厨房からは扉開けたら直ぐだ。蒸した餅米は熱いし直ぐに運ばないといけないからね。




餅つきなんて前世の小学校以来かもしれないなあ。


学校で保護者がやってたよ。懐かしい。


「外見てきますね!」


皆は外で待っているらしいので厨房の扉から外へ出る。




広場には茶会用のテーブルと椅子のセットが準備されていて調理用の長机もあった。


臼にはお湯が張られているし水の入ったボウルもある。捏ねる時に使う水だろう。




テーブルにはノネットメンバーと王様にお妃様に兄王子に兄婚約者、グレンさん、ローズさんが揃っていた。




「おはようございます!」


「おはようございます!」


ルイスと共に御挨拶。




「おお、ルイス、たすき掛けしな。」


やる気満々のグレンさんが袖をまくって、たすき掛けしている。


「了解。やっぱりこのくらいはしないとなあ。」




「ルイスも餅つきするんですね!」


王子が凄いワクワクした笑顔でルイスを眺めていた。


「力仕事だしなあ。」




「餅、捏ねるのは?」


尋ねるとローズさんが私がやるよと言っていた。




「僕もプラゲで習えば良かったなあ。」


王子には私達が寝た後で大人達は餅つきを習ったと言う話になっている様だ。上手く誤魔化したんだな。




「間もなく行きますよー!!」


厨房から大司教さんの大きな声がする。




「ちょっと手伝え!」


グレンさんとルイスが臼を倒して中のお湯を捨てている。


「温めておくんだなあ。」


それは知らなかった。




料理人達が蒸し上がった布で包んだ餅米を急いで持ってきた。


熱そうだ。


湯気がホクホクしている。




「えーと。先ずは杵で少しずつっと。」


グレンさんがコネコネと餅米をついていく。




大司教さんはつきあがった餅を捏ねる様のもち粉を皿に入れて持ってきた。


「良い感じですね。」


だんだん餅らしくなってきた。




「良し!つきますか!」


餅の様子を見て大司教さんが合図する。




「よいしょー!」「はい!」「よいしょー!」「はい!」


上手い。初めてだとは思えないコンビネーションでグレンさんとローズさんが餅をついていく。


皆も少しだけ離れた所から餅がつきあがるのを興味津々で眺めている。目がキラキラだ。




「ルイス交代してくれ!」


「了解ー!」


あー!疲れたー!とグレンさんが肩をグルグル回していた。




「いくぞー!」「良いわよ!」


今度は親子で餅つき。


ルイスとローズさんのコンビも上手い。


ペッタン、ペッタン、ペッタン!美味しく餅がつきあがる。




「ちょっと失礼。」


最後に大司教さんがチェックしてOKが出た。




料理人が長机の調理台に急いで餅を運ぶ。


「熱っ!!」


料理人も声が思わず盛れていた。




もち粉を付けて1人分ずつに丸めて貰う。




そしていよいよ餅を食う!!


砂糖醤油にして見ました。ふふふふ。


「うっまーーーい!!」


突き立て最高!伸びる!にゅーんと良く伸びる。




「わー!伸びるー。」


モグモグ。初めての突き立て餅に皆は驚きながら美味しいと言っている。


「喉に詰まらせないようになー。」


「確かに良く噛まないと。」


モグモグ。モグモグ。




美味い。幸せ。The正月!!


「ここまで来たらきな粉も欲しかった。」


会長が背後でボソッと呟く。


「きな粉って大豆よね。作れないかな?」


キャサリンもきな粉好きらしい。今度プラゲ国に電話で作り方聞いてみよう。




「さあ、プラゲ国の雑煮ですよ。」


大鍋を料理人が厨房から運んで来た。


餅を入れた器に雑煮を注ぐ。良い香りがする。




「いただきます!!」


おお!まさに日本の正月だ。


贅沢を言えばキリがないが蒲鉾が入っていたらもっと雑煮っぽいな。


味はなかなか。日本も地方に寄って味が違うけれどこれは関東風。キャサリンには申し訳無い。




「美味いなあ。」


「うん。しかし、突き立て餅って凄いな。」


ルイスの餅も良く伸びる。当時は殆どパックに入っていた硬い餅を焼いたり煮たりして食べていたのでこれは新鮮な感覚だ。


たまに近所からついた餅貰っても硬くなってたもんな。




「餅ってめちゃくちゃお腹にたまるねー。」


もう食べれないとクライス達はお腹を摩っている。




王様も王妃様達も堪能された様だし。アレクサンダー様もヴァイオレット様も満腹な様だ。




残りは料理人達にも食べて貰い餅つき大会は終了。




「これ定期的にやりたいですね。」


凄く楽しかったと王子が言っていた。




次までにきな粉、そして餡子!作り方を習おうと思った。




正月最高ー!

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