ゆめ日記 そのまどのそとをみたい
柳なつき
かしの木みたいな茶色の、ゆめ。
夢をね、見た。そういえば。きょう。というか、きのうからきょうか。
彼氏と夢のなかで会った。
目が覚めたとき夢でも会えて嬉しかったねと、ベッドのうえでぼんやり。じっさい色の茶色くくすんだ雨の日の宝石店で、足もと気持ち悪くぐしゃぐしゃで、私なんかリュックしょってて、「危ないですよおねえさん」って言いながら肩をそっと押してよい位置によけてくれた、私を。……うん、やっぱそうねえ、きみはきみだなと思った。私の、なかでも。
そういえば彼氏彼氏といって、表記がそれしかないよなあ。
けど名前は名前だし。それ以外の呼びかたもしてないし。
関係性の名前で呼びはじめるって、ねえ、関係性をきわめたうえでのことばの奇跡のひとつじゃないですか。
大学にね、行ってね。彼氏の大学だったのかなあ。構造は違ったような気がする、建物の。
なんか、そこで、あるってさ。亀有駅みたいな地形のとこに出んの。そんでマックあるでしょ? あそこがね、宝石店になってたの。雨、降っててさ。険悪ってほどじゃなくても、なんかこうお互いぼんやりでしっとりで口数も少なくて。
その宝石店になぜか入ってやっぱそんとき言われたね、「危ないですよおねえさん」ってね、言ってね、よけてくれた。
……ただそれだけのことがうれしかったし起きてからもうれしい。
会いたいには会いたいねえそりゃもちろん。
会えるとわかってたって会いたいよ。
けど、そのうえでねえ、……ゆめであえてもうれしいとか、
ねえ、私。それでも、現実を生きるんだよ?
そんな、かしの木みたいな茶色の、ゆめ。
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