第41話断罪イベントをぶっ壊せ!②


王子は過呼吸がだいぶ落ち着いたキャサリンを見て悲痛な顔をした。


「キャサリン、大丈夫か?」


「はい。何とか。ジェファーソン様、信じて。私は何もしていない」


キャサリンは泣き出す。




「嘘をつかれては困ります!証拠が上がってますのよ!」


取り巻き令嬢が大声を上げた。キャサリンはその声にビクッとしてまた過呼吸が起きそうになっていた。




王子は生徒会長の前に出る。


生徒会長は王子に署名を見せた。


「王子の婚約者と言えども規則により謹慎処分は免れません」


生徒会長は静かにそう告げる。


「キャサリンの無実を証明する」


王子は言い切った。


「我々でキャサリンの無実を証明します。それまでは体調も悪い様なので自宅療養と言う事でどうですか?」


カインが王子の横に立った。


「生徒会長、貴方も我等の家柄を御存知ですよね?」


クライスもカインの横に。


「事を急ぎすぎると失脚するだろう?」


ルイスも背後から声をかけた。




生徒会長は少し考え


「1週間。待ちます。証明出来なければ謹慎処分としその期間にその後の処分を決めます」


そう言った。


私は生徒会長がそう話している間、取り巻き令嬢の顔色を一人一人見ていた。権力は無いのでこう言う時は口を出すべきでは無い。


1番面白くなさそうな顔をしているのはアイツか。否、顔色が全く変わらないコイツだなあ。と黒幕捜しをする。




1週間と言う期限で証明しなければならない。


一先ず生徒会室を出た。


「ごめんなさい。」


キャサリンはまだ顔色が悪い。


「信じてるから大丈夫だよ」


王子は優しくキャサリンの頭を撫でた。何時もなら喜ぶのだろうけど今日は顔色が悪いままだ。


「大丈夫だから自宅療養しろ。絶対、大丈夫だ」


私はキャサリンを抱き締めた。


「現状報告で家に行くから心配するな」


そう言って自宅へ帰した。




「今日は授業はサボりましょう!」


王子の足はレッスンルームへと進む。


「いいねー!そのヤル気」


ルイスはニヤっと笑いながら後ろを着いていく。


皆もレッスンルームに向かった。


破滅フラグをぶっ壊す!!






「皆、キャサリンの為にありがとう」


王子は頭を下げた。


「キャサリンは昔はちょっと嫉妬深くてね。僕に寄ってくる女性に嫌がらせとかしていたんだ。でもね、この学院に入って彼女は心を入れ替えた様に皆に優しくなったんだよ。」


王子は真っ直ぐと私達を見詰める。


「僕は彼女を信じている。これはキャサリンを貶める為に誰かがやった事だと思っている。だから力を貸して欲しい。」


再び頭を下げた。




「王子!私は最初っから信じてる!キャサリンは出会った頃からめっちゃ良い奴だ!」


私も言い切る。


「ジェファーソン、顔上げて僕ら長い付き合いじゃないか。キャサリンの事も解ってるよ!」


クライスもカインもルイスもジョージも笑顔を返した。




私達は状況と仮定を纏める。




被害者庶民9人。脅されて署名は間違いない。


脅された内容が不明。




黒幕候補。キャサリンの取り巻き令嬢、生徒会長、生徒会役員




「黒幕の候補が多すぎるな。」


「脅された内容も話してくれるかなあ」




「脅された生徒に関してはルナリーとカインで対応して下さい。ルナリーなら立場上話してくれる可能性があります」


王子はそう言うが自分が脅してしまわないか本当に気をつけなければ。。


「エミリアにはジョージが対応してください。ルナリーは1度逃げられていますから。」


ジョージは頷く。


「キャサリンの元友人は、、クライス。その周りに聴き込みを先ず行いましょうか。最近の行動とか。」


なるほどとクライスは了解した。




「ルイスは生徒会とその周辺を。黒い噂とか無いか御願いします」


ルイスはニヤっと笑った。


「そして僕はこの件に関して教師を丸め込んで来ます!!」


今度こそ先手を打たねば!王子も負けてないな。




本日はサボり中なので1年の教師には見つからない様にしなければならない。しかしそう言う事は得意なんだよな。




3年男子署名した奴発見!


「カイン、奴だ。いけるかなあ。吐いてくれるか」


「姐さん、ちょっと演技してみよっか」


ドSモードのカインが不敵な笑みを浮かべる。この状態の時のカインってまじで敵に回したくねーなあ。




「あっあの。先輩。。」


私はしおらしく上目遣いで3年男子を見詰める。


「先輩も署名したんですよね?私。。怖くて」


気持ち悪い自分に耐えながら必死で演技を続ける。




自分も署名したふり今後の生活が怖いよ作戦だ。




3年男子生徒は周りを警戒しながら


「誰にも言っちゃダメって言われたじゃないか!!」


肩を掴み真剣な顔で訴えて来た。


「本当に大丈夫なのかなって。」


私は俯いて泣き真似をする。


「この出来事は心に閉まって置かなきゃダメだ。フラーム様は気の毒だけどね!僕らまで学校を辞める事になるんだ。良いね!この話はこれで最後だよ!」


3年男子生徒はそう言って走り去って行った。




「姐さん、流石ですね」


カインが嬉しそうに微笑んでいる。


「まーな。脅しは確定したなあ」


「ですね。さあ、もう少し口の軽そうな奴を捜してまたやりますよ」


ドSカイン。。でも作戦は正解だなあ。

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