永遠なんて今はきっといらない
Teaile
1. 初めはいつも
今日は大好きな化粧品ブランドの発売日。こぞってオシャレズキな女の人たちが列をなす。正直言って私は友達連れで仲良くブランド化粧品を買いに来る人達は苦手。とは言って、発売日にその列に混じって化粧品を買いに来てる私は矛盾だらけ。そういえば昔から矛盾だらけなとこは変わってない。ひとりになりたくないのに、群れるのは嫌いだったり、でも一緒にいる友達がいなかったわけじゃない。ただ、群れたくなかっただけ。
化粧品を買いに行くときは決まって思いっきり着飾っていく。デパートに行くときは大抵細身のワンピースにバッチリ化粧。通りがかる人は高確率で振り返る。はっきりいうと容姿には恵まれている方だから。
説明しとくと、中高時代から控えめに言ってもモテた。でも特に学生時代なんて容姿がいいだけでモテる。私がどんな性格で、本当はどんなこと考えてるのかなんて関係ない。たぶんそうじゃない人も世の中にはどこかにいるんだろうけど、残念ながらそういう人に出会えなかった。美人な彼女を連れて歩きたい。それだけ。だから私もそれが恋愛で成り立つならいいと思ってる。
それなりに彼氏もいたし、別に嫌いだったわけじゃない。でも唯一心を許してる親友のリナには「マリエってかわいそうだよね。」よく言われる。自分がひん曲がってることわかってくれてるのはリナだけ。
こうなる前に高校時代、1回だけ人を好きだったことがある。でも1ヶ月で終わった。会う前に友達同士で話してるのが聞こえたから。「マリエ撮影してこいよ最中に。その後みんなの前で上映な」「もちろん今日ヤってやるぜ」
その人振ったら逆上して尻軽女だって噂流された。呆れたけど涙なんてでなかったし、そんなもんかって。それから人を好きになってない。好かれたら好きな感情わかるかと思って付き合ってもわからない。何人でもわからない。たぶんみんな噂のせいで体目当てだし本気で好かれてなかったんだと思う。
だから、付き合うのをやめた。
する事なくなったから猛勉強して私の高校からは到底受かるはずもない大学に合格した。同じ高校だった人たち、私の過去を知る人がほとんどいない大学で自分をやり直そうと思った。他校だったリナは第1志望で一緒に来たけど。
それから大学生になってサークルにも所属して、何が起こったかというと、お察しの通り高校時代の繰り返し。でも1つだけ変わったことがある。
付き合うのをやめたのをやめた。
付き合って私にもメリットがあるならそれが恋愛でしょ?リナに言ったら「マリエ、バカだね〜」って笑われたけどそれでいい。それが私の恋愛スタイルだから。
過去の説明で脱線したけど話を戻すと、今日は大学4年の夏。
就職先も決まってバイト代も入ったからデパートに大好きなブランドの化粧品を買いに来た。買うはずのなかったものまで一緒に買ったけど気分は上向きで清々しかった。そのまま、リナとイツキと合流して大学に向かう。イツキは最近できたリナの彼氏で同じゼミ。
「マリエもさあ、夏だし早く彼氏作りなよ〜!」
リナがイツキと腕を組みながらそそのかしてくる。
私は今はフリー。2週間前に1年半付き合ってた彼氏と別れた。お互い好きじゃない仮面のカップルだった。でもメリットはあった。お互い彼氏彼女だと言い寄られることないし変な噂も流れない。だけどそれを見かねたリナが私のLINEからいつのまにか勝手にお別れメッセージ送っててあっさり別れさせられたけど。
「俺のサークルのやつでマリエちゃんのことすげぇ紹介してくれって言うんだけど会うか?」
「えぇ!イツキナイスー!そうしよ〜そしたらリナ達とダブルデートとかできるのかなぁ」
2人の中で盛り上がってるお話中、申し訳ないけど私いっとき彼氏とか作るつもりないからね。
—— よお!!イツキーーー
後ろから叫びながら人が走ってくる。
「おお!レン!!ちょうどお前の話してたとこ。お前マリエ紹介して欲しかったんだろ?挨拶しとけよ」
「うわまじか!マリエちゃん?初めまして。ちょっと写真より美人すぎて緊張する〜よろしくね」
この人がレンか、何人の女の子泣かせてきたんだろうなって感じの人だな。
「初めまして。マリエです。彼氏作る気ないので友達としての紹介だったらよろしくお願いします。」
「ちょっとマリエ〜何言ってんの〜せっかくフリーなんだからそんなこと言わなくていいじゃん」
リナから冷たく睨まれたけど、気にしない。本心だから。
「マリエちゃんそんな冗談言うんだね。俺レンだから?名前だけでも覚えといてね!」
って冗談で言ったんじゃないんだけど。
「じゃあなイツキまた後で!リナちゃん、それからマリエちゃん今度飲みにでも行こうね!」
「リナ、マリエのこと絶対連れてくからね〜ばいばいレンくん」
レンは走り去った。少しの間だったけどイツキくんの友達だし悪い人ではないのかなと思った。まあ恋愛ってなると別問題だけど。
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