第108話


私は結を優しく抱き締めながらしっかり言いつけを守った。いつも盛りすぎてしまう私は時おり唇を離して落ち着きながら何度もキスをした。私もいつまでもガキじゃない。それにしても気持ちがよくて幸せな時間だった。


その後も二人きりでくっついてキスをして過ごした。結は私を受け入れながら徐々に甘えるようにすり寄って密着して離れなかった。


それはベッドに入ってからもだった。

私が先に眠くなってしまったのでベッドに入る事になったのだが結は仰向けの私に横から抱きついてきた。


「……」


「結もっと近くにきて?」


なんにも言わない結は照れているのだろう。結の方に体を向けると結は待っていたと言わんばかりに密着してきた。


「寝るまでくっついてていい?」


結の行動を汲み取って頭を撫でてあげると結は無言で頷いてくれた。恥ずかしすぎると黙ってしまう結のくせはいつか直るのだろうか。


「結……好きだよ……」


結が暖かくて眠気が増す。もう少し起きていたいが今日は無理そうだ。目が開けてられない私はそれでも結に話しかけた。


「……結ごめん。もう眠いから寝るね……おやすみ」


「……おやすみ」


ベッドに入ってすぐなのに私はもう眠ってしまっていた。

結とベッドでも話したかったのに眠気には勝てない。

眠ってしまった私に結はがっかりして寂しくなっていたのに気づいたのは朝だった。









寝覚めが悪い私を起こしてきたのは結だった。



「泉……んっ……はぁ、泉……んっ……ねぇ、泉……」


私を呼ぶ結は切羽詰まったような声をしていて、うっすら目を開けるも状況が掴めなかった。なぜなら結が私の上に乗っていたからだ。


「……ゆい……」


なんで私の上に乗ってるんだろう。眠い頭では深く考えられない。それに結はさっきから少し動いているようだ。


「……あんな……キスしといて……んっ、先に…寝ちゃうし……んっ……しないなんて……意味分かんない」


「ゆい?……」


結は切なそうな顔をして吐息を漏らす。キスがなんかダメだったのか?少し覚醒してきた私は結に強引にキスをされてやっと事態を把握した。

どうしてこうなっているのか分からないが結は下を全部脱いで私の服も少し脱がせていた。そして股を私に擦り付けるように腰を動かしていたのだ。


驚きの状態の中でも結は私を色っぽい顔をしながら見つめる。腰の動きが止まらない結の濡れたそれが私を濡らしてくる。それはとんでもなく卑猥に見えて私はもう興奮していた。普段の結からは考えられない。


「はぁ……んっ、……今日は……はぁ……しないの?……んっ…あっ……しないなら…勝手に…んんっ…一人でするから……動かないで…」


「昨日したかったの?すぐに寝ちゃってごめん結。言ってくれれば良かったのに」


結は期待をしていたのに裏切ってしまったようだ。私はどぎまぎしながらも結に手を伸ばしたら、結はそれを掴んで自分の胸を揉ませてきた。


「はぁ……あっ……んっ……恥ずかしくて……言えなかった。……んっ、はぁ……ねぇ、胸……触って?」


昨日はエッチよりも結を愛でる方が良いと思っていた私は間違っていた。結と会えないからくっつくと言った矢先にエッチしたら結に呆れられてしまう気がしていたが全くいらない話だったみたいだ。


「じゃあ上も脱いで?」


エッチな結を見ててやりたくないはずがない私は結から手を離した。このエロい結を見たらドキドキと興奮は止まらない。結はそれにやっと動きを止めるとすぐに服を脱ぐ。下着まで外した結はもう裸だ。


「……昨日言う事聞くって言ったんだから待たせないで……」


「うん」


性欲に負けている結が強く主張してくるから私は結を抱き締めながら起き上がって結の濡れたそこを触る。もうぐちょぐちょに濡れている。いつからしていたのだろうか。結のエッチな姿は胸を締め付ける。


「結濡れすぎじゃない?私のお腹もべちょべちょだし。そんなにしたかったの?」


「んっんんっ……あんたが、キスばっかりするから……あっ!んっ……そこ、やだ」


結の良いところは分かっているのに毎回嫌だと言うのは快感が強すぎるからなのか。結は腰をびくびく動かしていたがやめるつもりはない。私はキスをしながらさっきの要望通り胸に手を這わせた。


「嫌じゃないでしょ?胸もここも好きじゃん」


「んっ……だって、気持ちよく……なりすぎる……んんっ……から……」


「気持ちよくなりたかったから私に擦り付けながら腰振ってたんじゃないの?」


結の乳首をなじると目に見えて体を震わせる。それなのにいつもみたいに強がってきた。


「うるさい……あっ……もう、ちょっと待って……」


「待たない。ねぇ、気持ち良かった?私に擦り付けながら腰振るの。教えないといかせてあげないよ?」


「……んっ……」


刺激を程よく緩めながら問いかける。結がエッチで可愛いから意地悪してしまう。結はこういう時は素直になってくれるので黙ってしまっても待っていた。焦らされるのはむず痒い。私は胸も下も弄りながらキスをして首筋を舐める。

気持ち良さそうな声を漏らす結は下を弄る私の腕を掴んだ。


「もっと早くして…」


「じゃあさっきの教えて?」


「んっ……気持ち良かった。いけない事してるのに…はぁ、興奮して……んっ、泉としたの……思い出しながらしてた……あっんっ……はぁ……あんたが……してくれないから」


反発するような顔も可愛くてたまらない。私のせいにしたい結の性欲にはとことん付き合ってあげよう。どうせ今日が終わったら夏休みが終わるまで会えないんだ。

私は中の指の動きを早めた。素直に言えた結をいかせてあげよう。


「エッチで可愛いよ結。もう辛そうだからいかせてあげるね」


「はぁっ……んっ、ちょっと……泉……早すぎ……!」


結は切なそうに喘ぎながらすぐにいってしまった。それでもエロイ結を目の当たりにして止まるはずがない私は昼近くまで結としていた。




いつもよりも激しく獣みたいに求めあって何回もする度に興奮が高まる。結のエッチな姿は私には本当に毒だった。もう行為はお互いに止まらなかったし、結は私よりも求めてくれた。

正直結がこんなにしたいと思ってくれてたいたのには驚いた。結を襲っているのはいつも私なのに、私が求めすぎるあまり結はエッチになってしまったんだろうか。




終わったあとの結はとても恥ずかしがっていた。してる時の方が恥ずかしいと思うのに結は一向にこちらを向かない。




「結?気持ちよくなかった?」


「……」


「ねぇ、結?こっち向いてよ。なんで恥ずかしがってんの?」


「……」


「結ちゃーん。聞いてますかー?」


終わって少しベッドで休んでいたらいきなり反対を向いてしまった結に話しかけても無視される。いきなりどうしたんだろう。

私は肩を揺らしてみた。



「ねぇ、結?どうしたの?なんか気に入らなかった?それとも気持ちよくなかった?」


「……あんたのせいで変態みたいな事しちゃったでしょ」


「え、変態?なにが?」


いきなり恥ずかしそうに呟かれても私にはどれの事やら。エッチをしてる以上変態って言われても仕方ない事をしているはずだ。結は背中を向けたまま話した。


「あんたが中途半端にキスなんかするから性欲に負けてあんたで自慰行為したんだからね私。……もう死にたい……。あんな事しちゃうなんて……ありえない本当に…」


どうやらさっきのオナニーを心底後悔して恥ずかしがっているようだ。オナニーをしていた結も可愛かったから私は気にしないのに、結は真面目だから道徳的にとか色々考えているんだろう。


「別にいいじゃん。可愛かったよ?」


私は後ろから結を抱き締めた。結があんな事をするのは驚いたが軽蔑はしない。結はそれでも気にしていた。


「可愛いとかそんな話じゃないから。……もう本当に最悪……」


「オナニーなんか皆するからいいじゃん。そんなに気にしなくていいよ。私結の事大好きだし、私も結の事考えてする時あるよ?」


別にこれは変な事ではないのに結は怒っていた。


「そうかもしれないけど違うの!……恥ずかしくてあんたの顔見れない……!」


「もう結」


私は結の肩を掴むと無理矢理仰向けにさせようとしたが嫌がってきた。


「ちょっと、やめて」


「もういいからこっち見て?」


「やだ、泉…!」


「もう逃げないの結」


私は結の上に移動して結が顔をそらせないように距離を詰めた。結は間近にいるのに私からは目を逸らし続けている。恥ずかしがって可愛い事だ。


「こっち見て結」


「やだって言ってんだろ…」


「好きだからこっち見てよ」


「……」


結はやっと私に目を向けてくれた。恥ずかしがっている結は顔をしかめている。気にしないって言ったし好きだって言ってるのに気にしている繊細な結に胸が締め付けられる。


「そんな恥ずかしがんなくて平気。私も一緒だから」


私は可愛い結が納得できるように話した。




「私結がオナニーしてんの見たら興奮したんだよ。エッチすぎていつもより興奮したかも…。だから平気」


「……変態」




さっきまで自分がそうだって嘆いていたのに今や私が変態呼ばわりだ。だが気にしない。


「うん、変態です。結に興奮しちゃう変態ですよ私は」


ちょっぴり恥ずかしいけど結が好きだから開き直った。結以外に胸がときめいたりあんなに興奮する事はない。結は益々恥ずかしそうに顔をしかめると私に抱きついてきた。



「……あんたみたいな変態相手にするの私だけなんだからね。このバカ。ど変態……」


貶されているがこれも愛しくて可愛く感じる。私も結を抱き締めてあげた。


「結も変態じゃんよ」


「私は泉より変態じゃないし……」


笑ってしまうような主張は今は仕方ないので頷いてあげた。


「うん、そうだね。そうでした。じゃあ、もう平気?」


「……うん」


体を離すと結は少し笑って私を見てくれた。

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