学年最後の
本日は修了式。
同時に8年生の卒業式も執り行われている。
しかし、学年同士のつながりが少ないこの学園。
それぞれの学年が分かれているので在校生に見送られる卒業生という構図は存在しない。
クラブ活動とか、個人的に関わりがあるなら別だが。
「皆さんがこの1年を健やかに過ごしてくれたことを、学園長として誇りに思います。環境が変わり、慣れないことも多くあったでしょうがこの場にいる全ての生徒の皆さんに敬意を。そしてそれを支えた先生方に最大限の感謝を。色々ありましたが、生徒たちが健やかに過ごせたのは先生方の尽力の賜物です」
学園長による挨拶が行われている。
どういう理屈か知らないが、全ての学年の会場に学園長は存在するらしい。
なにせ、それぞれの会場で挨拶している学園長の姿が確認されているのだ。
ただただ、化け物じみている。
「これから春休みに入り、皆さんは2年生になります。校舎も変わり、担任の先生が変わることもあるかもしれません。勉強も難しくなっていきます。それでも皆さんが楽しく過ごしていけることを願って」
まるで来年度の始業式の挨拶のような言葉で挨拶は終わった。
「先生! 担任って変わるんですか?」
「そりゃ変わるだろ。学校で変わらない方がおかしい」
担任についているのは単純計算で7クラス×8学年で56人もいる。
他にも担任の職にはないが補助に入る先生たちもいる。
全体では100人近くの先生がいるのだ。
同じクラスの担任になる可能性は低い。
現にライヤが学生だった頃も同じ人が担任となったのは1回だけでその先生も2年生の時と5年生の時である。
連続でとなるとさらに考えづらいだろう。
「違う先生になったらまた教え方も違うだろうから。俺を引き合いに出して反論とかするんじゃないぞ? 何か不満があったら聞くだけなら聞いてやるから」
生徒たちが他の先生に「でもライヤ先生はこう言ってました」とか言って反発したらヘイトを買うのはライヤである。
「ま、新学期になるまでそんなこと考えても仕方ないから。それより皆は春休みをどう楽しく過ごすか考えたほうがいい」
「宿題はないんですか?」
「あるにはあるが、基本的なものだけだ。来年度担当の先生が最初から宿題のチェックに追われるのは不本意だからな。あ、そうだ」
折角だから、とライヤはいつぞやにまとめて作っていた木の棒を取り出す。
「みんなの魔力制御がどれだけ上手くなったのか見たいな。やってくれるか?」
よほどライヤと別れるのが辛いのか、生徒たちは少し涙ぐみながら各々棒を手に取る。
シャロンなんかはボロボロ泣いてるが。
「「炎よ!」」
生徒たちが火を点けた棒にライヤは満足そうに頷き、担任として、教師としての1年目を終えた。
「ライヤ・カサン。アジャイブ魔術学校からの軍への編成において、大佐相当の地位を授けるものとする。なお、部隊を率いてもらうが、その部隊については追って連絡する」
「拝命いたします」
そして、戦争が始まる。
[あとがき]
次回から春休み編です。
2年生編より前にまだありました。(自転車操業なので許して……)
ここまで読んで頂きありがとうございます!
良ければブックマーク、応援、評価、感想お願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます