魔術師ケリーの普通な日常

@arakikakeru

日常

第1話 魔術学園を卒業した時(16年前)

僕は今日5年間もの間通っていた魔術学園を卒業する。

平民の僕が魔術学園を卒業できるなんて、7年前の10歳の俺には想像もできなかった事だろう。

このまま行けば研究で新しい魔術を開発したり、成功を収めてお貴族様にだってなれるかもしれない。

そうしたら僕をいじめた村の奴らも僕のことを崇めるに違いない。

ともかく今日、僕の夢の第一歩が始まるんだ。

クラスの仲間がどんどん呼ばれている。・・・・・やっと僕の番だ。ちょっと緊張してきた。

「ケリー卒業生、前へ」

やばい胸がバクバクなっている。

「貴殿は王都国立魔術学園で研鑽に励み見事、卒業することとなった。これを称し卒業証書を授与する」

「あ、ありがとうござますっ」

ふーやばかったー焦って噛んじゃうとこだったよ

「次、クリン卒業生、前へ」

***

「これにて卒業式を終了する」

やっと終わったー母さん達に会いに行こうっと


あれーどこにいるんだろう。確か水色の服着てくるって言ってたけど・・・・・・あっいた

「おーいここここ」

「あーそこにおったんかい、こんな同じ服の人が大量にいたら見つからんて」

「しょーがないよだってお兄ちゃん全然目立たないもん。」

この二人が僕の家族だ。

「う~る~さ~い。あと、ここじゃちゃんと話すこともできないから、喫茶店にでも行こう」

「さんせーーうっわー何があるのかなー楽しみだなー」

甘いもの好きな妹

「私たちはあんまりお金持ってきてないのだけれど・・・」

そして普段は鬼みたいに怖いのに、今はどこかの農民みたいな母親

「大丈夫大丈夫、俺一応ちょっとお金持ってるんだよねー冒険者とかしてさー」

僕もちゃんと稼いではいるのだ。

「さすっがお兄ちゃん。太いのはお腹だけじゃないんだね」

流石に標準ぐらいの体だぞ、お腹も・・・

「当たり前だ」

「はいはい軽口たたいてないでさっさと行くよ」

***

「ここ、いいだろ」

僕の特にお気に入りの店だ。異国のコーヒーという眠気覚ましに効果がある飲み物や、紅茶も特にいい茶葉を使っていて、とても美味しい。菓子はオレンジタルトやラスクなど甘くて美味しいものがそろえられている。それに雰囲気がまた特にいいちょっと暗めの内装にランタンという最近開発された魔道具を使っている。

「お兄ちゃんの趣味があんまり悪くなくて助かったー」

僕だって趣味がいいとは言われたことがないけど、悪いとも言われてこなかったんだぞ。

「それであんたは何になるんだい」

色々な選択肢が僕にはあった。だけど僕が一番やりたかったのは

「僕は魔術研究者になるよ。新しい魔術をたくさん生み出すんだ」

「おいおい魔術が気軽に生み出せたら魔術研究者なんていらないだろ」

「まぁそれはそうなんだけどってアルどうしてここにいるんだい」

こいつはアル。本名はアルフレッドといって僕の親友だ。

「お前を探してたからな、多分お前だったらここに来るだろうって」

「へ~で、アルは何になるの?」

「お前は知ってるだろ」

そうだ僕はもうアルがなりたい職業を知っている。

「アルさんは何になりたいんですか」

なぜそこで口をはさむ、妹よ。

『おいケリーこの子は誰だ』

『僕の妹だよ、ってかこんなことに念話使わないでよね』

『わりぃわりぃ』

「アルがなりたい職業はね「おっおい」」

『なんだよ言ってもいいだろ』

『悪い何が悪いか分からないけど悪い』

『だったら自分で言え』

『わかった』

「俺がなりたいのは宮廷魔術師なんだ」

笑いたくば笑えという風に恥ずかしそうに言った

「いや高い目標を持つことはいいことですよ。やっぱお兄ちゃんとは全然違うなー」

こいつ調子のいいこと言いやがって

「あっそう?」

こいつもこいつだ

「はいはいで、なんで僕を探してたの?」

「あぁそうだった。お前の泊まってるとこ教えてくれ」

「んーまぁいいけどなんで?」

まさか僕の宿に転がり込んでくるつもりか?

「手紙出すんだよ。これから俺らはあんまり会えなくなるだろ」

「そっか、でー僕が泊ってるのは銅色の良心亭ってとこだよ」

「あーあの安いし美味いし清潔だしってとこか」

そう本当に安くて美味い、しかも清潔だから5年前からずーと泊っているので、自分の部屋らしくなってしまった。そうすると、もっと出られらくなってしまっていたのだ。

「で、逆にお前の宿ってどこよ」

アルが泊っている宿を知らないと僕が手紙を出せないからね

「・・・俺が泊ってるのは宿じゃなくて屋敷だから」

そうだった。こいつ男爵だったから、その男爵家の資産である屋敷に泊っているんだった。

「で、住所は」

「北アメリヤ通りの4区だよ」

「へー北アメリア通りって言ったらあれだろ、あの高級貴族街。」

「まぁうちはそんなにでもないけど」

はぁ一度でもいいから屋敷に住んでみたい

「私達はもう帰るよ」

「え、なんで」

「息子の元気な顔も見れたし」

「楽しそうだったからね」

おぉ妹よ何故ここだけ調子のいいことを

「頑張って魔法研究者になるんだよ」

「お母さん違うー魔術研究者。魔法研究者じゃなくて」

「へーそうだったかいね」

***

「夢か、・・・俺にもこんな時期があったんだよな」

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