第125話6月コンサート


ドタバタと作詞を行い会長は必死で作曲を行いオリジナル曲を完成させた。


来月は歌謡曲で行きたい所だ。サマーバケーションはアップテンポなアイドル風の曲になった。


あれからも交換日記は継続させている。そのうち良い感じに文章が書ける様になると良いなあ。






さて、今日はもう6月の教会コンサートの日なのである。


1ヶ月経つのが早い。




礼拝堂の控え室に集合。


「おはよー!」


「夏服になりましたよ!」


そうか。夏のセーラー服も作ったんだな。


エミリアは早速着替えて居た。男は普通過ぎる。。とカインが水色のシャツに何とも言えない顔をしている。


「変ではないけど地味だなあ。」


誰にでも似合うんだろうけど。ルイスだけは自然と受け入れていた。




「前回よりちょっと斬新だし僕が主旋律か。。」


会長が少しだけ緊張気味で表情が強ばっている。


「大丈夫ですよ。練習いっぱいしましたし!」


ジョージの励ましで笑顔を見せた。効果絶大。




礼拝堂を覗くと満員御礼だった。入り口から覗く礼拝者まで居る。こりゃ立ち見客が出るぞ。




少し緊張するなあ。




礼拝終了しましたよ。とジェファーソンが聞き耳を立てていた。


前回の様に大司教さんが紹介をしている。


この前より礼拝者は明らかに増えていて少し興奮した様な紹介だ。




私達が控え室の扉を開けて登場するとそれはアイドルのコンサートの様に歓声が上がった。




主旋律の会長を中心に並び一礼する。




「本日も礼拝にお越しいただきありがとうございます。ノネット・クライム6月のコンサートを開催致します。」


王子の挨拶と共に拍手が起きた。期待されてんな。




今回はギターがないのでチェロとヴァイオリンでピチカート、それにピアノで演奏する。少し物足りないが歌でカバーする。




「本日の楽曲は宇宙のファンタジーです。」




そう言って会長が私達へ目配せをする。




会長の澄んだ歌声が礼拝堂に広がる。私達もハモっていく。


この曲やっぱ良い曲だ。


そう言えばドラムも無いなと歌いながら思った。代わりにスネア使えば良かったとちょっと後悔。




礼拝者の顔が生き生きとしている。


特にルイスの両親がノリノリに見える。やっぱ知ってるよなこの曲。


「Our voices will ring forever,as one!!」


会長の高音が響き渡った。




私達も負けずにハモる。身体が自然と動くんだよね。


直立不動で歌う時代を変えて行きたいな。




終わってお辞儀をする。




ブラボー!!!


1人の大声の後に拍手喝采が起こった。今回も無事成功した様だ。


「ありがとうございました!」


王子が軽く挨拶をするとまた大きな喝采が起こる。




アンコール!アンコール!アンコール!


まさかのアンコールが起こった。




「げっ!どうする?」


何も考えていなかった。




「友情!歌いましょうよ!」


キャサリンが決意したように訴えた。あー。去年の王子の誕生日で歌ったやつだ。アリラブの友情エンドの曲だったよな?


会長、歌えるに決まってるね。


王子も覚えていた様で全員で並んで歌う事になった。




案外振り付けも覚えているもので咄嗟にしては可愛く歌えたと思う。


歌い終わると再び拍手喝采を受けた。


これ以上のアンコールは無理だと判断しコールが起こる前に控え室に退散した。




控え室に入っても拍手と歓声と感想を語り合う話し声は暫く収まらなかった。


「アンコールは考えていませんでしたね。」


クライスが笑いながら会長とカインとハイタッチをしていた。




「これから2曲は考えなきゃダメですかね?」


「きついよなあ。」




礼拝者が帰ったのを確認して礼拝堂へ出る。


皆の両親達は嬉しそうに私達を迎えてくれた。




元々の繋がりもあったのだろうけれどこの機会に両親達も仲良くなったようで井戸端会議の様になっていた。




大司教さんが次からはうちの両親とエミリアの両親も参加する様に提案してくれた。庶民なので大丈夫なのだろうか?と尋ねたがもう大丈夫だろうと他の御両親も言ってくれてとても有難い話だ。


特にルイスの両親はうちの親に会いたがっている。


まだ両家顔合わせはしてないからなあ。






両親達が笑顔で帰って行った後に大司教さんが徐に話を始めた。

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