人嫌い、高校生活を頑張る

ハム

人嫌い、まずは一歩目

彼、高山秀人たかやまひでひとは少し変わり者だった。秀でたる人になれと名付けられた事が災いしてか、幼い頃から他人の感情を見抜きやすい子供だった。


ママさんたちのご近所会話や、町を歩く若者たちの会話のなかに隠れた妬みや嫉妬、確かに心から誉める・同意するまっすぐな人もいるが、誰もが綺麗ではない。


そうした人の中の醜さを、小さいながらに考えていた彼はいつしか人というものが嫌になってきた。

どうして素直に誉めないのか、嫌なことを嫌と言わないのか。何故人は見るに耐えないのか。


そうした考えを持ったまま成長すると、自然と他人とは距離をとる。その醜さに触れたくない、ましてや自分の中にもあるのだと自覚したくなかったからだろう。


そんな彼も私立鳴神学園(なるかみがくえん)への入学が決まった。近場の高校でもよかったのだが、両親の言葉に、自分を知る人がいない環境へいくことにした。


「秀人、お前が人付き合いを避けて生きてるのは聞いてる。なんなら、俺たち親ともあまり話さず、一人で生きてるみたいだ。」


父は言った。世の中一人で生きていくには限界がある、それはすぐにやってきて、お前は何もできなくなると。


「だから秀人。高校は全くあなたのことを知らない人たちと過ごしなさい、あなたを知る同級生はみんな秀人を変わった人としか見てくれないわ。」


母が言った。1からスタートし、卒業までに他人付き合いを見て学び、実践して学べと。


「2人の言いたいことは分かったよ。やれるだけやってみるけど…期待しないでね。」


秀人はこの春から、人付き合いを学び始める。これは、それの一歩目だ。

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