教師が問を発するとき既に当人の中で答えは出ている

「じゃあ、今日は自分の得意属性以外の魔法を頑張ってみようか」


二学期も後半に入り、魔法授業のレベルも上がってきた。

今はもう帰ってしまったが、やはりウィルたちが一緒にいたことが大きいだろう。

新鮮な成功経験を持つものの言葉は受け入れやすい。

「出来た感動」とともに発される言葉は時に理屈よりも雄弁に物事を説明する。


「じゃあ、まずは得意不得意とは何かというところから考えていこうか」

「そのまんまでは?」

「もちろん、そういうものとして受け取ってもらっても構わない。ただ、今回は何か要因があって得意不得意があるとする」


うーんと首をひねる生徒たち。


「遺伝では?」

「お、どうしてそう思う?」


王国で言えば5年生にあたる年の男子生徒が意見を言う。


「俺の家系では水魔法を得意としています。領地に豊かな水源があることもあり、言い伝えでは水の精に祝福されて俺たちは水魔法が得意だと……」

「ふむふむ、実に興味深い……」


水の精、か。

少なくとも王国では聞いたことがない。

魔法が主流のファンタジー世界。

そんなものがいても不思議ではない。


「水の精はその水源にいるとされてるんだよな?」

「そのとおりです」

「なら、他の属性の精も当然いるんだろうけど、彼らはどこにいるんだ? 特に雷」


常に雷が降っているような地があれば、なんでそこに領地構えてるんだとなる。

早く逃げろよ、と。


「中には領地になんの特徴もないところもあるだろう。一旦精霊は置いておこう。で、遺伝の話なんだけど。みんな、王国の現国王の得意な魔法は?」

「え? えーと、雷?」

「正解。そう言われてるな。じゃあ、アン王女の得意なのは?」

「えーと……」


聡い子たちは、ここでライヤの言いたいことに気づく。


「火、ですね」

「ついでにキリシュライトは?」


僕はついでですか、と苦笑するキリシュライトの姿を幻視しながらライヤは続ける。


「水です」


その通り。


「つまり、王家のような明らかに遺伝が色濃いであろう人たちでさえ得意属性が違うんだ。これで俺は遺伝であるということに疑いを持った」

「確かに……」

「考えたこともないです……」


にわかにざわつく教室。

興味を持ってくれたようで何より。


「じゃあ、俺の推論を発表しよう」





【あとがき】

関東圏旅行してます

一人で(泣)


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