第95話本戦。まあ、こう言う事もある。。
音楽コンクール本戦。
エントリーナンバー52番の私はラストだ。
全員のを聞いた後って歌いやすい様な歌いにくい様な。
皆、上手くても戦意を喪失しない事。それだけ。
主人公だから大丈夫とキャサリンと会長は言うけれど努力してるんだけどねー。やべー。これ緊張でおかしな方向に行ってる。
パン!!自分の頬を叩く。よし!
左手も殆ど治ったし!良い叩き具合だ。まだ無理は出来ないけどね。
控え室で緊張をほぐす様にシャドーボクシングをしているとナタリーさんが入ってきた。
気まずい。笑って誤魔化す。
「ルナリーって面白い子よねえ。」
うふふっと微笑まれ恥ずかしくなってしまった。
「緊張してるんすよ。」
そう言うと私もよ。っと言われた。ナタリーさんでも緊張するんだなあ。
身体も温まったし!いざ戦場へ!!
「気合い上等!」
もう気にせず叫んでしまう。
舞台へ呼ばれ上がる。
今日は観客が沢山だ。大きく深呼吸。
「エントリーナンバー52番、ルナリー・ウェールズさんです。」
アナウンスが聞こえる。
会場から拍手が起こる。真ん中の良い位置に座った皆の姿が直ぐに解った。
良し、皆へ向かって歌おう。
応援してくれてありがとう。頑張る!
舞台の中央へ来て立つ。
その時、前世の記憶が戻り脳内を汚染し始めた。
今。。かよ。。
待って。前奏が聞こえる。
歌わないと。
歌わないと!!!
半拍出遅れた。
それからはきちんと歌えたと思う。
多分、歌えたと思う。
歌い終わって拍手を浴びる。実感ほぼ無い。
前世の記憶は懐かしい物だった。でも、こんな時にか。
舞台から降りナタリーさんにごめん。と謝った。
「ミスは出だしね。緊張したのね。でも後から取り戻せたと思う。」
そう言われた。
審査が終わるまで皆の元へ向かった。
「ルナリーお疲れ様」
温かく迎えてくれる仲間の言葉が少し苦しかった。
「すみません。ミスしました。」
スミスさんに頭を下げる。
「半拍遅れたね。初出場にしては良くやった。」
私は再び頭を下げた。
審査結果が発表された。
6位入賞。
銀賞のトップだった。
5位までなんだよね。金賞って。
人生なかなか上手く行かないもんだな。
発表が終わって足取り重く皆の元へ。
ルイスが近づいて来た。
「ルイス。ごめん。」
目が合わせられず下を向いたまま告げた。
「国内で6位!俺はすげーと思うけど?」
ピシッとデコピンを食らった。
「いてっ!」
思わず顔を上げる。
「バカか。1回でクリア出来る程、甘くねーよ!何年でも待つから。」
ぐぅ。堪えていた涙が溢れる。
「無茶苦茶悔しいー!!!」
ダメだったけど。スミスさんからは褒められた。
国立音楽コンクールで金賞と言うのは本当に難関。
6位と言う成績は誇って良いと。
「惜しかった!悔しい!だけど!凄いから!!」
キャサリンが一生懸命訴えてくる。
「姐さん、本当に誇って良いんですよ。国内6位のソプラノ歌手なんだから。」
カインの言葉も心に染みる。
「だけど!婚約したかったんだー!!クソったれー!」
感情の赴くままに叫ぶと少しスッキリした。
「あははは。ルナリーは正直だね!でも、大丈夫。少しは思い届いてると思うよ。ルイスの両親来てたもん。」
王子がしらっと言った。
嘘!?まじか?!
ルイスも知らなかった様で私は更に悔しさが増したと同時に気にしてくれてたのかとも思った。
本当、緊張しすぎと危機的状況は記憶が戻るから嬉しい反面こう言う事態を招く。鋼のメンタルを身につけよ。
また来年!今度こそ!!
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