第79話二学期合同練習①
2月合同練習1回目。
学校集合でバスで向かう。練習は順調でオケと合わせても大丈夫な状態となってきていると思う。
しかしソロパートのカインとクライスは朝から緊張しまくっていて顔が超絶真面目だ。
あれから事件は起きていない。
音楽ホールに到着。気持ちはいざ戦場へ!と言う感じだ。
舞台で練習かと思っていたが練習場はホール内に別の部屋であった。練習部屋は王子の誕生日パーティーが開かれた城の客間程あった。
楽団員全員入っても余裕だ。
舞台で歌うより緊張は少ないなあ。
「本日は宜しく御願い致します」
王子が代表して挨拶をし私達も宜しく御願いしますと一礼する。
楽団員が配置に着いている前に私達は整列する。
「1度歌を聞いて見たいので通しましょう」
指揮者のスミスさんがそう言って指揮棒を手に取る。
ふぅー。カインとクライスは大きく深呼吸していた。
指揮が振られ演奏が開始される。背後からの管弦楽は想像より壮大で迫力があった。
今日はマイクがない。
カインのソロパート。良く声は出ているがインパクトが後ろの楽団に負けている。
私達の合唱を数小節の後クライスのソロ。伸びがあって良いな。
その後は合唱!
もうひたすら歌うしかない。演奏も盛り上がる。ソプラノとテノール、メゾソプラノで引っ張る。
音合わせ終了。50点てのが自分なりの採点だ。
「うーん。そうですね。印象としては今後行ける様になると思いました。今は必死さが際立って美しさが無いです。」
スミスさんは考えながら指揮台に指揮棒をタン、タンと打ち付けながら話している。
「オケはもっとダメですね」
視線を楽団員に移し冷たい目でそう言った。
スミスさんは特にホルンやトランペットなどの管楽器に指示を細かく出している。
「アリア学院は少し休憩。はい。第一小節から行きます」
指揮棒を掲げ出だしからの演奏を数回。
厳しいー!!プロの世界と言う感じがヒシヒシと伝わる。
その間は楽団員の観察をする事が出来た。この前の視線の様な男。練習中にはボロは出さないかな。
ようやくバリトンソロまでの部分でスミスさんのOKが出た。
「はい、バリトンソロ!加わって下さい」
カインが呼ばれる。
カインも出だし1発目から何度もダメ出しをされ午前中の練習はほぼカインパートで終わった。
「13時30分まで休憩」
スミスさんがそう言って解散となった。
カインは凄く疲れた顔をしている。
皆で労いながらロビーに出てお昼ご飯を摂ることにした。
各家庭のお昼ご飯は具沢山サンドイッチでそれぞれのシェフ達の個性が出ていた。
「キャサリンとこのめっちゃ美味そうー。くれー!」
私がBLTの美味そうなキャサリンのサンドイッチを物欲しそうに、眺める。キャサリンは笑いながら1つ交換してくれた。
「ベーコンうまぁー!」
「ルナリーのとこのも美味しいわよ」
「しかし、楽団の練習は凄いですね!カインの声がどんどん伸びでますよ。」
王子が感心したように言った。私達も頷く。スミスさんの指示は本当に的確だ。
「次は僕の番だよね」
クライスが項垂れる。午後はそうなるだろうな。
「お疲れ様」
男性奏者6人、女性奏者2人が私達の元にやって来た。
その中にブルーさんが居た。
「先生の練習、きついでしょ?頑張って慣れてね!」
女性奏者マリーさんが笑顔で声を掛けてくれた。
「頑張ります!!」
クライスが笑顔で答えた。
エミリアの想い人、アレックスさん含むザックさん、マリーさん、アーリーさん、マイケルさん、ジェフリーさん、アーリオさん、トミーさん、の8人はとても仲良しと言った感じだった。
私達を労ってくれてとても優しい。
「ブラウンさん頑張ってね!」
最後に彼に声をかけられエミリアの顔が赤くなった。
「ありがとうございます」
とても嬉しそうで幸せそうだ。
アレックス・ブルーさんは犯人では無さそうだなあ。優しそうな人だったし。今、声をかけてくれた他の男性奏者にも悪い印象は無かった。
間もなく午後練が始まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます