第46話 魔王討伐?

魔王Side


「それでさぁ…俺勇者になれなくてさ…」

目の前の男が私に愚痴る。


「だって普通あの流れだったら俺勇者!?ってなるじゃん!」


「え…あ、はいそうですね…」

 いきなり同意を求められ相槌を打つ事しかできない。

 そうこうしていると相手の様子が変わる。どうやら向こうの私が瀕死のようだ。


「あ、もう少しでシリウスたちが魔王を倒しそうだな…」


 ギロリとこちらを見つめ手をこちらにかざす男。

 その様子に体が勝手に反応していた。


「は?」


 男がア然とする中、私は額を地面に擦り付け土下座体制をとっていた。


「あの!何でもしますから命だけはご勘弁を!!」


 その状態から漏れたのは自分でも予想外の命乞いの言葉だった。


?


少し考えたかと思うと一言聞き返してきた。


「…え?……はい…」


 何か不味いことを言った気がするが生き残る為には他に手段がないのでうなずくしか無かった。


「いや〜初めて見た時から興味があったんだよね〜


…私の体が目当てだと…ち…下衆が!


だが答えは予想の斜め上をいった。


「君の体…あの別次元に体の本体を分ける仕組み…」

ゾクッと背筋に寒気を感じた。


「ぜひ調と思ってたんだよね〜」


「やっぱりやめ…」


「無理だよ?もう契約を結んでいるから」


 …契約?そんなこと…まさか


「まさかさっき聞き返したのは…」


「契約の了承ありがとうと言っておこうか」


「こ、この悪魔!!!」

 よりにも寄って悪魔の常套手段を魔王たる私に使うとは!


「魔王に研者あくまと呼ばれるのは光栄だな」


 ニヤニヤと笑う姿はまさに悪魔!


…こいつが勇者なんてありえない。おそらくこいつは魔王こっちがわだ。


 こうして魔王わたしはこの研者まおう研究対象モルモットとなった。

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