人嫌い、連れてこられる

「…おかしいな。」


「どうしましたか先生!もしや、体調が悪いとか!」


「いや違うよ。どうして僕はここにいて、君たちといるのかを考えてたのさ。」


「なるほど…深いですね!」


「そうだね。」


「た、高山くん怒ってる?」


「どう思う?今日もバイトで出勤したら、ここまで連れてこられたのさ。」


「は、はめられたね。」


「そんな日もありますよ!」


「ないよ。」


秀人が言う通り、今日彼は寄り道でのバイトが待っているはずだった。しかし店についてみれば、そこには心愛に麗華、正子と彩花が座っていた。

店長は行ってこいと一言言って秀人を送り出し。4人に囲まれて来てみれば大山と想汰も現れた。


「お待たせー。」


「…遅れた。」


「今日はいい天気でなによりだな。」


「1人浮かない顔だけれど。」


「当たり前だよ。」


「林さんはもう少しで来るそうです!」


「じゃ、じゃあ先に泳ごうか。」


秀人が今いる場所、それは市民プールだった。夏休みということで混み具合もなかなか、秀人にとっては地獄だった。


「で、なんで僕まで呼ばれてるのさ。」


「秀人ー昨日のキズナー見てないでしょー?」


「…ん。」


麗華が持ってきたスマホを確認し、昨日のやり取りとやらを見る秀人。


心愛[どもどもー。]


麗華[久しぶり!どうやってここに?]


心愛[秀人にー聞いたー。]


大山[こんばんはですね!]


正子[君たち、こんな遅い時間に…感心できんな。]


想汰[これ終わったら寝ますよ。]


林[同じく。]


彩花[また何かあるのかしら?]


心愛[この前の海でーあんま泳いでないよねー。]


麗華[確かに。忙しくて、気づいたら帰る日だった。]


大山[何もしてなかったですね!]


正子[うむ。夜も疲れて、泳ぐ気にはなれなかった。]


想汰[海水のしょっぱさが苦手かな。]


林[泳ぎたい。]


彩花[そうなると、どこかで泳ぐことになるわね。]


心愛[その通りー。寄り道の近くにープールあるのー。]


麗華[やった!じゃあいつにする?]


正子[早い内がいいだろうな。]


林[試合前。]


想汰[泳いでから試合は無謀でしょ。]


彩花[早いなら、明日でも私は平気よ。]


大山[自分も明日は夕方バイトなので、朝から行けますよ!]


想汰[元気だよね生山くん。僕は予定ないので、いつでもいいです。]


林[明日。]


心愛[決まりだねー。じゃあそれでよろー。]


麗華[秀人は?]


正子[彼が素直に来るとは思えないが。]


彩花[まあ即断るでしょうね。]


大山[先生を連れ出すなら、策を講じるべきですよ!]


想汰[ちなみに、高山くんには言ってないんだよね。]


林[既読つかず。]


心愛[言ってないねー。なんなら秀人ー明日バイトだしー。]


麗華[つまり、お店にいれば来るんだ。]


大山[チャンスではないでしょうか!]


正子[騙し討ちのような真似は…あまりしたくないが。]


彩花[じゃあ彼抜きで行きましょうか。]


正子[ぐぬぬ。]


心愛[店長にはーウチが言うよー。]


想汰[僕は先にいってるよ。高山くん相手に、勝てるわけがないから。]


大山[…自分も現地にいます!先生とは仲良くいたいので!]


彩花[この時点で、私たちにいい感情は抱かないわよ。]


正子[ならば、高山くんは私に任せてほしい。]


麗華[私も行くよ。]


林[練習後行く。]


彩花[遅れるってことね。私も監視役として、同行するわ。]


心愛[ウチはー早めに店長にー伝えておくよー。]


彩花[確保は4人ね。]


心愛[じゃあよろー。]


以上が昨日のやり取り。秀人が心愛を招いた事で、ここまで話が進んでいたようだ。


「相談って言ってなかったかな。」


「相談だよー皆でー泳ぎたいなーって。」


「…そう…海に行った…皆。」


「つまり先生もですね!」


「ら、らしいよ。」


「遅れた。」


「うむ。これで全員、あの日のメンバーだな。」


「私昨日送ったわよ。大変になりそうねって。」


「なってから言われてもね。」


秀人はそう言いながらも、しっかりと準備体操を行っていた。


「…やる気?」


「プールに来て泳がないってのは、どう見ても変でしょ。」


「先生…大きくなりましたね!」


「誰目線なのさ。」


「では高山くん、私と競争しようじゃないか。」


「嫌です。」


「流れる。」


「1人で浮かんでなよ。」


「む、向こうの方で遊んでるよ。」


「各自自由に…いつもと変わらないわね。」


「じゃあ適当に。」


秀人の言葉を合図に、各自がやりたいことをしに行った。


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