第36話大司教様?!
この世界のこの国の宗教はキリスト教っぽい。私は前世では宗教は全く興味もなく家は普通に仏教だった。
キャサリンに言わせるとキリスト教とは少し違うらしい。そこは異世界だからなのだろう。ゲームを作ったのが日本人と言うこともありクリスマスは家族と過ごすと言った義務もない。割りと恋人や友達とって雰囲気で全く違和感なく今まで過ごしてきた。
国立教会!!中に入って見たのは初めてだ。庶民は此処に祈りに来ないもんなあ。
しかも突然訪問って。まっいっか。善は急げと言うし。
「突然の御訪問大変失礼致します。」
王子が一礼する。
大司教様。おじいちゃんかと思ったけどお父さんより若く見える。
「これは!この前の王子の誕生日で歌われた御学友ですね」
大司教様はにっこりと微笑まれた。悪い人には見えないなあ。
「大司教様、クリスマスミサの話なのですが本当に我々が歌って宜しいのかと。皆、恐縮しておりまして」
王子が上手く話してくれる。
「勿論で御座います。是非、あの歌をこの国に広めて頂きたい!」
大司教様は本当に気に入った様に見える。
「あの、曲を作詞されたのはフラーム様でしたね?」
大司教様がキャサリンの方を見る。
キャサリンは大司教に淑女の礼をする。
「やはりお疑いですか?神聖なミサにオリジナル曲を御願いすると言うことを」
大司教様はズバリと言われる。
うん。疑ってる。しかし、そう言われると返答に困る。
「フラーム様、少しお話宜しいですか?」
「はい!」
大司教様は個人的に話をしたいそうだ。少し王子が怪訝そうな顔をしている。
「私も御一緒させて下さい!私は庶民です。この様な場で歌うには相応しくない人間です。お話をお聞かせ下さい」
大司教様は少し悩んで許可してくれた。王子に目配せしておく。私が付いてるから心配するな!
王子は頷いて微笑まれる。
教会の奥の部屋に通される。豪華な部屋で非常に緊張する。
ステンドグラス綺麗だなあ。
「フラーム様だけにお話したかったので。貴女は此処での話は他では決して話してはいけませんよ」
大司教様は優しい声だが目が笑っていない。怪しいな。
「フラーム様。王子の誕生日パーティーで歌われた曲はド〇カムですよね?!」
んんん?!
私とキャサリンは顔を見合わせる。
「大司教様?ご存知で?」
キャサリンが恐る恐る聞く。
「2曲目の曲は知らなかったんですけど。ド〇カムはファンでした。」
「えーーー!!」
私は思わず叫んでしまった。
「他言無用です」
大司教様は口に手を当ててシーっと言った。
「転生者?しかも日本人?」
私が聞くと知ってるのか?と言う風に目を見開いた。
「私は1970年代生まれの日本人男性でした。亡くなったのは2012年だったかと」
と微笑まれた。
結構長生きしていた様だ。てか、日本人転生者何人いるんだよ!
神様、適当過ぎるって!!とツッコミたくなる。
その後改めて前世の自己紹介を行った。大司教様は少し年下になるなあ。暴走族に居た話をすると羨ましがっていた。
「私の時代はだいぶ暴走族が減っていましたからねー。子供の頃憧れてましたよ」
と話して居た。
「だから是非!日本の歌謡曲を聞きたいのです!」
と熱く語る。大司教様の威厳が私達の間では失われつつあった。
「荘厳なミサで歌って反感買ったらどうすんだ?」
私の口調変わりすぎ。。
「そこがちょっと悩み所なんですが私がフォロー入れれば大丈夫ですよ。地位高いですから」
と言われる。確かに大司教様となると財閥より権力者だもんなあ。
「お主も悪よのぉ」
と言うと
「お代官様こそ」
とノリよく返してくれた。あー。やっぱ日本人だな。
「許されるなら大司教プロデュースで君達を歌謡曲グループにしたいんですよね。」
と野望まで仰った。
「この世界に生まれてクラシックも確かに好きなんですけどね」
それは解る。
曲を選曲出来たら連絡すると取り敢えず告げた。
皆には何と説明するかな。
「えーと。結果としてはオリジナル曲を披露します」
私は皆に告げる。皆は大丈夫なのかと言う顔をしている。
「大司教様はこの国に新しい文化を作りたいそうなんです」
キャサリン上手い!
私達が納得して居たし大司教様のゴリ押しもあって私達のクリスマスミサコンサートの出演が結局決まってしまった。
明日からキャサリンとルイスと私で曲選びだな。
ちなみに後でこっそりルイスには大司教様の事を話すとビックリしていた。
「何人いるんだよ」
と私と同じ反応をしていた。
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