第26話王子の誕生日パーティー③(売られた喧嘩)
パーティも終盤。やっと終わるかと思った時だった。
計画を台無しにする出来事が起きた。
「皆様、王子のアリア学院の御学友の方々もいらっしゃっているようですよ。御祝いの歌など披露していただけ無いのかしら?」
あの腐れ社長令嬢が突如皆に聞こえるような大きい声で言い出した。
「まあ、そうなのね。それは聴きたいですわ」
合わせたように別の令嬢も。
「あら?庶民の方もいらっしゃるの?とても優秀なのでしょうねぇ」
「歌って頂けるの?」
会場が自然とその会話に耳を傾けザワザワとし始めた。
「聴きたいですわー」
「ほう、王子の御学友か」
私達は会場の隅の方に居た。
「困りましたね。姐さんどうします?」
カインが怪訝そうな顔をしている。
「クソッタレが。」
ルイスがガン飛ばしている。
会場はザワザワと。歌を聴きたいと言う雰囲気にどんどんなっていく。
「恥かかせたいんだろうなあ。即興で声も出ないと思ってるだろうし」
私はニヤリと笑うと皆はフフっと笑った。
「売られた喧嘩は買うですね?姐さん!」
クライスが肩をポンと叩いてきた。解ってるじゃねーか!
「仕方ないですわよ。この雰囲気」
キャサリンが残念そうにそう言った。
折角、キャサリンが頑張ったのに。それが凄く悔しくて仕方ない。
「ごめん。喧嘩売られた原因はルイスと私だ。後で何でもお願い聞くから。本当にすまん」
「悪い。ルナリーの言う通りだ。落とし前つける」
私とルイスはキャサリンに謝罪し、やろうと決意した。
私は会場の中央へ歩んでいく。
そして、皆に向かって淑女の礼をする。
「何やら今、リクエストを受けた様なので出て参りました。アリア音楽学院の者で御座います」
笑顔を向ける。
社長令嬢、財閥令嬢達は馬鹿にした様に蔑む様にニヤニヤしていた。
「お誕生日祝いの歌ですね?そうですねぇ。」
私はちょっと首を傾げ考える。。フリをする。
「なかなかオペラのアリアも歌曲も王子の誕生日向けの曲はないですねぇ」
社長令嬢達はざまぁという顔をしていた。会場も聴けないの?無理なのか?と言ったザワっとした感じになっていた。
「では。作詞、フラーム様(正確には翻訳しただけ)。作曲、マッケンジー様とウェールズ(大嘘)。編曲、バートリー様、レイノース様、アンダーソン様、ブラウンさん(此処は本当)で作りましたオリジナルの曲を披露をしますね」
私は皆に笑顔を向ける。
ザワザワとした雰囲気が更に拡がった。そこには楽しみ?興味?小馬鹿にした様な?
さあ、売られた喧嘩買いましょうか。
ド〇カムのHappy〇appyBirthdayと乙女ゲームアリア学院ラブ・ソングの挿入歌、友情と言う曲のメドレー。
「では、皆様お静かに願います」
私は笑顔で礼をする。
会場中が私に注目する。
後方に皆、スタンバイOK。
手拍子と足踏みでリズムを取る
「ワン、ツー、スリー、フォー!」
私が高らかに声を上げる。皆が手拍子をしながらハモりながら私の横に並ぶ。
主旋律はキャサリンとエミリアへ
私は高音とハモリを担当。
皆、笑顔でノリノリだ。
ラストは手でピストルを作って王子を狙い撃ちする振り付けをした。
「ワン、ツー、スリー、フォー!」
アリア学院ラブ・ソングの全員仲良しと言う友情エンド曲。
《出会った時から運命で♪》
《私達は親友になるって神様が決めたのよ♪》
主旋律はキャサリンで。もうハモりに徹するのが楽しい。ソプラノっていつも主旋だからなー。
振り付けも付けて私達は可愛く踊る。
《覚えてる?私達の出会い!ずっとずっと忘れないで♪》
《大人になっても♪年を取っても♪仲良しでいようね♪》
私達は王子に向かってウインク!
昨日取り決めたとは思えない良い出来だ。
会場は静粛していた。クラシック主流の国でこの歌はまだ早かったかなー?
「ありがとう!皆!」
王子が涙しながら此方へ走ってきた。
会場から盛大な拍手が巻き起こる。
「ありがとう。僕の為に本当に」
嬉しそうに満面の笑顔で泣きながら皆を抱き締める王子。
王子とキャサリンが本当に嬉しそうで私達も歌う前の嫌な空気を忘れるくらい嬉しかった。
会場の拍手は鳴り止まず。賞賛の声が沢山聞こえた。
そのまま大団円で誕生日パーティは終了した。
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