プランはあった
結局シャロンは凍って形になったペンギンを抱えて戻っていった。
なんでそんなに思い入れがあるんだ。
持ち帰られたペンギン君は女子たちに愛でられているが、お前ら、それ氷だからそんなに撫でてると溶けるぞ。
「次は俺です」
「おし、やろう」
次はデラロサ。
真面目なやつだから作戦を考えてきているだろう。
「いきますよ」
去年と同様に火球を周りに浮かべてスタートするデラロサ。
さぁ、どうくる?
ライヤが一歩踏み出すとこれまた去年と同じく火球を放ってくるデラロサ。
ライヤも去年と同じく制御を奪ってかき消す。
だが、ここからが去年と違う。
まだデラロサは動いておらず、次の火球を周りに浮かべている。
「……根競べか?」
「やってみます?」
挑発をしてくるデラロサだが、分がいいのは自分だとライヤは判断した。
相手がS
十分に戦える。
宣言通り、そこから数分はデラロサの火球をライヤが迎え撃つ形となった。
周りの生徒たちはもはや飽きて座って見学している。
だが、当事者である2人はそうも言っていられない。
いつ相手が今までと違う動きをするのか。
自分が今までの違う動きをするならどのタイミングなのかを考えながらの交戦となる。
そして、そういう駆け引きに慣れているのはもちろんライヤだ。
「(こっちとしてはいつ動いてもいいけど……。何を狙ってデラロサはこの状況にしたんだろうな)」
純粋な対戦相手ならライヤはもう仕掛けていただろう。
だが、ここは試験の場。
ライヤはデラロサの意図を測りかねていた。
まだそんなことを考える余裕のあるライヤと違い、デラロサは息が切れ始めている。
「(やっぱりきついですね……)」
S
魔力も発展途上のデラロサにはきつい。
しかし、彼の目論見は成功していた。
ずばり、この均衡状態を生み出すこと。
テストであるという点を鑑みて3か月かけて考えて生み出した作戦である。
だが、ここから先のことは何も考えていなかった。
「(どうしましょう……)」
その間にも火球を生み出す手は止められない。
いくら最も簡単な得意属性の球を生み出すという作業でも、片手間にやれるほどには精通していない。
当然、思考もまとまらない。
「あ……!」
打開しようと思考を巡らせたデラロサ。
火球の用意をミスする。
それを見逃すライヤではなく、一気に距離をつめられる。
「うあっ!」
デラロサは剣で迎撃する。
だが、体勢の整っていない剣に力はなく、ライヤに易々と避けられてしまう。
「(結局、何が狙いだったんだろうな)」
わからないままだったが、生徒のミスをわざわざ教師側が見過ごす理由もない。
咄嗟に振ったデラロサの剣をライヤは自分の剣で更に押してあげる。
勢いで振り切ってしまった剣を引き戻すほどの力はまだデラロサにはない。
「参りました……」
長く続いた割にあっけない幕切れであった。
[あとがき]
この頃マイクラにまたはまってます。
時間が溶ける……。
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