第183話ゲネプロ
本日はゲネプロ。
実際に市民ホールで通しでやってみる。
観客と言うか審査員とも言える指揮者のスミスさんとピアニストのナタリーさん、国立管弦楽団のブルーさんと他数名。それに一応プロデューサーの大司教さんも呼んだ。
もう何から何まで初めてなのでバタバタするばかりだ。
「急がないとゲネプロ始まりますよ!」
「スミスさん達が来ちゃいますね!!!」
現在、ゲネプロのゲネプロ状態だ。
お金はかかるけれど本番前日も会場を借りて良かったと思う。
1番アホだった事は音響担当とか考えていなかった点。
後は当日の受付とか。照明とか。
各家庭の警護人やメイドさん達が大活躍する事になってしまい申し訳ない。
彼等はある意味プロ集団なので教えたら飲み込みは非常に早い。
「楽器設置OK!」
「浴衣準備OKでーす!」
「はい!マイクテストー!!」
「プラゲ楽器は此方に設置するよー。」
色んな声が飛び交いながらドタバタしている。
「すみません。クライス様、国立管弦楽団の皆様がいらっしゃいました。お通しして宜しいですか?」
クライスの家のメイドさんがホール内に呼び掛ける。
もう来られたか。15分前だもんなあ。
「お通しして下さい!」
クライスが叫んでいる。まあ、何とか始められる様にはなった。
「本日はお招きありがとうございます。」
国立管弦楽団の皆様が大きな花束を抱えて来て下さった。
「すみません。お呼びして。沢山ダメ出しして下さいね!」
王子が嬉しそうに花束を受け取りご挨拶をしていた。
スミスさんとナタリーさんも来られたので私もご挨拶に舞台下まで降りた。
「お久しぶりです。その節はお世話になりました。今日は宜しく御願いします!」
元気そうで良かったです。楽しみにしてますよ!とナタリーさんが笑顔でご挨拶。
スミスさんはそろそろ共演したいと思っていると仰っていた。
5分前には大司教さんも来て皆でご挨拶。
「ゲネプロなのに緊張して来ましたね。」
「最初の出だしが私だわ。選曲ミスったかしら。」
エミリアもキャサリンも大きく深呼吸して何とか落ち着こうとしている。
本番さながらに開演のブザーを鳴らし警護人の人がお席にお着き下さいとアナウンスをしている。
そして、ノネット・クライム登場。
国立管弦楽団と大司教さん合わせて10人のお客様だ。
でも、この国で1番厳しいお客様達だろうな。
「スミスさん、国立管弦楽団の皆様、大司教様、お越しいただきありがとうございます。本番同様に披露しますので悪かった点や良かった点など御指摘御願いします。」
王子が挨拶をしてゲネプロ開始。
照明は少し暗めでステージは明るく。
拍手がなりやみ演奏開始した。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
何とかゲネプロ終了。
「素直な意見を言いますね。めちゃくちゃ良かったです!」
スミスさんが笑顔で賞賛してくれた。
他の皆さんも感動したと言っている。特に後半のウケが良い。
「あの楽器がプラゲ国の物ですか?!」
管弦楽団の皆様はエミリアと同じ様な反応をしている。
吹きたい!弾きたいそんな感じだ。
「ちなみにどの曲が良かったですか?」
各々意見があったがJupiterと島唄が良かったと言う意見が多く最初と最後の曲の選曲がベストで良かった。
「個人的にはワダツミの木ですねー。ルナリーさん声の伸びが更に良くなりましたね。次のコンクールは金取れますよ!」
スミスさんに褒められるとテンションが上がる!そう。金賞ね。ぼちぼちそっちの練習もしないとなあ。
「私はひとりって曲が最高です!」
女性ウケはやはりピカイチ。
「意見を良いですか?」
大司教さんが手を挙げた。
「アンケートを取ったらどうでしょう?ロビーにテーブルとアンケート用紙とペンを置いて。コンサート後にどの曲が良かったか。感想等も自由に書いて貰うと今後の曲作りが楽になるかも知れません。」
「なるほど!それは良いですね!印刷して200枚くらい用意したら良いですかね。」
王子が頷き取り入れると言っている。
「アンコール曲も聞いて貰いませんか?」
ジョージがそう言うと皆様、是非聞きたいと言ってくれた。
《乾杯》を歌うと特に大司教さんが感動していた。好きな曲だった様でテンションが高い。
「コンサートの成功を祈りますよ!そして我等とも共演しましょうね!」
ブルーさんが笑顔で私達を見る。
「これはレコード販売しても売れるかもしれない!」
まさかの販売の提案。夢は広がるなあ。
国立管弦楽団と大司教さんに今日来ていただいたお礼を述べる。
ブルーさんとスミスさんは明日も見に来てくれるそうだ。
チケット購入ありがとうございます。
皆さんがが帰られてから円陣組んで気合い入れ!
「明日!成功させよう!」
「気合いだー!」
押忍!!!
いよいよ明日、本番。
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