第49話初めての飛行船

人生初、飛行船!!飛行機は乗ったことあるけど。


なるほど人数が沢山乗れないんだなあ。でもスペース的には1人1人の座席間隔などもきちんと確保してある3列シートで倒せるし寝るのは困らなさそう。


後方にスペースも会ってそこで雑魚寝でもいっかなー。




「姐さんとルイスにお願いが」


カインが暗い顔で寄ってきた。やっぱり高所恐怖症かー。気の毒だなあ。そう思っていると。


「姐さんとルイスの間に座ってずっと。。その」


ん?私とルイスは首を傾げる。


「睨んだりして貰えたら空も怖くないと思うんです」


呆れるが余りにも真剣な顔で言うので了承した。


「何それズルい!!」


クライスが唖然とした顔をしている。困った2人だ。




まあ、それは良いとしてだ。


「なあ、何で彼奴がいるんだ?」


私は1番後ろの端に既に座っている奴を指差す。




「ごめんね。ルナリー学校命令で。交流会に生徒会長が参加しないってのは不味いらしいんだ」


王子が宥めてくる。


皆も不満そうにサイボーグ生徒会長を眺めている。キャサリンの時のあの態度がなあ。


「最初は国同士の交流会にしたかったんだけど。流石に難しくて教会を通して学校から交流って形にしたから。ねっ。ミサコンサートまで時間無いし」


王子が必死で詫びるので許すしか無い。




「すみませんね。僕も着いて行きたくはなかったのですが。声楽科2年のケビン・フォワードです。」


生徒会長は顔色を変えず此方に向かって言った。


「僕の事は空気と思って頂いて良いですから」


そう言って窓の外を眺め出した。




楽しい海外遠征の雰囲気が悪くなるじゃねーか。何とかしねーとなあ。


と、思っていたら出発。


重い空気をぶっ壊したのはカインだった。


「怖い怖い怖い!飛ぶっておかしいって!!!」




「落ち着けカイン」「大丈夫だから」




「無理!おりーるー!降りるって。空だよ?うーそーだー」


「怖いんだよお。怖いってばぁ。」


最初は皆、優しかったが上空に上がってしまってもカインは落ち着かない。


「カイン煩い」「カイン、黙りましょうか」


「カイン様、流石に煩いですねー」「降りませんよ耐えて」


段々と暴言となっていく。エミリアやジョージまで。笑えてくる。


「だって空だよ?上空だよ?」


私はルイスと顔を見合わせて頷く。仕方ない。やるか。




「カイン!うるせーんだよ。黙れ!」


私かガッツリと睨みつける。


「落ちねーよ!バカか?黙れや!」


ルイスが胸ぐらを掴んでガンを飛ばす。




狼狽えていたカインの頬が赤くなる。


「あっ。もっとお願いします。落ち着きました」


私にはカインの思考の方が空飛ぶより怖いっす。




「良かったねー。カイン」


王子も慣れたものだ。




そんな中、生徒会長が初めて驚愕な表情をしていた。


サイボーグも顔動くんだな。




「あー。生徒会長悪ぃ!カインはこう言うの好きなんだ。苛めてる訳じゃねーから」


危ない危ない。苛めと思われたら一大事。


「あっ。すみません生徒会長。飛行船怖いので、ルナリーとルイスにお願いしてるので」


カインもフォローを入れてくれた。




暫くルイスと2人でカインを罵っていたら落ち着いてくれた。


「空も悪くないだろ?」


「姐さんとルイスが居たら大丈夫です」


お陰で疲れたよカイン。。


何か気晴らしにやるかー。




「ルイス!後ろのスペースでトランプしよー!」


修学旅行ではないが学生のお供トランプ!!


「おっ!久々やるかー!」




「トランプやる人?!」


生徒会長以外は参加か。まーいっか。

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