第4話

女神様と異世界への就職の面接を始めることになったのだが、さて、何から聞こうかと女神様を見れば、なんでも聞いてくださいと言って微笑む。




「えっと、まずはそうですね。女神様の世界ということなのですが、言葉はどうなっているのでしょうか?自分は日本語しか話せませんが」




「私の世界の言語はいくつか存在していますが、そこはよくあるお話のようにどの種族とでもお話できるようにしますよ」




「どの種族ということは人間以外の種族がいるのですか?」




「そうですね、貴女はゲームなどはされるの?」




「RPGとかそれなりには、いまはスマホゲームが主流ですが」




「なら、ドラゴンとかエルフとかはわかりますか?」




女神様の言葉に、ファンタジーな世界なのかな?とちょっと年甲斐もなくドキドキしてしまう。




「物語の中でという意味ではわかります。」




「その知識で大丈夫ですよ。貴女の世界でいう物語の中の種族が私の管理する世界には存在します。そして、魔法や魔物というものもありますよ」




「魔法、ということは危険ではないですか?」




「そうですね。争いもありますので、ただ、私の管理する世界にわざわざ来ていただくのです。身の安全は保証いたします。神である私の力で貴女方に加護を与え、傷一つ負わせません」




経営していただくお店も、危害を加えられても大丈夫なように店自体に加護をかけますよと女神様は説明を付け足す。




「もし、国自体が戦争に巻き込まれたり、危険としか言えない状況になった場合は事前に連絡をしますので、別の平和な国に転移していただくのでそこも安心してくださいね」




つまり、フォローはバッチリするぞ、と。




「では、終業時間なのですが、どれくらい働けばよろしいのでしょうか?」




「貴女の働きたい時間でいいですよ。1日3時間とかでも構いません。


ただ、貴女のいる世界と私の管理する世界では時間の流れが違うのです。


貴女のいる世界で5時間が経つとしましょう。そうすると私の管理する世界では5日が過ぎるということになります。でも、それでは不便でしょう?なので、そこは神である私が少し手を加えようと考えています。」




「それはどのように?」




「たとえばですね、貴女の世界で1日5時間、働いてもらい、実際は私の管理する世界で5日過ごしてもらいます。そして、5日過ぎたら一度、貴女の世界に戻ってもらい、2日休んでもらいます。そして、再び貴女の世界で5時間、私の管理する世界で実質5日働くと


ただし、その間に時間はかなり過ぎてしまいますので、私が手を加え、私の管理する世界では貴女が5日働いて、2日、休んだということにします。」




女神様の世界では一週間のうち、5日働いて2日休むと、実際の私のいる世界では5時間働いて連休2日がるということは一週間のうち週休4日ということか。




「では、たとえば、女神様の世界で一週間、つまり7日過ごすとして、その七日間の間に休みを間に2日入れて、というのもいいのですか?」




つまり、月、火は仕事、水曜は休み、木、金、土は仕事、日曜日は休みみたいなね。


で、日曜日に元の世界に戻って、2日か3日ゆっくり休んでという感じでと説明をつけて足す。




「ええ、かまいません。その場合ですと、7日目に貴女の世界に戻り、数日、ゆっくり休んでいただいて改めて、私の管理する世界の8日目に戻るという形にした方が良いかもしれませんね」




「そうですね、その方が自分にはいいかもです。」


「では、そうしましょう。お給料はそうですね。これくらいではいかがです?」




そういって女神様が電卓を取り出し、そこに数字を打って見せてくる。


その金額にびっくりする。


今の自分の給料よりはるかに高い給料だからだ。




「えっと、お給料はあの、問題ないのですが。自分のいる国では雇用保険とか色々支払った方が安心なのですが・・・」




「ええ、それはきちんと聞いていますよ。


なので、そういった諸々の諸経費を引いて、手取りでこの金額です。


年末調整というものも任せてくださいね。それと、ご家族が貴女の仕事に対してきっと疑問を抱くでしょうから。そこも神の力で納得させますので安心してください。


あとは、そうですね。もし、貴女がご家族やご友人に協力していただきたいということになりましたら事前に言ってくだされば、貴女と同じ待遇で私の管理する世界に受け入れますので、必要とあらば相談してくださいね」




その女神様の言葉に、なんというか、至れり尽くせりだなと思ってしまう。


しかし、自分に対していいことしかないというのも、なんというかそれはそれで不安になってくる。


なにか、絶対に不利益になることがある。


なので、素直にデメリットはないか聞いてみる。




「そうですね、あえて言えば、魔物もいて、戦争もあって、危険が隣り合わせの世界に来ていただく、それが一番のデメリットでしょうね。


ただ、先ほども言った通り、私の力を使い、貴女の安全は保証します。


そして、さまざまな種族が存在します。あなたにとって、苦手な種族もきっといるでしょう。


それにより、気分を害してしまうこともあるかもしれません。




元の世界に戻れる、これは私が保証します。ただ、神の力に干渉するものがまれに現れます。それにより、一時的にあなたの世界に帰れない不測の事態が起こる可能性も捨てきれません。」




「そうですか・・・でも、一時的ということは、問題が解消すれば戻れるんですよね?」




「ええ、戻れます。」


「あと、女神様の世界で過ごすと元の世界で過ごすより、時間が過ぎますけど、その場合歳を一人だけ取ってしまうということがあるのでは?」




「大丈夫です。あなた自身の時間はあなたの世界での理によって進みます。


なので、私の管理する世界でどんなに長い時間を過ごしても、一人だけ歳をとって、いきなりおばあさんになるということはありませんよ」




ならば、やって見てもいいかなという気持ちになってくる。


ただ、向き不向きもあるので、とりあえず




「試用期間とうことで、とりあえず3ヶ月。やってみるというのもいいですか?」




「ええ、もちろんです。」




でもきっと、あなたなら気に入ってくれそうですけどねと微笑む女神様にわかりませんよ?と返事をして、とりあえず、女神様の世界に就職することに仮決定しました。








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