第56話練習2日目。そして。。
「今日の練習頑張るぞー!」
昨日の恋話で何か吹っ切れた気がする!
「朝から元気ですねー」
王子が笑顔で席に座る。朝ご飯は夏野菜たっぷりカレー!
テンションが上がる。米に感謝だ。
「ルイス!カレーだよー!」
隣に来たルイスも感動していた。話はしてないがキャサリンの顔も嬉しそうで米に感動していると思う。
朝食後は制服に着替えて教会へ向かう。
「今日も宜しく御願いします!」
明日には帰る。今日中に何か掴めたら良いなと思う。
それぞれのパートに加えて貰って教えて貰う。
「声帯をもっと開くように意識して」
大学生のお姉さん達が優しい。
「やっぱり筋肉の使い方ですかね」
高音がしっかりしてきた気がする。あまり黒人霊歌的な癖を付けすぎても良くないのかもしれないが迫力のある高音と言うのは将来的にも良い武器になるだろう。
他の皆も繊細さに力強さが加わって来ている。
お昼ご飯の後は通しで合唱を行った。
一緒に並んで歌うとまた周りの迫力に圧倒される。
昨日、楽譜を渡したのに完成度が高い。
部長さんが指揮をしてくれているのだが指示が的確でどんどん上手くなる。
何度目かの合わせの後だった。
来た!これだ!
合唱の醍醐味の一体感。各パートが1つになる。
歌い終わった時、部長さんが拍手をくれた。
「素晴らしいよ!アリア学院の皆!」
大学生の皆と握手やハグで感動を分かち合う。
「2日間御指導頂きありがとうございました。」
生徒会長がお礼と別れの挨拶を述べる。
本当に有意義な時間だった。
私達も大学生の皆さんと別れを惜しんで挨拶を交わす。
また機会があれば一緒に歌いたい。
その挨拶の最中だった。
私とエミリアとキャサリンの元に3人の大学生男性が声をかけてきた。
「凄く楽しい練習だったよ!」
「本当ですよね!」
「君達の声、素晴らしかった!」
「もう少し練習出来たら良かったのに」
「それは思います!」
本当、あと何日か滞在したかった。
「良かったら今夜、練習しないかい?」
「城まで迎えに行くよ!3人で出てきなよ」
練習かあ。確かにもう少し歌ったらもっと上手くなるかも。
キャサリンもエミリアも誘われているし。
「どうしようか?」
「どうしましょ?」
「悩みますねえ」
「出て来なよ!もっと上手くなるって!」
何だか善意を無下に断るのも失礼だよなあ。
愛想笑いを3人とも浮かべながら悩んでいると
「ね!出て来てよ!俺達と熱い夜を過ごそう!」
ん?
何か違うんじゃねーか?
あれ?
何か強引に話が。。。纏まろうとしている。
これはナンパか!!!そう気付いた時は遅かった。
「あっあの。そう言うのはちょっと困りますー」
私は穏便に済ませようとやんわりと断る。
「えー。そう言わないでさ!ルナリー!キャサリン!エミリア!」
名前覚えられてるし。
国交とか今後の学校交流を考えたら此処で怒鳴るのは不味いよなあ。真面目なルナリーと前世のヤンキーが心の中で葛藤している。キレるか?
「ごめんなさい。やっぱり行けないわ」
キャサリンも事を荒立てない様に断っている。
やっぱり不味いよな。
さて、どうやって断ろうと思っている時だった。
「キャサリン、そろそろ帰りますよ」
と王子が。
「ルナリー、行くぞ」
とルイスが此方へやって来た。
大学生の男性達は邪魔するなよと言う雰囲気と顔付きで王子とルイスを見ている。聞かれたら大惨事になる!!ヤバい!
「キャサリン、夜迎えに行くから必ず出てきてね」
「ルナリー、待ってるよ。俺達と楽しく過ごそう」
「エミリア、君の可愛い声を聞かせてね」
大学生達はニヤっと笑って私達を見る。
「ですから、行けませんって」
私は焦りながら答える。
背後を見ると一触即発しそうな王子とルイスの顔が見えた。
大学生達の言葉で一瞬で察したのだろう。
これは!不味い。不味い!ヤバい!
王子とルイスが私達の前に出ようとしている。顔がブチ切れて居るのが解る。穏便にー!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます