ライヤと秘密の部屋

まぁ結局のところ。

満足のいく物件は見つからなかった。

ではどうしよう。

もう自分たちで家の間取り図を決めて、そこから家の構造上危険がない程度に実現してもらうことになった。


「まずは個人の部屋だよな」

「えぇ、ちゃんとウィルの分も作ってあげましょう」

「ライヤさんの部屋にシャワーが欲しいです!」

「私はキッチンに近い部屋がいいかなー」


思い思いに要求を言っていく。


「ヨル、俺の部屋にシャワーっていうのは……?」

「……恥ずかしいんです!」

「……なにが?」

「あの、その……。終わった後に浴場に行くのが……」

「「あー……」」


わかるという表情をするアンとフィオナ。

ライヤもわかった。

要するに、事後に他の人の目を気にしながら浴場まで歩きたくないと。

確かに。

鉢合わせたりすると気まずいしな、お互いに。


「いや、待て」


そこでライヤは気付く。

なら俺の部屋じゃなくていいじゃん。


「よく考えなさい、ライヤ。私たちが逢う時に共通してるのはライヤしかいないのよ。つまり、集合場所がライヤの部屋になるのは至極当然よね?」

「じゃあ、隣にもう1個部屋を作ろう」

「……それ用の部屋をですか?」

「あぁ、防音も完璧にして。プライベート空間の保持って大事だと思うんだ。どんなに近いい関係でもな」


世の親子たちが部屋に入るの時のノックありなしで論争するのと同じようなものだ。

その人の遺伝子が半分はいってる関係ですらそうなるのだから、スタートが他人の関係ならより一層だろう。


「それならどれだけ好きに改造してもいいだろ? するたびに掃除するのが自分の部屋っていうのもなんかなと思うし。どうだ?」

「いいじゃない。じゃあ、どんな設備が欲しいのかあげていきましょうよ」


こうしてキッチンや居間のような主要なスペースよりも先に隠し部屋(?)のレイアウトが決まっていくのだった。





「冷静になればさ。俺たちかなりスケベな話し合いしてなかったか?」

「「「……」」」


盛り上がるだけ盛り上がって訪れる静寂。

フィオナでさえ少し顔を赤くして黙り込んでいることからどれだけ盛り上がったのかは察して欲しい。

その人が求めるものが本人の性癖みたいなところあるから、半ば性癖暴露大会だった。


「……とりあえず他に必要な部屋を言ってくか?」

「そうですね……」


ライヤと、比較的なまともな事しか言ってなかったヨルは復帰も早かったが、アンはダメだ。

爆弾発言を2,3個していた。

復帰には時間がかかるだろう。


「あ、キッチンは私の好きにしていいかなー?」

「そりゃもちろん。あまりにもおかしいのがあったら言うけど、一番使うのはフィオナだから、使いやすいようにしてくれ」

「やったー!」


次いでフィオナも復帰してくる。

顔の赤みは引いていないが、今はワクワクした顔でキッチンの図を描いている。

ぱっと見でもコンロの口が8個見えるが大丈夫か?

アンはまだ机に伏せたままである。


「風呂は広くしよう。これ決定事項で」

「そういえば、近くに温泉があるらしいですけど。温泉に行けばいいんじゃないでしょうか」

「マジか。じゃあ温泉ひいてこよう」

「えぇ……」


ちょっと引いてるヨル。

ええやろ、温泉!


「広くするのって、みんなで一緒に入るためですか?」

「それもなくはない。だけど、みんなは1人で広い浴槽に入る浮遊感を知らないんじゃないか?」

「確かに、1人ではないかもですね」

「いつも誰かしらお手伝いがいたもんねー」


忘れてた、生まれながらの勝ち組だったこいつら!


「ま、まぁ1人で入ったことは無いんだろ? じゃあそれを楽しみにしててくれ。浮遊感って表現めっちゃ正しいから」


是非試してみて欲しい。





[あとがき]

更新サボりすぎました。

温泉行きたい。


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