第160話王族は大変だ
無理矢理、女官達に部屋に押し込められてしまった。
寝室はVIPルーム。広いし異国情緒溢れていて良い部屋だ。
って待て待てー!
「ごめん。キャサリン!何かこんな展開に!」
焦りながらキャサリンを見ると、既に顔を赤くして狼狽えているキャサリンが居た。
「えっと。どっ。どうしましょう?」
心の準備すら出来てない。じゃなかった。婚前に王族はダメです。王族にだけはちょっと厳しい気もするけど。一夫一妻制度で他に世継ぎを作らない様にって言う目的なんだけど。
ルイスとルナリーはそう言う関係なんだよな。だからー。ダメだって!
あーもー。落ち着け僕!!
「キャサリン。一旦落ち着こう。」
自分自身にも言い聞かせる。
キャサリンはこちらを見て頷いた。
「ジェファーソン。落ち着けないです。」
「僕も。実はそうなんだ。」
2人で見詰め合うと思わず笑ってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その頃の男子部屋。カイン、クライス、ジョージ、そして僕。
「さあ、どうなると思いますか?!」
カインがニヤっと笑った。
「王族ってダメですよね。」
クライスがしみじみと言った。
「確かに。うちの王様って音楽に寛容だけど性に関しては厳しいよね。」
僕もクライスの意見に頷く。
「性って会長!やらしい!」
ジョージ。可愛いって。
「助けに行こうかね。残念だけど。」
カインが本当に残念そうに言う。僕らもそろそろ王子を助けるかと立ち上がった。ボードウェン国の王族が結婚前にしちゃったなんてバレたらそりゃゴシップだ。
厳しいよなあ。気の毒でしかない。
部屋のドアを開けると同じ考えだったのかルナリー、エミリア、ルイスも居た。
「あっ。やっぱり助けに来たんだ。」
ルナリーが笑っている。
「もし、してたらどうする?」
ルイスの発言にルナリーがどついていた。ウケる。
トントン。ドアを叩く。
直ぐにドアは開いた。
「あー。皆!!良かった!」
本当に助かったと言う顔で2人が部屋に迎えてくれた。
「うわ!すげーVIPルーム!」
ルイスが中へ入って行く。
僕らも中へ入る。
「王族って待遇凄いね。」
ジェファーソンとキャサリンは苦笑い。
「部屋割りを変えようか?」
皆で頷く。
「ボードウェン国の王族って厳しいよなあ。」
「まあね。でも!ルイスがしてたから!ちょっと僕も自制心が揺らいだ。」
ジェファーソンは顔を赤くして照れている。その横でキャサリンも。
「うーん。俺が悪いな。すまん。」
「私も悪い。ごめん。」
ルイスとルナリーは平謝りで頭を下げていた。
もう正式婚約まで我慢します!と何か暴走族らしい変な誓いを立てているし。
そこまでしなくても良いのにと思う。
まあ、僕の衆道騒ぎも何かね。思春期の若者を刺激しちゃったんだよね。
部屋割りはVIPルームが勿体ないのでルイスの両親に移動して貰って。
女子3人は一緒の部屋と。
大司教さんとルイスと僕にするか前世組。
ジェファーソン、カイン、クライス、ジョージっと。ちょっとこのメンバーが羨ましいが。
大人しくそうしようと大人達に移動を御願いした。
「凄いね。VIPルーム使って良いのかい?」
「何か申し訳ないわ。」
ルイスの両親はすまなさそうに中に入って行った。
さてさて、後はゆっくり寝ましょうかね。
ルイスと大司教さんと同じ部屋ってのも不思議な感じ。
全く恋心が湧かない2人と同部屋ってのは僕としても助かる。
「何かウケましたねー。」
僕がそう言うとルイスも笑っている。
「大司教の私が居なかったらしてましたかね?」
大司教様はちょっと申し訳なさそうな顔をした。
「確かに大司教様が居たら王様に直通するって考えちゃいますよね。絶対言わないのに。」
ぷッ!大司教様は吹き出した。言う訳ないですよねと言いながら。
だよなあ。とルイスも言っている。
「ジェファーソン知らねーからなあ。仕方ない。」
解っててもジェファーソンはしなさそうだけど。
まあ、その話はこの辺で。
「僕、沖縄民謡系の歌をめっちゃ作る予定なんだよね。」
「あー。島唄とかですか?沢山良い曲ありますよねー。」
ルイスはルナリーと同じで流行りを知らない。
「良い曲なんだよ。ルナリーのソロ曲も考えてるんだ。」
と言うとルイスはそりゃ喜ぶぜと笑顔で言った。
「上手くこっちの言葉習ったりする感じで作れるといいんだけど。」
協力してくれるかい?と言うとルイスは当たり前だろー!と笑った。
「僕はS〇E〇Dが聞きたいです!」
「大司教様。。僕も好きですけどね。民謡じゃないでしょう。」
残念そうな顔をしている。
「ジェファーソンの亊の曲にも作詞付けなきゃな。」
「だよね。明日やろうか。」
気楽に会話をしながら今日の所は就寝。
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