重要参考人

「おい、なんで俺は連れてこられてるんだ」

「重要参考人だからよ」


王城の近くにある裁判所にライヤは連れてこられていた。

過去何度も来ている裁判所だが、今回ライヤは被告ではないらしい。

何度も被告として来たことがあるというのがもう悲しいが。


「ニキーナ先生の裁判よ」

「……で、俺?」


裁判の内容は察しが付く。

この前の体育祭だ。

ユーリー家が起こした出来事で、止められなかったことを罪に問われるのだろう。

義弟が主犯格ともなれば、議題に乗るのは当然か。

しかし、あくまで犯人側ではなく、知らなかっただけなので裁判になるのか。

義弟であるドウェインやユーリー家は裁判もなく有罪であとは国王の沙汰を待つのみである。


「あなた、ニキーナ先生のもとに最初についたでしょ? 一番状況を把握していたと判断されるのは当然でしょう?」

「お前もすぐにいただろ?」

「あら、いたのはアンネ先生だと聞いてるけど?」


ニッコニコなアン。

こんな時だけ別人の振りすんなよぉ!





「では、重要参考人、ライヤ・カサン」

「はい……」


国家権力に逆らえるはずもなく、法廷に出るライヤ。

そもそも逆らえるなら自分の時に逃げてるって話だよな。


「ライヤ先生……」

「被告人。勝手に話さないように」


いつもの白ローブから簡素な服へと変わっているニキーナ。


「あなたが現場に到着したとき、ニキーナ・ドウェインはどのような状況にありましたか?」

「えーっと、複数の軍の人間に取り押さえられていたような……」

「ような、とは何ですか? はっきりとしてください」

「逆に聞きますが、あのような緊迫した状況にいきなり放り込まれて周りの状況を正確に把握している方がおかしいでしょう? 魔物たちに立ち向かわなければいけなかったので、ちゃんとニキーナ先生を認識したのはニキーナ先生が戦闘に参加してからです。ただ、その時に白ローブが土で汚れていて、抑えつけられていたのかと推測しました」

「……いいでしょう。下がりなさい」





「もうちょっと言い方は無かったの?」

「俺、あいつらにはいつでも喧嘩腰になっちゃうんだよな……」


蘇る被告として召喚され続けた日々。

そんなライヤを参考人として呼べる彼らのメンタルが憎い。





[あとがき]

朝マックは至高。


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