初恋相手が彼女(彼氏)になりました!
しまドン
第1話 実った初恋
俺は、中学生のある日、本当の初恋というものを知った。初恋とは、文字通りその人が初めて恋をすることだ。
俺の初恋は、小学校の時、二年生が一年生に掃除や給食の配膳などを教えるために毎週交代で来てくれる人たちの中に先輩はいた。それが先輩との最初の出会いだった。そして、学校案内の時も同じく二年生の先輩達が案内してくれることになっており、奇跡的にもその案内役の先輩が今では初恋相手の先輩だったりする。このことから、学校で話したり、手紙でやり取りする内に先輩のことをいつしか目で追っていた。
それが俺にとって初めての恋だ。でも、高校生になっても俺は先輩に告白はできていない。なぜなら、高校では先輩は学校一可愛いとまで言われていて、高嶺の花とまで言われている。今では、話す機会も減った。唯一の救いは部活が同じなので部活中に話すことができるくらいだ。でも、今のままだと誰かに取られるかもしれないと思った俺は告白しようと決めた。
ーーー
ある日、放課後に俺は空き教室にいた。目の前には俺の初恋相手がいる。
俺の名前は鈴木 拓馬だ。そして、目の前には小学校の時から好きな先輩である音無杏奈先輩に告白するために先輩を呼び出した。
「それで、私に伝えたいことって何かな? …鈴木君」
と言う音無先輩は少し頰を赤くなっていた。
「あの、その…俺、音無先輩のことがずっと前から好きで今も好きです。…俺と付き合ってください!」
顔から火が出たように暑い。今まで、誰にも言ったことのない言葉を俺の初恋相手である早見先輩に
「本当に…夢じゃないよね…」
「は、はい…」
「えっと、その…わたしも鈴木君のことが好き、なの…だから、わたしでよければ喜んでお付き合いさせてください」
そうして、俺の音無先輩への告白は成功した。
この後、部活があるのに頰が緩んでしまう。音無先輩も嬉しそうに笑っていた。
「ねえ、鈴木君のことたっくんって呼ぶね。わたしのことも名前で呼んで、欲しいな!」
「は、はい! ……あ、杏奈、さん」
「むー! 『さん』付は無しだよ」
「いや、まだ恥ずかしいし…」
「ほら…呼んでみて」
少し小さな声でねだるように言った。
「…杏奈…」
顔を赤くしながら拓馬は言った。それを聞いて杏奈はにっこり笑って
「よくできました! これからは学校でもそう呼んで、ね!」
「えっ!? 二人っきりの時だけじゃダメなんですか?」
拓馬が言うと杏奈は残念そうな顔をして、
「やっぱり、いきなりはダメ…だよね…」
拓馬はそんなことを言われると断れない性格なので
「そんなことはないです。ただ恥ずかしかっただけですから、名前で呼びたいですし…」
恥ずかしいと思いながら拓馬は答えた。
「やった! 断れない性格は変わってないね。じゃあ…そろそろ部活に行こう、帰りも一緒に帰ろうね! たっくん!」
「わかりました」
と言って部活に向かうことにした
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