第2話 拝啓、はやいって

 拝啓、マイホーム失敗人間様

 私の名前は、山縣 徹 です。40歳にして念願のマイホームを購入しました。閑静な住宅街の一角に一戸建てを建てることが出来ました。ずっと、賃貸マンション暮らしで、この度、妻の希望もあり、家を購入することにしました。住宅ローンは長めですが、これから頑張っていこうと思います。駅からやや遠く、木々が生い茂る大きな公園が近くにあり、ここで子育て出来る事に妻も喜んでいます。ご近所様は、年配の方がやや多いですが、その分夜は静かでとても気に入っていました。

 引っ越しして初めてのゴミ出し日、出勤前にゴミを持ってゴミ捨て場に行きました。ゴミ出し場所はうちの目の前なので、マンション暮らしの時よりも楽かなっと思っていました。そこで見た光景は、カラスなどの小動に荒らされたそれは無残なゴミ捨て場でした。大きく広がる生ごみ。それが風に流され収集がつかないほど広がっていました。妻が見兼ねて、片付けました。その日は、私はそのまま出勤していきました。うちのゴミ出し日は、水曜日と土曜日。8時までには出してくださいと書いてあります。土曜日、朝8時前にゴミ出しに行きました。ご想像の通り、そこには悲惨な状況が広がっていました。今日は風が強く、私の家の駐車場にまでゴミが散乱していました。その日は私が休みでしたので片付ける事にしました。そして昼頃、まだ回収に来ません。片付けたゴミもまた荒らされています。やや悪臭も漂い出した頃、ようやく回収に来ていただきました。次の水曜日、土曜日、水曜日毎回このような状況が続きます。カラスネットを自腹で購入し、被せるも、隙間から荒らされる日々。そう、ここはゴミ出し場所が荒らされるところだったのです。

 自然が広がるこの地域では、小動物に荒らされるのは致し方ないのでしょう。しかし、私がどうも気になるのは、ゴミの出す時間です。夜からゴミが出ている事はないのですが、朝日が出るころには既にゴミが出ています。この地域のゴミ回収は昼頃にしか来ないので、早めに出す必要はない気がしますが、なぜか朝早くゴミを出される方がいます。朝早く出されるのならば、荒らされないような対策をしてほしいところですが、置いていくだけで対策はされません。妻は、注意するとご近所トラブルになるのが嫌だと言うので、最近はゴミ出し日は日が昇ったら、ゴミ捨て場に行き、網を隙間なく被せたり、荒らされたゴミを片付けたりしています。水曜日と土曜日は、朝四時起きでゴミを片付けています。

 家は、環境も購入するという事を私はすっかり忘れていました。購入する際に、完全にそのことは気にしていませんでした。完全に私の失敗です。

「お願いします。せめて土曜日だけでも朝早くゴミを出さないでください。」

そう叫んでしまいそうになる自分と日々格闘しています。

 マイホームを購入する人たちへ

「ゴミ出し場所は、購入前にチェックしに行かれた方がいいです。カラス等に荒らされているゴミ出し場所がある地域での購入は少し立ち止まって考えた方がいいです。ゴミの出し方を少し考えるだけで、その地域が綺麗になるのに、それすら考えれない方々が暮らされている可能性があります。ご近所様が気持ちよく暮らせるために、自分は何ができるのか?そんな性善論はもう日本には無いのかもしれません。」

 今日もカラスの家族は、朝早くから活動中です。


敬具


 

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