お約束とは
「聖王様との予定までは3日ほどございます。何も遊ぶなとは申しませんが、王国を代表して来ているのだという自覚をお持ちになって……」
「ライヤ、行くわよ!」
お付きの人の言葉も何のその。
まだ話している途中だが、ライヤを引っ張ってどこかへ行こうとするアン。
ライヤは引きずられながらお付きの人に礼をする。
心中お察しします。
「行くったってどこに」
「どこでもよ! 初の国外だもの!」
初の国外旅行だ。
はしゃぐのも頷けるが。
「せめて護衛はいた方がいいんじゃないか? アンに何かあったらヤバいだろ」
「何かあったらダメだから聖王国に来たんでしょ? ちゃんとお父様の許可も取ってあるわ」
聖王国の情勢は安定している。
国内での事件数も少ないらしいし、治安も良い。
それだけ良い政治を行っているという事だろう。
だがそれはそれとして。
王女に護衛がないのはいかがなものか。
「ライヤが護衛でしょ?」
「そういう名目で呼ばれはしたけども」
襲われた時に対応できるのか、1人で。
「きゃー! ちょっとどいてーー!!」
スッ。
「ぷぎゅるっ」
街を散策していると、目の前の坂から女の子が走ってきた。
「……ちょっと! そこは抱き留めるのがお約束でしょ!」
「いや、どいてって言われたから」
「そこまで含めて!」
「どけ!」
大柄な男たちが通りを抜けてきた。
どうやら彼女を追ってきたようだ。
「ねぇ、助けて!」
「は?」
「助けてくれたらお礼に何でもするよ?」
はしっ、と抱き着いてきてライヤに懇願する女の子。
パッと見た感じではライヤよりも年上のようだが、あざとい動きで若干幼い印象を受ける。
しかし体つきは大人の女性のそれであり、今もたわわに実った果実をライヤに押し付けている。
「おい! そこの男! 邪魔をするなら……!」
「あぁ、いえ、全然。邪魔するなんてとんでもない。大変ですね」
「え、お、おう……」
自分にくっついていたのをいいことに女の子を捕獲して引き渡す。
女の子は目を白黒。
「女の子は助けるものでしょう!?」
「助けないといけないなら考えるけど。おじさんたちの恰好を見る感じ、聖王国の騎士団の人でしょ?」
「あぁ、そうだ」
「なら、追われてる理由が何にしろ、引き渡すのが当然の判断だと思うけど?」
女の子は開いた口が塞がらないと言った様子でドナドナされていった。
ドナドナドーナードーナー♪
「それで、アンは何で隠れたんだ」
「本能的によ」
普段から王宮から脱走して兵に追われている身としては何か感じるものがあったらしい。
アンの本能を信じるなら、彼女もそれなりに立場があって脱走してきていただけなのだろう。
騎士団の人の動きを見る感じ、これが数回目とかいう頻度でもなさそうだ。
女の子の男に取り入る動きも洗練されてたし。
常習犯なのだろう。
願わくば、もう関わりたくはない。
[あとがき]
2話更新無理でした。
代わりに新作進めときました。
そろそろ出そうかなと。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
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