第159話琉球の音楽
音楽は何処でも聞けると言っていたが本当に三線の音が聞こえて来た。
勿論、民家からだ。
「三線ですね。」
会長が言った。前言ってた図鑑のやつだね。と王子も納得していた。
「メロディーが独特でプラゲ国とは全然違う。」
「凄く良いー!」
私もこの音楽好きだ!ウキウキする!
「聞かせて貰えるか住民に聞いてきますよ。」
キャサリンが笑顔で私の手を引く。こういう時は女性の方が驚かれないですよーと調子の良い事を言っているが絶対、住民と話したいだけだろう。
民家の庭先から聞こえる音に惹かれてそっと入る。大丈夫なのかな。ちょっと不安。
キャサリンが庭で三線を弾くお婆さんと御家族?に向かって挨拶をした。
「ハイタイ《こんにちは》おばぁ・・・・・・]
キャサリンが何か喋ってるー!
「良かった通じた!」
「はい。大丈夫ですよ。どうぞ聞いて下さい。」
お婆さんと家族の方もバイリンガルの様でびっくりする。
『ちょっと田舎のおじぃ、おばぁと話すくらいクセが強いわ。何とか通じた感じ。』
と説明してくれた。でも、嬉しそうだ。
全員でゾロゾロと民家に押しかけたのに嫌な顔もせず三線を弾き歌う御家族。
会長とキャサリンの顔が満面の笑み過ぎる。
そしてテレビで見た事があるワンシーン!踊るのね。皆さん。
三線に合わせて踊る御家族。そして誘われる私達。
カチャーシーと言うらしい。
振り付けも何も解らないけれど見様見真似。
「楽しいです!」
「本当に!音と踊りが最高ー!」
皆、すっかりハマってしまった。
「キャサリン上手ですね!」
「そう?ありがとう!」
こう手が独特だよね。確かに音楽と踊り楽しい。
一頻り聞いて踊ってお茶まで御馳走になってしまった。皆さん優しい。
「民謡って何処で教えて貰えますか?」
と聞くとあの家とその家が上手いよと教えてくれた。
本当に至る所で聞けるのね。
「ある意味ボードウェン国と近いですね。音楽が生活に根付いてる。」
「確かに。」
皆も頷く。
三線で踊りまで教わった民家の方にお礼を言って次の民家へ。
キャサリンが交渉行きますねーと嬉しそうに中へ入って行った。
少しでも堪能出来ている様で私も嬉しい。
「さあ、ルナリー。民謡をしっかり覚えてくれよ!」
会長が張り切っている。頑張らねば。
ちょっと大きめの民家の方も笑顔で迎えてくれた。
「ボードウェン国は知らないねぇ。」
と言いながらも迎えてくれる優しさが凄い。
琉球民謡。会長は先の日本では流行ると言っていたが私は殆ど初めて聞く。
独特の歌い回し。演歌のコブシとも違うな。
喉を使う様なビブラート。
歌詞が解らないが是非歌いたいと思える。
「素晴らしいー!」
聴き終わると会長が率先して絶賛していた。
勿論、皆も。大司教さんやグレンさん、ローズさんも凄く気に入ってくれている。
「次のコンサートは是非!島唄を御願いしますよ!」
大司教さんも解ってるな。そうする予定です。
声楽科の私達とキャサリンは民謡を習い、王子達は三線を習う。
全くの初対面でしかも民家の方なのにとても親切に教えてくれた。発声の基礎は出来た。
丁寧にお礼をして別れを告げる。
「また来られて下さいね。」
そう言われると嬉しくなる。
まだまだ滞在したかったが風がだいぶ強くなって来たので首里城に戻る事にした。
「音楽に接すると言葉も覚えそうですね?」
夏目さんに言われると確かにそんな気がしてきた。
守礼門をくぐり抜け御殿へ向かう途中で綺麗な衣装に身を包み太鼓を奏ている光景が見えた。
「すっごい!!」
思わず近寄って行くとエイサーと言うらしい。
「これも習いたいですね。本当にやる事多いな。」
王子やる気に火がついた感じがする。
夕食後寛いでいると寝所に御案内します。と女官達がやって来た。
部屋割りがおかしいぞ。。
王子とキャサリンが一部屋へ通された。王子と奥様と言う勘違いからだろうか。。
「あの、同じ部屋ですか?」
王子が慌てて聞いていたが婚約者様ですよね。と笑顔で部屋に通されてしまった。
「ありゃ。これはどうなるか楽しみだな。」
カインが悪そうな顔をしている。
私はルイスと同じ部屋では無くエミリアとローズさん。女子部屋?
ルイス、グレンさん、大司教さんで一部屋。
カイン、クライス、ジョージ、会長で一部屋。
と何だか変わった部屋割りだ。
王子とキャサリンはこのままの部屋割りで行くのかなあ。
王族ってダメだったよなあ。確か凄く厳しい。大丈夫かな。
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