開幕、青空教室

「えー、今年度からズンバで教師をすることになったライヤ・カサンです。去年までは王国で教師をしていました。よろしくお願いします」

「同じく、去年王国で教師をしていたヨルです」


わあぁ! と歓声があがる。

ライヤの時には声が上がりもしなかったのに。


「これから短い期間であることを祈りますが、皆さんに魔力制御についての授業をしていこうと思います。よろしく」


なぜ魔力制御なのか。

青空教室でノートなんて広げてたら飛んでいくし、砂を巻き込んで面倒だしな。


「ミクとキリトも、ここではみんなの1年先輩だからな。頼むぞ」

「「はい」」


ズンバでは、というか元諸国連合では魔力制御に関する知識が曖昧だ。

ヨルのところではなぜか上手くやっていたが、そのスタイルが確立されていないのだ。


「魔力制御とは何でしょう?」


パッと見た感じ、7年生くらいの女の子が発言する。


「簡単に言うなら、魔法を発動する技量だな。例えばだけど、皆も相手が何の魔法を使ってるかは見なくてもある程度はわかるだろ?」


頷くのが半分とはてなを浮かべてるのが半分。

まぁ、そんなもんか。


だが、任せて欲しい。

ライヤの技量も日進月歩。

昔よりわかりやすい説明を編み出している。


「例えば、光魔法。ただ光源を作る魔法としても使えるけど、姿を隠す魔法としても使える。こんな風に」


ライヤは手の部分だけを光魔法で透明にしてみせる。


「ただこれだけでもかなり技量がいることではあるけど、皆はこれに違和感がないか? 具体的には、一部がかすんで見えたり、揺らいで見えたりな」


魔力制御が甘いと、相手から見て向こう側の景色をずっと映し続けるのが難しい。

光の具合で差が出来てしまう。


「それと同時に、魔法が使われてるなって感覚を掴める者もいるだろうけど、それも魔力制御と呼べる。ここではわけるために魔力感知とでもしておこうか」


よく知っている相手の魔力ならそれで判別できるようになったりもする。


「じゃあ、次は俺が本気で光魔法を使ってみよう」


スゥとライヤの姿が溶ける。

さっき見せられたので光魔法を使ってライヤが姿を消したのはわかった。

だが、どこにいるかがまるで掴めない。

周りをきょろきょろと見渡すが、さっきの手にかけいた光魔法のような揺らぎなんて見られない。


ミクとキリトはライヤの性格をわかっているので近くの方を警戒していた。


「絶対にやられたと思わせるために近くにいるわ」

「あぁ、絶対にそうだ。それで呆けている顔を見て高笑いするタイプの人だあれは」


2人の自分への評価に涙を禁じ得ないライヤだが。

それはそれとしてその予測は正しい。

当初、ライヤは皆の真後ろで姿を現そうとしていたからだ。

だがそれはあまりにも警戒されている。


ならどうするか。



もっと難しくしてしまおう。





[あとがき]

研修が始まりました。

尻が痛いです。


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