第93話
疲れながらバイトもこなしつつ今日は待ちに待った結とのおうちデートの日だ。
プレゼントも買ったし結と楽しめるようにBlu-rayも何個か借りてきた。後は結が来るのを待つだけなんだけどそわそわしてしまう。
まだかなぁ、と時計を見ながら待っていたらインターフォンが鳴った。やっと結が来てくれた。私は急いで玄関のドアを開けて結を迎え入れた。
「今日はまず何する?映画とかミュージカルのBlu-ray借りてきたけど見る?」
部屋まで結を案内して早速提案してみた。家にいるだけだから退屈にならないようにしたいが何をしたら良いのか分からない。結は私の隣に座るとテーブルに袋に入った箱を置いた。
「それよりケーキ。九条が作ってくれた」
「ケーキまで作れんの九条さん。さすが……。とりあえず冷やしとくね」
「うん」
私はケーキを冷蔵庫に持っていった。まだお昼すぎくらいだしお腹は減ってない。やっぱりまずは映画を見よう。私は部屋に帰ると結にどれを見たいか聞いてから映画を見る準備をした。飲み物を用意してちょっとしたお菓子も用意するのを忘れない。
しかし、映画が始まってからなぜか無言になってしまった。
「……」
「……」
結と話したい事があったのに私はちょっぴり緊張していた。おうちデートって事はこないだの外でのデートとは違う。結がすぐ隣にいるから肩を抱いたり手を繋いだり気兼ねなくできるのだ。でも、なんかいきなりするのは恥ずかしいというかタイミングが分からない。今日はエッチもする約束なのに今からこれで大丈夫なのか。
私は悩みながらも無言の空気に耐えられなくて結に話しかけてみた。
「クリスマスはどうだった?」
クリスマスの日も変わりなく連絡をしあっていたが詳しくは聞けていない。結はいつもみたいに答えてくれた。
「普通。皆喜んでた」
「ふーん、そっか。楽しかった?」
「普通……」
「もうなにそれ。ピアノ弾いたの?」
「うん。大袈裟なくらい喜んでた」
分かりにくいがいつも通りといった感じか。チャリティーでサンタのような事をするのに普段は冷めてて態度が悪いって子供が知ったら驚くだろうな。私は笑いながらクリスマスや最近の事について結と話した。しかしそのうちにまた沈黙の時間が生まれる。もう映画が始まってしばらく経ったしそろそろ手を繋ぐくらいしないと。すると結が私の肩に凭れてきた。そして控えめに手を握られる。
「……前より良くなった」
結は私の手を確認するように指で触れてきた。あの日からケアを怠らなかったんだ、今日は躊躇わなくても大丈夫だ、私は結の手を優しく握った。結に後押しされたみたいに感じる。
「結のおかげ。それに言われた通りちゃんともらったハンドクリーム塗ってるから」
「そっ。……だったらくっつかないの?」
思わずに結に顔を向けてしまった。くっつくって結もそういう事を思ってくれてたのか。結は視線を下げてこちらを見ようとしなかった。
「今日はおうちデートなんでしょ?……一緒にくっついて…テレビ見ながら……いちゃいちゃしたりするんじゃないの?」
「……するよ。今からしようと思ってた。結こっち来て?」
結が勇気を出して言ってくれた。私が勇気を出さないから。結にいつも引っ張られているのにこんな時くらい私がリードしないでどうする。私は足を広げて私の前に座るように結を呼んだ。結は黙って私の前に横向きで座ってくれたから体を抱き締めて指を絡めながら手を繋ぐ。
「今日はずっとくっついてよ?離さないから」
「うん……」
「結」
「なに?」
もう照れていそうな結を呼び掛けてこちらを向かせる。私は少し笑って触れるだけのキスをした。
「好きだよ。今日もすっごく可愛い」
「……あっそ」
結は気に入らなさそうに私の肩に顔を押し付けてくっついてきた。素っ気ない返事をするくせにこうやってくっつかれると何も言えなくなってしまう。私達はしばらくそうやってくっつきながら過ごした。
映画が終わった頃に私達はケーキを食べる事にした。二人でも食べれるようにカットしてあったケーキは作ったと思えないくらいできが良くて驚いた。しかも味も美味しくて大満足だ。
私はそれから買ったマフラーを渡そうかなと思っていたら結に先を越された。結は紙袋をおもむろに渡してきた。
「これ、プレゼント」
「うん。ありがと。私もこれプレゼントね」
「ありがと」
中身は分かっているけど嬉しくて顔がにやけてしまう。私のプレゼントを受け取ってくれた結は少し中を覗き込んでから自分の荷物の近くに置いた。
「結、中見てもいい?」
「知ってるでしょ中身」
「そうだけど見たいから。見ちゃうね」
プレゼント交換なんてやった事がほとんどない私は開けてみたくなってしまった。子供かと思うが嬉しくて開けないなんてできない。丁寧に包装を解いて出てきた茶色のお揃いのマフラーはとても手触りが良かった。
「これからお揃いだね。大切に使うね結」
「……うん」
「ふふふ。……ん?」
マフラーを出して袋をしまおうとしたら中にまだ何か入っていた。取り出してみると箱に何か入ってるみたいで少し重い。
「それ……ついでに買ってきた……。お土産みたいなものだから」
「そうなの?ありがとう」
お土産って感じじゃなさそうだけど私はとりあえずお礼を言って開けてみた。
「あ、香水?」
「うん…。……よく匂い嗅いでくるし、いい匂いって言ってたから。……私のいつも使ってるやつ」
「え?マジ?めっちゃ嬉しいんだけど」
結と同じ香水って凄いいい匂いでとても嬉しかった。結は前に私が言ったのを覚えていてくれたんだ。香水の蓋を開けてワンプッシュ腕につけると結の匂いがして幸せな気分になる。私はあまりの嬉しさに結を抱き締めた。
「超いい匂い!結ありがとう」
「……別についでに買っただけだっつーの」
結は照れているようだがサプライズで買ってきてくれたんだろう。なんか理由をつけてるけどマフラーと違うブランド名だしこの照れ具合は間違いない。私は結に何度かキスをして強く抱き締めた。
「本当にありがとう結。香水も大事に使うね」
「……お礼言い過ぎ」
「嬉しいんだもん。いっぱい言わせてよ。わざわざ買ってきてくれてありがとう」
「……」
黙ってしまった結は耳を異常に赤くしている。こうやって照れてしまう結も可愛らしい。私は結を少し離すとキスをした。嬉しくて好きな気持ちが溢れてしまう。
「結好きだよ。私のためにありがとう」
「……」
「ふふふ、いっぱいキスしてあげるね」
向き合っても困ったような顔をして照れてしまっている結にもう一度キスをした。
結が嬉しくしてくれるから一度のキスじゃ止められない。お礼と愛情を込めて何度もキスをすると結の顔が変わってきた。結はもう望んでいるようだ。
「もっとしていい?」
とろんとした目をする結に聞いた。すると結は無言で頷いてくれたから私は結の口の中に舌を入れながら激しくキスをした。
こないだは私のせいでできなかったし私も我慢していたから今日は我慢なんてしない。
激しく舌を絡めて吸い付いたり口内の至るところに舌を這わせる。もう結とは何度もキスをしているのにこの感覚は病み付きになる。もっと欲しい。
「結……もう、していい?」
私は唇を離して囁いた。まだ夜でもないのに欲情は止められない。それは結も同じみたいだった。
「うん。……したい」
「じゃあベッドでしよ」
私はベッドに結と一緒に上がった。結の興奮したような顔を見るとドキドキする。すぐ近くにいる結を抱き締めて耳元で囁いた。
「後ろ向いて結……」
「うん」
素直に後ろを向いてくれる結に興奮しながら結の服を脱がしながら体をいやらしく触る。すべすべの綺麗な肌は本当に綺麗で首筋にキスをしてしまう。
「あっ!……い、ずみ……」
「結下も脱いで?汚れちゃうから」
「んっ……泉も脱いで?」
体を震わせる結はこちらに顔を向けて私の手を止めるように手を重ねてきた。その顔は火照ったように赤くて可愛らしい。
「ちゃんと泉の事感じたいから……裸じゃないとやだ」
「うん。脱ぐよ。脱ぐから大丈夫」
もう襲ってしまいたくなるような催促にどうにか笑って答えてから私も服を脱いだ。私が脱ぎ終わる頃には結は裸で胸を隠しながら私に背中を向けていた。綺麗な背中に欲求は高まるばかりだ。
「触るよ結」
私は後ろから声をかけながら片手で結の太ももやお腹を触りながらもう片方の手で胸を揉む。結はそれだけの刺激で体を震わせながら私の腕を弱々しく掴む。
「んっ……手つき……やらしい」
「好きなくせに。……こないだできなかったからその分いっぱいしてあげる」
「はぁ、……あっ!それ……ダメ…」
乳首を弄りながら首筋を舐める。結の太ももを触りながら結の濡れたそこに指を這わす。結は私を切なそうに見つめた。
「……泉、私……すぐ、イっちゃうかも……」
「いいよ。今日はいっぱい気持ちよくさせてあげるから。結も我慢してたでしょ?激しくしてあげる」
「はぁ……んんっ……それは、そうだけど……」
結の濡れた中に指を入れながら少し言い淀んでいる結に尋ねた。
「そうだけどどうしたの?」
「あっ…!…いきなり中……んっはぁ…」
「結?なに?」
私は指を動かすのをやめて感じている結に顔を寄せる。何かを言いかけた結は恥ずかしそうに呟いた。
「ゆっくりしてくれないと……気持ちよすぎて泉の事ちゃんと感じられないから、あんまり激しくしないで?……今日はゆっくりしたい」
気分が高まると私を激しく求めてくるのに結が考えていた事が可愛くて胸が締め付けられる。ゆっくりとなると自制をしながら頑張らないとならなくなるが結のためならできる。
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