第130話突然の来賓者


日本語(プラゲ語)って改めて難しいと思う。




6月も下旬となりプラゲ国行きも1ヶ月を切った。


会長が図書館で見つけた辞書がかなり役に立ち皆が覚えた単語も増えた。


しかし、何時代なのか以前不明。




そんな時にパルドデア共和国の計らいでプラゲ国から言葉を教えてくれる使者が参られたとの連絡が入った。




「パルドデアがここまでしてくれるとはね。本当に助かった。」


王子が安堵した様な声を出す。


滞在日数はボードウェンには2~3日らしいんだけどね。でも生の発音を聞けるのは良いよね。と言う訳で!今からパルドデア大使館に御迎えに行きましょう。




今日は金曜日でまだ授業もあるのだが。。


半ば強引に早退、そして金、土、日とボードウェン城にお泊まりと言う事に決定した。




「相変わらず行動したら止まらねーなあ。」


私の意見に皆、笑いながら王子に着いていく。


流石に学校のバスは借りれなかったので各家庭の自家用車に乗り合わせてパルドデア大使館には向かった。




パルドデア大使館は勿論、初だ。大使館は洋館でボードウェン国の建物の造りとあまり変わらない。


大使館と言えば治外法権。普通の高校生が入れる所では無い。




王子と警護人を先頭に大使館に入る。中はヨーロッパのどっかの国っぽい感じだ。




パルドデア共和国大使と大使館職員が迎えてくれた。




「ジェファーソン王子、良くいらっしゃいました。」


大使が一礼する。


「大使、この度はこの様な計らいありがとうございます。」


王子も深々と頭を下げた。




「調度、貿易でパルドデアにいらっしゃっておりましたのでお誘いしてみたのです。」


大使は笑顔で大使館の客室へ案内してくれた。




迎賓館か。豪華で煌びやかな客室だった。


飾ってある美術品も高そう。




結婚式場の様な丸いテーブルが数席ありその1つに2人の男性と周りに護衛の方っぽい人が4人立っていた。




此方に気づいた2人の男性が立ち上がる。


2人共、年齢は私達と同じくらいに見える。若者だ。




1人は着物。如何にも高そうな羽織り袴姿。武士だ!!


もう1人の男性はスーツ姿だった。




武士がプラゲ国の方でもう1人はパルドデアの方?何だろうなと思っていたが。




2人の男性は比較的流暢な英語で自己紹介をして来た。




「初めまして。プラゲ国より使者として参ったミツクニ・トクガワです。」


着物の男性の自己紹介に???。あれ?知ってるぞ。




「こんにちは。初めまして。私の名前はキンノスケ・ナツメです。プラゲ国より参りました。」


ナツメ?夏目。。うん。




王子が笑顔で2人と挨拶を交わしてる最中。




会長にルイスと私は制服をグイッと引っ張られ後ろに下がらせられた。


「おい!何で徳川光圀と夏目漱石なんだよ!!」


小声の怒鳴り声。


「キンノスケって言ったぞ?」


「夏目漱石の本名だよ!」


何で同じ時代に生きてんだ?江戸時代と明治時代の人だよね。


暴走族でも知ってますよ。


私達のコソコソ話にキャサリンもそっと近付いて来た。


「水戸黄門と吾輩は猫であるの人よね?」


キャサリンが囁く。うんうん。大きく頷く。


別人?名前だけ同じ?




「プラゲの製作者の趣味かな?」


「有り得るね。」


会長とキャサリンはゲーム製作者の趣味だと言っている。


やはりこの世界は私達が知っている世界では無く異世界なんだと強引に実感させられた感がある。


「滞在中に光圀さん、いや、まだ光国さんかな年齢的に。あと金之助さんの事は本人に探り入れるわ。」


会長はそこそこ歴史の知識があるらしくそう言ってくれた。




皆が自己紹介を始めたので私達も傍に行き徳川さんと夏目さんに自己紹介をした。


英語が通じるのは助かる。


「トクガワさんは17歳、ナツメさんは18歳だそうです。」




年齢と時代設定的に可笑しいだろ?!と突っ込みを入れたくなったが笑顔で乗り切った。




トクガワさんとナツメさんは王子の車に乗りボードウェン城に向かった。車に乗るのに躊躇無く見えたのでパルドデアで乗りなれてるのかプラゲ国にも車があるのか。気になる所だ。


私達は1度着替えを取りに自宅へ帰ってから城へ向かった。

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