第22話新学期だ!

新学期!


宿題は終わったし練習は順調だし来月の文化祭が楽しみだ!


そうそう今月は王子の誕生日らしい。誘われてしまった。ドレスって動きにくいんだよなあ。しかもドレス作って貰ったのはアリア学院の合格発表の後で記憶が戻る前。めちゃくちゃ今の趣味に反するのだ。着たくねぇ。




それよりも夏休みの最終日にツーリング!楽しかったなあ。また行きてー!!時々、ルイスが思い詰めた様に顔を赤くしていた。何でだ?私の顔、変だったかなあ。




楽しみな授業も終わり練習に向かう。


キャサリン。。何してんだ?


令嬢に囲まれるキャサリンは怯えた目をしている。




「全く、悪役令嬢が何絡まれてんだ!」


私は急いでキャサリンの元へ向かう。




「キャサリン!!」


ホッとした様な顔になる。


「どうした?!」


私はキャサリンと令嬢の間に割って入る。




「何?フラームさんこの庶民は」


こいつら3年か!?


「3年生の方々なんだけど文化祭コンクールのエントリー取り下げろって」


キャサリンが耳打ちしてくる。はー?何て奴等だ!


ギロりと睨み付ける。


「だからフラームさん。文化祭コンクールのエントリー①で出るのをお辞めないと言ってるの。解らないの?」




「解らねーよ!何でエントリー辞めなきゃなんねーんだ?」


怯むキャサリンを後ろに下げて3年令嬢に詰め寄る。




「1年の癖に生意気なのよ!」


「大人しく他のにエントリーなさい」


少し怯んだ様にも見えたが必死で睨み返してくる。




「だっせー!」


「勝てないの?3年なのに?ぷッ」


私はニヤニヤと詰め寄る。


3年令嬢達は顔を顰めたり唇を噛み締めている奴もいた。


「正々堂々と勝負しろ!お前らの訴えは却下だ!」


本当、1発殴れりゃ早いんだが。金持ちって奴は本当に厄介だ。




令嬢のリーダーらしき女は


「覚えてらっしゃい!!」


とお決まりのセリフを吐いて取り巻きを連れて逃げていった。






「大丈夫か?キャサリン?」


キャサリンは頷く。


「ごめんね。あの3年生、家よりもお金持ちなのよ。」


立場的に反抗しにくいらしい。


年上でなかったら王子の婚約者候補筆頭だったそうで今までもすれ違いざまに嫌味を言われたりして来たそうだ。




「勝とうかね。正々堂々と歌で。叩きのめーす!」


私はキャサリンの背中をバシっと叩きレッスンルームへ向かった。




レッスンルームにはもう皆揃っている。


「おい!お前ら!3年に喧嘩売られたぞ」




ドアを開けてからの第一声。報告、連絡、相談はきちんとね。




「はあ?誰に!?」


ルイスは食いついてくる。


「3年生のガードナー家の令嬢」


キャサリンが困ったように呟く。


それを聞いてルイスも面倒臭そうな顔をした。


エントリーを辞めろと言われた事を伝えると皆、とても不快そうな顔をしていた。




「しかもさあ!王子!キャサリンがそのガードナーに絡まれて苛められそうになってたんだよ!」


私は王子に訴える。これはキャサリンが進展する為の計算だ!


護られるなら私より王子が嬉しいだろうし。




「何だって?!キャサリンが?!」


王子、キレてるね。よしよし。


キャサリン、この反応は思っているより嫌われてないぞ。寧ろ好かれている。




「キャサリン、放課後の移動は僕とジョージのピアノ科全員で行動しましょう。他の皆も出来るだけ単独行動はしないように。エミリアさんの教室へはルナリー?迎えに行って貰えますか?」


「勿論!迎え行くぜー!」


私はOKと合図する。


キャサリンは嬉しそうだ。




ライバル出現に伴って練習に熱が更に入った。完膚無きまでに叩きのめーす!






練習後。あっそうだー!話しとかねーと。


「ルイス!」


私はルイスを呼び止める。


「ん?どした?喧嘩売りにいくのか?」


3年に言われた事が余程ムカついているのだろう。




「いやいや。あのさあ。お願いを聞いてくれ!」


私は手を合わせてルイスを見る


「何の?ツーリングならまた行ってもいいぞ」


少し微笑みながらルイスは答える。ツーリングも行きたいけど今日はそれじゃない。




「お前さあ婚約者いる?」


一応聞いとかねーと話が進まねえ。


「はぁ?いねぇし!!!」


何キレてんだ?と思いつつホッとする。




「良かったー!頼む!王子の誕生日パーティのエスコート!」




エスコート無しだと男が寄ってきて鬱陶しい思いを入学式後のパーティで嫌という程経験した。庶民もドレス着るとそこそこ映えるんだろうなあ。




「エスコート?!俺がお前を?」


うんうん!と頷く。


「ダメか?」


ルイスは目をパチパチしながら此方を見詰めてくる。


何故か少し顔が赤い。




「いや。エスコートする」


「やったー!ルイスなら踊り下手でも気にしないでくれるよな?」


ダンスは苦手だ。ディスコダンスなら良いのに。。




「あの。俺もお願いがある。。」


「いいよ!何だ?」


ルイスは少し考えるように言葉を探しているように見えた。




「えーと。パーティ中ずっと横に居てくれ!他の女が鬱陶しい!」


なるほど。今は財閥の御曹司だもんな。モテるのか。何故かちょっとムカつく。


「防波堤か?喜んで!」


私は二つ返事でOKした。


ルイスは満面の笑みを浮かべていた。余程、鬱陶しかったんだろうな。私も入学式で体験したからその気持ち解るし。




「乗れ!送ってやる!」


ヘルメットを投げて来た。私は笑顔で乗せて貰って帰宅した。

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