フィオナの場合
「流石に私が2番だよねぇ~」
「だから、なんで呼ばれずとも来るんですか……」
アンに他に人と変わると言って、アンがライヤの部屋を出てからものの20秒ほど。
ドアが開いてフィオナが入ってきた。
「……ちょっとそこに座って待っててください」
「は~い」
そんなすぐに切り替え出来るもんじゃない。
「いや、そんなにこっち見られても困るんですけど……」
「え~?」
落ち着く時間をください。
「あんまり気にしなくてもいいよ~?」
「気にしますよ、それだけは。大事にしないなら、意味がないでしょう」
こっちの世界では形式上の婚姻などいくらでもある。
親同士の取り決めで許嫁が決まるのも当然だから。
だが、それは他に選択肢がない場合だ。
アン、ウィル、フィオナ、ヨルは他にいくらでも選択肢があるだろうに俺を選んでくれている。
なら、それなりに誠意を示さなければ。
「ん~♪ いいね~!」
ゾクゾクっと身を震わせるフィオナ。
フィオナがいる方からは横を向いて落ち着こうとしているライヤには見えないが、フィオナはその横顔を見てうっとりとする。
フィオナの中でライヤの何が好きか、1つ上げるとしたら目と答えるだろう。
学生の時から変わらない、何かを考え出すと鋭くなる目つき。
その目を自分に向けて欲しいと思う自分はMなのだと気づいたのは卒業してライヤと会うことがなくなってからだ。
だから、無理やりにでも会うために教員寮の管理人になった。
しかし、思惑通りにはいかない。
そりゃご飯を食べている時に険しい表情になる奴なんてあまりいない。
だから、フィオナはもう1つの自分の顔、暗部であることを活かすことにした。
結果としてライヤの真剣な表情を特等席で見ることが出来たのだ。
それはそれとして。
普段のライヤのことも段々と好きになっていった。
実家では何も楽しくなかったご飯の時間がライヤとで楽しくなった。
日々、何気ないことでも楽しく思えるようになった。
「じゃあ、先輩」
「先輩は違うんじゃないかな~?」
「うっ……」
今からプロポーズをしようというのに先輩呼びはあんまりではないかと。
「じゃあ、なんて呼ぶんですか」
「敬語も違うよね~? フィオナで良いってずっと言ってるよね~」
「……フィオナ」
「……」
ボッと顔を赤くするフィオナ。
想像していたよりも真面目な顔で名前を呼ばれると、フィオナには刺激が強すぎた。
くらりとそのまま倒れそうなのをグッと堪える。
「大丈夫か、フィオナ」
「はうん……//」
後ろに倒れかけたフィオナを支えようと寄ってきたライヤからの追い打ちで完全にノックアウト。
「え、いや……」
「ちょっともう今日は許してぇ……。もちろん結婚はするからぁ……」
「あ、え? うん……?」
結局、本題の話はライヤが言うことなくフィオナが承諾して終わった。
[あとがき]
ギャップ萌えは至高。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
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