第185話コンサート2日目。それぞれの野望

コンサート2日目。何と朝刊にちょっと記事が載っていたのだ!それも絶賛されていた。


「新聞見た?!」


「見たよー!会場の皆が立って観賞すると言う異例の出来事。」


プッ!書かれてたなあ。


「こんな斬新なコンサートは初!!」


「そして最高の音楽だってねー!」




記者が聞きに来てたんだろうなあ。しかし、目出度い。






そう言うこともあり今日は最初から絶好調!


昨日より緊張もせずより楽しめた。




今日は昨日よりファン達が多く最初から盛り上がっていた。


そしてオールスタンディングも。






まさにアイドルの様な個人コールも沢山いただいた。


クライス、カイン、ジョージ、会長人気が凄い。






拍手喝采、アンコール、大声援の中コンサートは終了した。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




控え室に戻って


「本当にお疲れ様でした!!」


「コンサート成功!」


ハイタッチとハグで皆で労う。


「しかし明日から学校だよなー。きっつー!」




確かにと皆、頷く。


500人入場2日間達成だよ。




「コンサート大成功だよね!」


クライスが会長を見た。そうだ会長!




「うん。これからも宜しく御願いします!辞めない!これからもやる!」


会長が笑顔で宣言した。




1番の目標が達成された事で更に盛り上がった。




「良かったー!!会長が辞めたらどうしようかと思ってました!」


王子がめちゃくちゃ笑顔で会長の手を取ってブンブン振り回している。テンション高い。


「会長ー!これからもずっと一緒に頑張りましょうね!」


クライスとジョージにも言われて会長も嬉しそうだ。




会長の両親も認めてくれるだろうし。




今後も活動を頑張って行こう。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




楽器撤収、会場のお掃除も警護人達と共に行い市民ホールを後にする。




この国の良い所は執拗なファンが居ない事だ。1度イベントでストーカーはされたけれど。あれは特殊。




出待ちも居ないし。国立管弦楽団の方でさえ握手会以外の出待ち等はないらしい。マナーの良い国だとつくづく思う。




サインしたりする文化もないもんなあ。




プライバシーがしっかり守られている!!




だからデートも出来る。




という訳でコンサート後は各々自由行動とする事に決まった。


恐らくは王子が1番、ストレスが溜まってお疲れなのだろう。




「じゃ、明日学校で!」


「また明日!」




王子はキャサリンを城へ連れて行くみたいだし会長達もご飯に行く様だ。エミリアはブルーさんのお迎えの車で帰ると言っている。




「ルイスー!帰る?どっか行く?」


「ちょっと走らせるか!」


やった!久々にゆっくり話したかった。




ルイスの単車の後ろに乗り込む。




風が気持ちいい。まだ残暑もあるがだいぶ秋風になってきている。




着いたのは埠頭。


「良いね。海。」


「疲れたら自然を眺めると良いよなあ。」




海風が心地よい。座るか?


うんと頷きブロック塀に腰掛けて海を眺める。




「なあ。婚約、あと1年半後になっても良いか?」


ルイスの顔を見ると不思議そうな顔をしていた。


「なんで?自信ないのか?大丈夫だって!」




「クラシックの世界にも殴り込みをしたい!!」


「はぁー?!」


何言ってんだと言わんばかりに呆れられる。




この世界は新しい音楽が作られない。勿論、クラシックも。


過去の素晴らしい音楽達は確かに凄いし良い曲ばかりだと思う。




「新しいクラシックの声楽曲でコンクールに出たい。」


ルイスが頭を抱えてデカい溜息をついた。




「クラシックは前世ではあまり知らないけれど会長やキャサリンや大司教さんとかに聞いてさ!この世界の人が知らない声楽曲を歌いたいんだよ。」


下克上って言うのかな。こう言うのって。




「コンクールって新しい楽曲でも出られるのか?」


楽譜を提出する決まりにはなっているが禁止事項に入っていないのは確認済だ。一応、大丈夫か確認はするけれど。




「クラシック界に殴り込みかー。」


ルイスが再び大きな大きな溜息をつく。




「自分がめちゃくちゃ我儘な事を言っている自覚はある!だがしかし!ノネットの成功はきっとクラシックにも通じる!!だからチャレンジしたい。」


この世界を変える程大きい事をしたい訳じゃない。


でも、この世界に生まれ変わったんだから何かやりたい。




「ルイス。本音を聞かせて欲しい。」


見詰めると苦々しい顔をしている。




「言うとめちゃくちゃ引かれると思う。」


ルイスは堪えた様に横を向く。




「言ってくれ。引かないし!今更、引くか!」


反対したいって顔に出まくってる。




言うぞ!とルイスが此方を睨む。


「俺は!!正直言うと今すぐにでも役所に婚姻届を出してお前の苗字をマッケンジーに変えたい!!」




どストレートな直球にクラっと来たよ。




「ありがとう。嬉しい。。」




「うん!本当に直ぐにでも結婚して一緒に暮らしてお前を抱き潰す!!」




「抱き潰す、、。」


繰り返すな!!と言われた。言った本人も私も顔が赤い。


なかなかの爆弾発言だ。


流石に恥ずかしいぞルイス。




「最後のそれは置いといて。良く解った。」


なかなか普段、本音を言わないからなあ。




「全く、ルナリーの事になると女々しくなるんだよなあ。本当にそこんとこ自分でもムカつく。悪ぃと思ってる。」


何言ってんだとルイスの頭を撫でる。




「難易度が高い曲があればね。やりたいんだよ。でも、本当に難易度が高い歌が良いのか?」




前回、出だしは少し遅れた。でも後はきちんと歌えていたらしい。あの日前世の記憶再現中だったので自分の記憶は曖昧。


最高難度の曲で銀だもんなあ。




「私が本当に歌いたい曲じゃないと感動させられないんじゃないかなあ。例え簡単でも感情で審査委員を動かせないだろうか。」




感動するファン達を見て思った素直な気持ちだ。


ノネット・クライムのファンでは無い人も感動させられた。


だったら?




「ルナリーの言わんとする事は良く解った。」


今度はルイスが私の頭をポンポンと撫でる。




「俺にピアノ弾かせろ!」


「うん。まあ、弾けるもんな。」


一緒に頑張りたいんだ。そう言って私を見詰める。




「それと!一応、言っておく。何年でも待てる。」




「私、嫌な奴だよなあ。ルイスに甘えすぎだ。そこんとこは自覚症状ある。」


バーカ!!と言われ頭をぐちゃぐちゃにされた。




「王子との約束がルイスのストレスになってるんだよなあ。まあ、私もだけど。」




ルイスが肩を抱いて優しくキスをした。




「まー。そーなんだよな!我慢出来なくなったらジェファーソンには謝って!やる!!」


あはは!そーするかー!うん。それもアリだ。




この国のクラシックの歴史へ殴り込み!!それが私の野望。


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