第206話無事に城に帰ってきました

城へ着くと客間へ通された。


しかし、疲れた。お腹空いたー!ぼちぼち晩御飯の時間だ。


「良かった!無事で!」


皆が笑顔で迎えてくれる。特にキャサリンが王子に良かったと手を取って微笑んでいた。




王様とお后様にアレクサンダー王子とヴァイオレット様もいらっしゃって報告を待っていらした。




王子は小麦の輸出はデルソリアに譲りましたと言った時は少し残念そうな顔をされていたが加工の話、それに寄って雇用が増える事、我が国は羊毛を輸出する事と話を進めると一言一言に頷いて感心していた。


「会長、ケビンが考えていた事なんです。社長業を継いだらやろうかと思っていらしたそうで。」


そう言うと王様は会長に笑顔で交渉に感謝していた。


そして最後にパンダの話をした。




「ジャイアントパンダ!!ジェファーソンそれは本当か?」


アレクサンダー王子は立ち上がって王子に詰め寄っている。


「本当ですよ。兄上。お詫びに2頭くれるそうです。」


「ついにジャイアントパンダが。。」


満面の笑みでアレクサンダー王子は感動されていた。


横でヴァイオレット様も嬉しそうに微笑んでいるし。




グレンさんが言うように本当に無事に丸く納まった。




皆もジャイアントパンダって図鑑で見た凄く可愛いやつですよね!とウキウキしているし。クライスもパンダの事で誘拐未遂事件なんて忘れて居るようだ。


「ジェファーソン、私、パンダ大好きです!」


キャサリンが嬉しそうに微笑むと王子も幸せそうに笑っていた。




「さて、ルナリー嬢よ毛糸だ。セーターとは何じゃ?」


光国さんは気になって仕方ない様で急かして来た。


王子がちょっと待ってくださいね。と部屋にセーターを取りに行った。夏目さんも知らなかったらしく興味津々だ。




王子が持ってきたセーターを光国さんと夏目さんに着せると2人は温かさに凄く感動されていた。


「はい!ルナリー!」


王子に笑顔で毛糸と棒針を渡される。はいはい。編みますよ。




「かぎ針が早いからそっちが良かった。」


そう言いながらクルクルと網目を作る。


で、棒針を1本抜きます。


「んでこの目を拾って編んでいくんですよ。」


そして今度は裏ですねー。




感心して見て居るが


「すまん!覚えられぬ!!」


「私もちょっと難しいかと。。」


1番簡単な編み方なのだが。仕方ないか。




「じゃあ、紡績の方をしたらどうですか?羊毛の状態で輸入して糸の要領で毛糸を作るんですよ。」


会長が提案する。色も染めてやると売れますよと言っていた。




「私は取り敢えず簡単に編めるように図に書きますね。まあ、色々と国が潤う様に試しましょ。」


光国さんも夏目さんも考えながら上手く行くように努めるかと言っている。毛糸への加工工場も見学する事になった。




絹や綿があるから直ぐに初められるだろうし。機織り機でもブランケットとかなら編めるよなあ。




「お食事の御用意が出来ました。」


執事が客間へ迎えに来たので晩御飯タイムとなった。


今日は暴れすぎてお腹空いた。




味噌汁が完成されている!お出汁はキノコだそうだ。


具はキノコや野菜で少し洋風だが味はしっかり味噌汁。


「美味い!!」


光国さんがキノコの味噌汁を感動している。


「ここの料理人は本当に素晴らしいですね。」


夏目さんも笑顔で啜っている。




「お肉が苦手だとの事でしたがこれは美味しいと思いますので是非。」


料理長が勧めたのは会長が提案して作った和風ハンバーグだった。醤油があるからこそ出来る逸品。




「じゃあ、いただきます。」


夏目さんがお箸で1口取って口に運ぶ。目が見開いてモグモグ。


「凄く美味しいです!柔らかいし味も良いし!光国殿も食べて見て下さい!」


これはご飯が進むと夢中になっている。


光国さんも


「何と!肉がこんなに美味いとは!!」


と感動を隠せない。




皆も初めての和風ハンバーグに美味しい!と言っているし。本当に良かった。私もハンバーグ大好きだ。




晩御飯の後は皆で雑談する中で地味に編み方と編み図の作成。


「セーターは初心者には難しいかもしれないなあ。」


編み目を減らしたり、裾や袖口はゴム編みが適しているし。




「プラゲ人は器用じゃから取り敢えず書いといてくれ!」


光国さんが言うのでまあ、納得。繊細な技術者と言えば日本人だよな。うんうん。




プラゲ国も綿や絹があるから糸紡ぎは出来そうだし。




「羊毛は洗ってブラッシングですよね?」


「あー。そうそう。」


何となく知ってるクライスとカインがそう話している。




「それにしても会長!凄かったですね!」


王子が会長の手を取り感謝しているようだ。




「うん。確かにケビンの話は納得したわ。」


光国さんが紅茶を飲みながらまったりと会長を見る。




「デルソリアの失業率の話は聞いた事ありましたし。失業率が上がると治安も悪くなるって悪循環。」


アイデアは大したこと無いですよ?と会長は笑っていた。




「流石!社長のご子息ですね!」


「ただの宝石商ですよ。」


と会長がちょっと照れている様だった。




編み図はこんな感じかなあ。


「縫い物だけじゃなくて編み物も得意なのね。」


キャサリンが背後から編み図を見ながら私も編めるかなあと言っている。


「クリスマスプレゼントに作るか?」


他に聞こえない様に囁くと大きく頷いていた。私もルイスに編もうかな。2人で今度編み物の約束をこっそりと交わした。

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