腰を据える

「答えは出たか?」

「はい、僕たちも関与します」


呼び出されたのは三日後。

キリシュライトの結論は、「手伝う」ようだ。


「理由を聞こうか」

「自己満足です。自分が王となった時に自分のそれまでの人生を誇りたい。自分は王に相応しいとは言えないまでも、それに足る存在だと。親しい友を見殺しにしていては、僕は王にはなれません」


三日。

悩みに悩みぬいたのだろう。

その表情からは迷いが消えており、晴れ晴れとしていた。


「実際に矢面に立たされるのは俺っていうのはわかってるよな?」

「はい、もう、それは。大変ご迷惑をおかけしますけれども……」


途端に弱弱しい表情を見せる。

これがこいつの憎めないところだよな。

はぁ……。


「結局は、俺がやらないでいい理由を探していただけなんだよな……」


ぽつりと呟いてライヤも覚悟を決める。


「やるからには、全面協力が約束されているってことでいいんだよな」

「もちろんです。動かせる人員には限りがありますけど……」

「いるだけマシだ。さしあたって、帝国内に協力者が欲しい。一年や二年で片付く問題じゃないからな。継続的に情報が欲しい」

「わかりました。マリオットから伝手をたどって……」

「違う。マリオットから協力者を出してもらうのは当然だろう。それとは別に俺たちが直接関与できる協力者が欲しい。悪いが、俺はあいつのことを全面的に信頼してるわけじゃないからな」


というか、あんないかにも怪しそうなやつを信用できるわけないだろ。

仕事をするという点ではランボルは信用できるかもしれないが、どうせそういう情報処理なんて今まで触れてきていないだろう。


「ただ、帝国内部に送り込むのは危険だ。まだ情報収集の段階で、どこから手を付けるかも決めていないからな。それに帝国の性質上、新参者には警戒度が高いだろうからな」

「では、どうしろと?」

「商人だ。帝国との関わりがある」





「それで? このあたしに協力を頼むと?」


更に四日後。

海洋諸国連合で商人として最大派閥を築いた女性の前にライヤはいた。


「そんなこと、呑むわけがないだろう? 帝国はあたしらにとってもいい取引先だ。そんな取引先が潰れちまうような事、するわけがないね。時間の無駄だ、帰んな」


強きなツリ目を更にググっと吊り上げて威圧してくる。


「まさか。商人の前に『協力』なんて二文字引っ提げてくるわけないでしょう」


それでも、ライヤは引かない。


「じゃあ何を持ってきたんだい」


あげかけていた腰をまた落ち着けて向き合ってくれる女商人こと、ギル。

何よりお金に目がなく、金を積まれれば自らの体さえも売りに出すという噂だ。

ただ、そこに法外な値段を設定しているという話だが。


「もちろん、儲け話ですよ」


ライヤは笑顔でギルと向き合う。

自身では笑顔と思っているだけで、ライヤを知っている者からすれば『悪いこと考えてる顔』と評される顔で。





[あとがき]

またサボってしまいました。

なぜ定期的にサボってもやめちゃえとならないのか自分でも謎です。


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