1ー2 妖精と精霊の国エレフェア

第5話 妖精と精霊の国〈エレフェア〉

「へー、なんかゲームみたいな画面だなぁ」



ルゥに教えてもらったとおりにすると劉のステータス画面が現れた。そね画面はゲームでよく見る画面とそっくりだった。


「げぇむってなに?りゅーの世界の遊び?」


ルゥには自分が違う世界から来たと言ってある。言わないと色々面倒だったのだ。


「ルゥの住んでるとこってどんな所なの?」


劉とルゥは森の中を歩いていた。ルゥは飛んでいるが。


「えーと、簡単に言うとたくさんの妖精と精霊がいるの」


「妖精はルゥみたいなのがいっぱい?」


「うん、そうだよ〜」


「精霊はどんな見た目してるの?」


「精霊は下級精霊と中級精霊と上級精霊に別れてるんだ。下級精霊は目には見えないけどそこらじゅうにたくさんいるの。数が一番多いな〜。で、中級精霊は声は聴けるんだけど見える人は稀なんだよね〜。最後が上級精霊で姿が見れるのが一番の特徴かな。そして一番数が少ないし、人里とかには行かないんだ」


「なるほど〜。妖精にはそういうのないの?」


「ないよ〜。王様がいるぐらいかな」


「やっぱり王様とかいるんだ」


「いるよー。エレフェアは妖精と精霊の王様二人いるの。他の三つの国にもいるはずだよー」


「へぇ〜」


そんな話をしていると森の空けた場所に出た。


「着いたよー」


「……なんにも見えないけど」


「今から『入口』出すから待ってて」


ルゥがなにやら呟いている。劉にはそれがなにか分からなかった。


しばらく経つと徐々に目の前に歪みができてくる。その歪みは大きくなって穴になった。


「ここを通ればエレフェアだよ」


「エレフェアって隠れた国なの?」


「人とか魔獣に襲われないように隠れてるのは確かだけど、国じゃなくて里なんだよねー。人間達が勝手に国って言ってるだけだし」


「そうなんだ」


「とりあえず行こっ」


「う、うん」


劉は目の前の穴をくぐる。通った先には美しい自然があった。


「すご……」


見える先にあるのは全てが木だった。風が吹く度に全ての葉がざわざわと揺れる。その光景は神秘的だった。


「ぼーっとしてないで行くよー」


「あ、うん」


ルゥが立ち止まっている劉に声をかける。我に返った劉はルゥのあとを追いかける。


しばらく歩いていると劉は色んな視線を感じた。周りを見ても誰もいない。


「ねぇ、なんか視線を感じるんだけど……」


「人間がここに来るのは珍しいからねー。ま、危害なんて加えないはずだから安心して」


「それならいいんだけど、なんで姿が見えないの?」


「妖精や精霊って普段は姿見せないんだよねぇ」


「なんで?」


「同族以外と接したくないんだよ。昔色々あったみたいだから」


「はー、なるほどー」


そんな感じで視線を浴びながら歩いているとルゥが止まった。


「ここがわたしの家」


「……家、なの?」


ルゥが言った家は劉にはただの大きな木にしか見えなかった。


「むぅ、失礼な。中はちゃんと家だよー」


「ご、ごめん」


「まぁ、いいや。入って入って」


「どっから入るの?」


「そのまま進めば入れるよ」


「わ、分かった」


劉は恐る恐る木に触れた。すると劉の腕が木の中に入った。劉は驚きながらも中に入る。


「すご……」


木の中は確かにちゃんとした家だった。劉が入ったとこが広間なのかテーブルとソファが置いてあるだけだった。


「人間だー」「珍しいー」「どうやってきたんだろー?」「またなにかされるんじゃない?」「えー」「連れてきたん時よゃないのー?」「誰がー?」「さあ?」


劉が珍しいのか、家にいる妖精達が劉を見ながら次々と話している。|上の方から(・・・・・)。


「連れてきたのはわたしだよー」


ルゥが上に飛んでいってなにやら話している。しばらくするとルゥが戻ってくる。


「りゅー、ごめんねー」


「いや、全然気にしてないけど、どうしたの?」


「みんながお母さんに話せって言うんだ」


「お母さん?」


「うん。わたしのお母さん妖精の王様なんだー」


「ええっ!そうなんだ」


ルゥが言ったことに驚きを隠せない劉。


「そんな驚くこと?」


「そりゃね、びっくりしたよ」


「でも、お母さんっていつもどっか行ってるからどこにいるか分かんないんだよね〜」


「それじゃ、僕はどうなるの?」


「ん〜、探しに行くしかないかなぁ」


ルゥがそう言うと突然声が頭の中に聴こえてきた。




『その必要はありませんよ』




「だ、だれ?」


「お母さんだ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る