第24話王子の誕生日パーティー
王子の誕生日パーティの日。朝からそりゃもう髪を結ったり大忙しだ。うちにはメイドとか居ないしなあ。
文化祭コンクールメンバーの話はしていたが王子の誕生日パーティまで呼ばれるとは母も思っていなかった様でとても焦っていた。更にエスコートがルイス・マッケンジーだと伝えると更に頭を抱えていた。
「お願いだから大人しくしていてね。最近の貴女、反抗期みたいだし」
そんな事を言っている。頑張ろうとしても家でも地が出てきたのだ。親は反抗期だと思っている。
ドレスは可愛い系。似合わねー。
「ルナリー、黙って居たら可愛いからね」
母は溜息を付きながら送り出してくれた。
「大丈夫だって!問題起こさねーから!」
そう言うとまた頭を抱えていた。
玄関を出るとマッケンジー家の車が迎えに来た。
ルイスが車から降りてくる。
お互いのタキシードとドレス姿を爪先から頭まで数度見してしまう。
「似合うけど中身とのギャップがな」
ルイスは言う。
「それはお互い様だな」
私もそう思う。
「誘われても仲間以外と踊るんじゃねーぞ!それ以外は俺の横に居ろ!」
「おー!当たり前じゃねーか!」
そう応えるとルイスは満足そうだった。運転手にドアを開けて貰いルイスの手を取って車に乗り込む。ちょっと慣れなさすぎて恥ずかしい。
車の中では何か何を話したら良いか解らねーでいた。
運転手さんいるしなあ。
城が近付いた時にルイスが言う。
「挨拶に来た奴らには笑顔で切り抜けろよ」
と言われた。あー!緊張して来たー!
車から降りる時もルイスの手を取り降りる。
「ほら!腕!!」
ああそうか。ルイスの腕をとる。恥ずかしい。何だこの感じドキドキする。緊張だ緊張してんだよな。
時折挨拶して来る方々に笑顔で淑女の礼をする。まあこの位は一通り習ってきた。ダンスは入学式の前に必死に覚えたし。
てか、何人挨拶に来るんだよ。まだパーティ会場手前だぞ。
ルイスお前凄いよ。何故かボロが出ない。
「マッケンジー様、其方のお嬢様は?」
「ご想像にお任せします」
何故か必ず聞かれる私の素性。会場はまだかい?
「ルナリーやるなあ。ボロ無しだ」
「お前もな」
私達はニヤリと見詰め会って笑い会場へ入る。
会場に入るとおぉ。豪華絢爛!立食パーティーだった。美味そうです。食わせろです。おっと。言葉使い気を付けねば。
「良く来てくれたね!ルイスにルナリー!」
王子とキャサリンが寄って来た
王子カッコイイぞ!キャサリン!綺麗だ!!
「お招き頂きありがとうございます」
ルイスが一礼する。横で私もドレスをヒラっと持ち礼をする。
「キャサリン綺麗じゃん!王子もカッコイイし!」
「ありがとう!ルナリー凄く可愛いわよ。中身と外見のギャップが凄いわ」
「だろ?何とか誤魔化して頑張ってるとこ」
私は苦笑いをする。
「もう少ししたら落ち着くから挨拶頑張ってね!私も頑張るから!」
キャサリンに励まされる。キャサリンはもっと大変だそうだ。
「あっ。こっち見てるあの女!気を付けて!ルイスの元婚約者の社長令嬢よ。」
ほほう。元婚約者ね。居たのかやっぱり。何かちょっと面白くない。
「大丈夫。何とかするぜ」
私は挨拶に大忙しの王子とキャサリンを見送った。
社長令嬢が此方に来るのが解った。
「元婚約者か?」
私がボソッと呟くと
「ああ。招待して欲しくなかったが仕方ない。大丈夫だ。」
ルイスは真顔で答える。会いたくない相手なんだろうけど財閥の御曹司と婚約してたくらいだから地位が高いんだろう。
「御機嫌よう。マッケンジー様」
社長令嬢が挨拶をする。
「お久しぶりです」
ルイスも一礼した。横で私も初めましてと挨拶をする。
シカトありがとう。とってもムカつくよ。でも笑顔は崩さない。
「そちら見た事がないわー?庶民の方かしら?何でこの会場にいるのかしら?」
ルイスが真顔で口元にだけ笑みを浮かべている。
どう出ようか?ルイスが応えのを待つべきだろうな。
「彼女とはアリア学院で知り合いました。とても優秀な歌手ですよ。才能溢れていて声も顔も美しい」
ルイス!!それは言い過ぎだ!褒めすぎでムズガユイ。。
社長令嬢は私を蔑むように睨みつける。私は笑顔を崩さない。
「そう、良かったですわね。良い御相手が見つかって。それでは失礼しますね。」
社長令嬢は私に向かってフンっと鼻で笑いながら言って立ち去って行った。
私は最後まで笑顔を崩さず、周りに見られないようにルイスの脇腹に肘鉄を食らわした。八つ当たりだ。
「ぐっ、、痛えよ!しかし良く耐えたな」
「まだ収まらねー!後でお前殴らせろ」
私はルイスにボソリと呟く。ルイスは私の頭を優しく撫でながら
「しゃーねー。1発だけ殴って良し」
と言った。まだパーティの開会式前なのに疲労しかねぇ。
あと2~3時間か?乗り越えろ私。
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