体育祭1週間前
正気の沙汰とは思えない。
「フィオナ」
「やはり、止められなかったようですね。彼らの主張にも理はありますから」
エプロン姿ながら真面目モードになったフィオナがどこからか紙束を取り出す。
「諸国連合を吸収したことにより王国軍には更なる軍備拡張が求められます。当面は元諸国連合の領土の防衛に割かれることになるでしょうが、問題は魔物です。王国よりも土地はいくらか狭いとはいえ、開拓が進んでいないのもまた事実。道を通したり、開拓する際に魔物の掃討は必要にはなります」
「だけど、2年生から導入は絶対におかしい」
「それが上の判断ですので」
「……くそっ!」
ガンッと机をたたき、珍しくライヤが声を荒げる。
「ライヤさん、私たちじゃ対処できないんですか?」
「……対処できないことは無い。だけど、無理やりすぎる。例えばだが、今魔物に対してアクションを取らないといけないとしても、2年生に魔物との戦いを経験させる必要がない。2年生が軍に入るのは5,6年も先の話だからな。5年生で経験すれば十分に間に合う。絶対に他の意図があるだろうな」
「そんな感じで1週間後に魔物討伐だ。今回は王都外に出て広い範囲を移動するという形式上、親御さんの観戦が直接あるわけじゃない。何のための体育祭なんだと思うけど、決まってしまったものは仕方ない」
「今回もF
「そうらしいな。だから早いところ情報を共有して……」
「この後の時間は合同という事ですか?」
「……何か心配が?」
「いえ、先生の心配です」
ウィルにしては珍しくライヤの言葉を遮りながら確認してきたので確認するが、答えを聞いても何のことかライヤにはわからなかった。
「覚悟ぉーー!! へぶっ!」
「なるほど」
F
ライヤとウィルの関係は対外的には認められていないが、学内では周知のことである。
「いや包丁!? 本気で殺す気じゃねぇか!」
マオならライヤを殺りに来かねないというウィルの懸念だったのだろう。
間に氷壁を立てて塞いだが、激突する勢いが凄かった。
殺される気はしないが、生徒から包丁を向けられるというのは精神的に来るものがある。
「ほら、無理だったろ? 先生、すみませんでした」
「いや、まぁ、いいけどさ……」
「何やってるの、離して! じゃないとそいつ殺せない!」
「どうあがいてもお前じゃ無理だよ」
ズルズルとこれまた久しぶりのクンに引きずられF
……。
気にしないでおこう。
「さて、本年も体育祭がやってまいりました。例年とは形式が異なりますが、今年こそ優勝を目指しましょう!」
「「おぉ!!」」
去年既にかなり仲良くなっていたこともあり、士気は上々だ。
「今回は1種目のみで、魔物の討伐数を競うことになっています。私たちは2年生ですので王都周りになります。救援も近くに待機しているので過剰に怖がり過ぎることはありません。討伐数を競うという競技ですので、手分けして対応するのが良いと思うのですが、他に何か案はありますか?」
去年と同様にウィルが仕切っていく。
去年と違うのはクンをはじめとした貴族に対する悪印象が大きかった生徒たちがウィルの話に耳を傾けやすくなっていることか。
「いいでしょうか」
「はい、クンさん」
そんなことを考えていると、ちょうどクンが挙手した。
「魔物には魔法が有効ではないと聞いています」
「そのようですね。どの文献を見てもそう書かれています」
「俺たちは王都外に住んでいるのも多いです。家で魔物と戦った経験があるのも割といます」
「! それは本当ですか?」
クンの言葉にライヤもびっくりする。
そりゃそうだ。
農家の全てを兵が守るわけでもなし、そこらにいるような強さの魔物なら自分たちで対処しなければならないことも多いだろう。
ライヤは王都内で育ったため、その発想がなかった。
「ですので、普通ならばS
「私は構いません。皆さんはどうです?」
「俺もいいぜ。別にリーダーになったところで成績がプラスされるわけじゃないしな。俺だって勝ちたい」
ゲイルが同意したことでS
シャロンはリーダーとして他の生徒を引っ張らなくていいとわかって明らかにホッとしている。
「とりあえずは各班に2人ずつくらい経験がある者を入れてどんな感じで魔物と戦うかを明確にしていきたいと思います。どうでしょう」
「それでいきましょう」
クンのリーダーシップが凄い。
[あとがき]
マインクラフト楽しい。
あ、一昨日誕生日でした。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
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