第129話プラゲ語(日本語)のお勉強
「姐さんは勉強して来た?」
レッスンルームへ向かう廊下でカインが不安そうに尋ねて来た。
「ああ。全部読んだー!」
えー!凄い!とクライスが驚きの声を上げる。
そりゃ難しいよな。
「大丈夫だって。私も全然だよ!」
と誤魔化しておいた。
レッスンルームの扉をガラッと開けると
『こっ。こんにちは。せっ拙者はボードウェン・ジェファーソンともう?申す!』
「凄い!ジェファーソン!挨拶だー!」
クライスとカインが褒める中で私は必死で笑いを堪えた。。
あっ。会長も耐えてる。
王子、一人称は拙者を選んだか。
変えて欲しい。
「どうする?まさかの拙者だわ。」
キャサリンが横に来てそっと耳打ちして来た。
「笑えるから変えさせようよ。」
そうよね。結構、ジェファーソン勉強してるのよーと困り顔だ。
その後、ジョージ、エミリア、ルイスと来たが皆に王子はプラゲ語で自己紹介をしていた。
『拙者、齢16。ボードウェン国の殿である。』
すげー。単語で応用している。
でも、ちょっと違うよなあ。
「えっとねー。ジェファーソン。英語訳のプラゲ語の辞書を図書館で見つけたんだけど。」
会長がペラペラと辞書を捲る。抜かり無し会長!!
「拙者はもう少し階級が低い人が使うみたいだよ。王子なら余かな。」
「会長!凄い!辞書あったんだ見せて!」
王子は目をキラキラさせて会長の辞書を受け取る。
「本当だ。一人称にも使う階級があるのか。王族は余が一般的か。通常は私が無難って書いてあるね。折角気に入ったのに。」
残念そうな顔をしている。
「後ね。王は将軍ですね。」
「しょーぐん?」
会長が辞書を捲り見せている。
上手く誘導していて自然に調べて知っている感が出ている。
「で、繋ぎ合わせて自己紹介文を作ると、、。」
『余はボードウェン国の世継。ボードウェン・ジェファーソンと申す』
かな?と会長が笑顔で言った。
「よつぎ?って何ですか?」
「ああ。えっとね跡継ぎとか子息って意味だよ。」
皆、なるほどと頷き。冊子を一生懸命、音読している。
『オハヨーゴザ?ィマス。 』
難しいだろうなあ。何とか聞き取れる。
そうだよなあ。実際、日本語って平仮名、カタカナ、漢字、英字に加えて言葉は直ぐに短縮したがるし。方言がかなりある。
英語が伝わっていると言う事は私達が知っている江戸時代では無いのだろう。
ボードウェン国の文化を考えたら侍が居る明治か大正時代くらいなのかな?
武士言葉と現代語が混ざった冊子を眺めながら本当に訳分からんと思う。
皆が練習する中でぼーっと考え事をしているとルイスに後ろから小突かれた。
「真面目に練習しないとバレるぞ!」
「はーい。考え事してた、文化レベルとか気になるじゃん?それに言葉がごちゃごちゃ過ぎる。」
だよなー。と言いながらルイスと自己紹介の練習をするフリを続けた。
『私はか?買います。2つのまんじゅー。』
あれ?何か変だなあ。会長が思った所でカインが躓いていた。
『私は買えますか?』
じゃないの?とクライス。
違うんだ。。やはり難しい。
しかし、手を出してしまうとバレる。
こう言う時に普段が真面目じゃないと困るんだなあ。
私は音楽以外の成績が皆より悪い。。
「ルナリー聞いてー!自己紹介するね!」
エミリアが覚えたぞ!と言う顔で此方を此方を見た。
「うん!聞くよ!」
エミリアは自信満々に
『儂はブラウン・エミリアと申す!よろしゅうお頼もうしまする!』
と言った。どう突っ込もうかと焦っていると、
「エミリア、女性は儂は使わない。」
と会長が冷静に突っ込みを入れてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます