人嫌い、教える

「では各自、2時間遊んだら集合で。」


「はい!自分はもう少しバッティングしてます!」


「…遊ぶ。」


「な、何しようかな。」


「悩むわね。普段やらないことだらけだから、全部遊んでみたいわ。」


「じゃあ僕も遊んでくるよ。」


勝負が終わり、麗華の奢りジュースを飲んだ一同は遊ぶことにした。ただ複合施設なだけあって、各自やりたいことが違ったため別行動、行く先で会ったらよろしくといった方針になった。


「さて、何しようかな。」


「麗華さん!あのフルスイング、完成させましょう!」


「…次は…勝つ。」


「自分も負けられませんね!」


「ぼ、僕はゲームでもしてようかな。」


それぞれが目的地に向かってバラバラに歩いていく。秀人もやりたいものを決め、歩いていく後ろに彩花がいた。


「君はやることないの?」


「あまり縁がない場所なの。何があるか分からないけど、2時間も一人いるのはつまらないの。」


「さっきのバッティングに戻るとか?」


「バントで精一杯。他の競技をやるにしても、一人だと成立しづらいもの。」


「まあ先輩やうるさい奴と戦うよりか、僕の方がましか。」


「麗華は火がついてるから、邪魔もできないわ。ゲームセンターもあまり…」


「おお呼び捨て。ずいぶん仲良くなってるね、その調子で仲を深めて、僕抜きで盛り上がれるようにしといて。」


「それは難しいわ。今やあなたがいないグループってのも、想像できないから。」


「ちっ。」


「というわけで、しばらくよろしくね。」


「まあ君は、他と比べるとまだましだから良いや。」


そうして歩いていく秀人、どうやらやりたい種目は見つかっているようだ。


「よし、やってみるか。」


「以外ね。ダーツもあるなんて。」


「さっき飲み物を探してるときに見つけて、やってみたかったんだよね。」


「そう…ルールとかはあるのかしら?」


「色々あるよ。単純に点数の合計やら、逆に指定した合計点になるようにするのもね。」


「そうなの、詳しいわね。」


「昔部屋でやってたんだ。暇なときに投げて、点数をつけたりね。」


「なら教えて。」


「投げ方くらいなら。あとは本人のセンスと、勘だし。」


秀人の投げ方を見て、彩花も投げてみる。筋はいいようで、何回かやるうちにハットトリックを取れるようになってきた。


「いい感じだよ。」


「少し気を抜くと外してしまうわ。まだ練習が必要ね。」


「まあ始めて30分の人としては、外すのは仕方ないさ。」


「あら?もうそんなに経ってたの?」


「やってたらあっという間だよ。」


「このままダーツを?」


「いや、次はビリヤードでも。」


「…変わった趣味ね。」


「一人でやれるからね。誰かとやる競技は、縁がないんだ。」


そうしてビリヤード台に歩いていく秀人。なれた手つきで準備を終え、早速遊び始めた。


「見てる感じ、番号通り落とすのね?」


「そうだね、基本はそれだけだよ。」


「ちなみに順番を間違えると?」


「相手がいる場合交代だね、間違った番号にかすっても駄目。順番通り落とせたら連続でやれる。」


「目標の玉だけに当てて落とすわけね。明らかにぶつかってしまう場合は?」


「そうならないように、壁当てを使ったり工夫するのさ。」


ルールを聞きながらプレイしていく彩花。こちらはすぐ慣れることはできず、苦戦していた。


「難しいわね…」


「そう簡単には上手くならないさ。僕は次に行くよ。」


「…次来たときは勝負しましょう。」


「僕が勝つだろうけどね。」


「言っておきなさい。で、次で最後になりそうね。」


「君が盛り上がってたから、予想より時間使っちゃったよ。」


「悪かったわね。」


拗ねた顔をした彩花を連れて、最後に秀人が来たのはボーリングたった。


「これなら私もできるわ。」


「よかった。また教えなきゃと思ってたけど、必要ないみたいで。」


「前2つが高校生にしてはレアだったのよ。」


「ま、話すのはやめて投げようかな。」


秀人は一人で遊ぶつもりだったが、彩花が対戦形式にしていたため勝負になった。彩花も過去に何回かやったことがある程度の腕前、一人ボーリングを月1で楽しむ秀人には勝てなかった。


「…今回は調子が」


「悪かったなんてなしだよ。」


「こっちも練習が必要かしら。」


「さて。時間もいいところだから集まるかな。」


「そうね。今日は悪かったわ、あとありがとう。」


「また挑みたくなったら呼んでよ。人を打ち負かすのは大好きなんだ!」


「…検討するわ。」


それなりに楽しんだ二人は、集合場所に向かった。

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