情?
マロンは皆の下に戻るとすぐに鎧を脱ぐ。
「ふー、重かったー」
感想それかい。
そして2人目までのテストを終えてわかったことがある。
「気を付けろよ? 今日の俺はどうやら調子がいいみたいだ」
アンとのウォーミングアップが効いたのか、他の要因かはわからないが、何はともあれ調子がいいのには間違いない。
「……お、お願いします……」
「今年は大丈夫そうか?」
次に出てきたのはシャロン。
去年と同じく、震えている。
結局去年の実践テストは周りに人がいない環境でやっとできたのだが、今年はどうか。
「先生、シャロンさんが震えているのは違う理由だと思いますよ?」
「じゃあ、なんでだ?」
「先生が自分の前に調子が良いと宣言したんですよ? 緊張も高まるというものです」
ウィルに言われ、なるほどと頷くライヤ。
ハードルを上げてしまったか。
「まぁ、やることは変わらないから。な?」
「……(プルプル)」
まるで生まれたての小鹿。
一応、対戦相手であるライヤにここまで心配させるのも一種の才能だろう。
「一旦深呼吸しろ、な? いきなり襲い掛かったりしないから」
「(コクコク)。……すぅー、はぁー」
「大丈夫か?」
言葉の代わりに剣を構えて答えるシャロン。
周りには水球がいくつか浮かんでいる。
「じゃあ、始めるぞ?」
「……お願いします!」
去年はここから気絶したが、今回はどうか。
「おぉ」
まずは小手調べでライヤはシャロンの周りをぐるぐると飛ぶが、シャロンの周りに控えている水がライヤの方に出てきて簡単に接近を許さない。
この時点で気絶していないだけで最早シャロンは合格だが、ここで止める理由はない。
「氷よ」
ライヤは氷を生み出し、シャロンの水壁にぶつける。
凍らせて、制御を奪おうという考えだ。
水のままでもできないことはないが、こちらの魔法が作用していた方がより容易い。
「……守って!」
「……は?」
シャロンが声をあげると、水壁から離れる影が一つ。
「ててーん!」という効果音が聞こえそうなモーションを取った。
なんだあれ。
もぞもぞと動いたその影は徐々に動物の形となり、ライヤの氷を受け止める。
「……ペンちゃん!」
命令通り、主の水をライヤの氷から守ったそのペンギン型の水はもちろん氷漬けになる。
そこまでは良かったのだが、なんとシャロンがそのペンギンを気遣ってか、水の中から出て来てしまった。
「てい」
「!?」
「!? じゃねぇよ。お前が水の中から出てきてどうする」
シャロンの頭にチョップを叩きこむ。
そんなことになると誰が予測できただろうか。
自分がチョップされて負けたことなんてどうでもよくて、氷漬けになったペンギン型の水を抱えて目をうるうるとさせているシャロン。
そんなことになるなら動物の形にするなよ……。
[あとがき]
シャロン可愛い。(自画自賛)
ここまで読んで頂きありがとうございます!
良ければブックマーク、応援、評価、感想お願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます