200話記念 ファッションショー

「それで、今日はどういう趣向だ?」

「どういう趣向ってこともないんだけど……」


いつものようにアンに家から連れ出されたライヤ。


「ちょっと服を選びたくて……」

「服ぅ?」


ライヤはアンを頭のてっぺんからつま先まで眺める。

白いインナーに明るめの色のカーディガン。

ロングスカートにパンプス。

どこからどう見ても文句のつけようのないコーデである。


「そうじゃなくて」


ライヤの視線に気づいたアンが理由を話す。


「ほら、私の服っていいところで作られたものじゃない?」

「そりゃそうだな」


王族だし。


「でも、庶民の服を着てみたくなる時ってあるじゃない?」

「……?」

「あるの!」


あるらしい。


「つまり、普段しないような服装をしたいってことでいいか?」

「そう! それよ!」

「でも、それ専用の服屋なんてないだろ?」


そこらの露店とかで売っている服を組み合わせて着ているからこそ庶民の服装なのである。


「そうよ? だから荷物持ちが必要よね?」

「あ、はい……」


まぁ、わかってましたけどね……。


「ほら、行くわよ!」


その後、各店から出てくるごとに持っている袋の数が1つずつ増えているライヤの姿が観測された。





「で、俺の部屋と」

「他にどこで着替えるっていうのよ。いいじゃない、私のライヤ専用ファッションショーよ?」


ふむ。

そう言われれば悪くないような気がしてくる。


「じゃあ、着替えていくわねー」


開幕だ。


「まずはこれかしら」

「イメージは?」

「そうね。花屋の子かしら」


真っ白な髪をポニーテールにして結わえたアン。

薄手の白い長そでをまくり、裾が広くなっているベージュの長ズボン。

そして薄緑色のエプロン。


「この店員がいたら店員宛の花を買う人で儲かるんだろうなぁ」

「あら、良いコメントするじゃない。何点かしら?」

「点数でつけるのは難しいけど……。ポニーテールがいいアクセントです。82点」

「いいわ、じゃあ次ね」


脱衣所に下がったアンがまた出てくる。


「イメージは何でしょう?」

「うーん、薬屋」

「正解よ」

「いや、それで薬屋か医者か判断するの難しすぎるだろ。2択だぞ」


前をボタンで留めるタイプのかっちりとしたシャツに足にぴったりと張り付くようなズボン。

そしてなぜか白衣を纏っている。


「そんなのどこで売ってたんだ?」

「いつの間にか袋の中に入ってたわ……。これが衝動買いってやつかしら……」

「また別の話な気がするけどな……」


この衣装のポイントは何といっても銀縁のメガネをかけていること。

白衣によって生まれている知的なイメージがより強くなる。

やはりメガネは正義か……。


「次はこれ」

「ぶふっ!?」

「な、なによその反応……。これが何か知ってるの?」


なんとアンが着て出てきたのはセーラー服。

それもミニスカート改変バージョン。

よく見れば制服の上の部分も丈が短いような……。


「どう?」

「ありがとうございます!」

「お礼!?」


懐かしさもあるが、それ以上にエッチだ……。

行ったことはついぞなかったが、制服のエチチなお店に行ったらこういう服着てるのかなぁ。

健康的な生足とおへそ……。

神だ……。


「そ、そんなに気にいったの? 今度から時々着てあげようか?」

「うーん、今度はまたしかるべき時で……」

「しかるべき時って何よ! ちょっと目がいやらしいわよ!」


嗚呼、恐らく俺よりも先にこちらの世界に来た先人よ。

よくもまぁこのような形で文化を輸入してくれたものだ。

深く感謝申し上げます。





[あとがき]

何が言いたいかというと。

制服っていいよねって話。


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