エリカ
萩華
第1話
真っ暗な空にクリスマスツリーが輝いている。
ああ、そういえば明日はクリスマスだったなあ
手を繋いで楽しそうに歩く恋人たち
クリスマスっていう一大イベントだっていうのに、それにすら気づかないなんて
俺はいつの間にこんなにも周りに興味を持たなくなったんだろう
そっか、君がいなくなってからだ___
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ちょうど二年前の今日。
君はいなくなったね
俺にはどうすることもできなかった。
いや
あの時もう少し君に寄り添えていたら変わっていただろうか。
君の言葉を受け止められる心を持っていたら、君の目を見れていたら、まだ俺のそばにいたのかな。
二年前
本を読んでいた君は俺に言った。
「ねえ? 私と一緒に」
「心中しよっか」
その時の俺には重すぎる言葉だった。
「、ごめん 今日はもう帰るな」
俺は驚きを隠せず、思わずその場を離れてしまった。
「そっか、そうだよね笑」
笑っている、だがどこか悲しげに見えた
次の日。
クリスマスだからと俺は高いレストランを予約して、君にプレゼントも用意していた。
いつも通り君を迎えに家に行った。
でも君はもういなかったね
" ごめんね 大好きだよ "
そう書き残されているのを見て
どうすることも出来ず、立ち尽くしていると
君の母親から電話がかかってきた。
「あの子が 死んだ__」
それからはよく覚えていない
涙すら流していなかったと思う
最後に君の口から発せられた
「心中」
にはどんな思いがこもっていたのだろうか
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あれから二年か
君はクリスマスが好きだった
君の好きなクリスマスには
君の好きなエリカの花をプレゼントしていたね
毎年クリスマスになると
君の綺麗な横顔を思い出す
俺は今日も
エリカの花を抱えている
俺はまだ君が好きだよ?
君はどうだったのかな
最期まで俺を愛してくれていただろうか
" うん 大好きだったよ "
雪が降り始めた
真っ白なクリスマスイブの空から
そんな声が聞こえてきた気がする
二年経った今も
俺はまだ泣いていない
君はそんな俺を許してくれるだろうか
まだ俺は
君を愛していてもいいかな___
エリカ 萩華 @fm_lvvv
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