heart 16. DIANA'S STORY in 1991


1991年 弘樹は、イギリスに留学し、その際、ヨーロッパを、ユーレイルユースパスで、1周する試みをした。

 イタリア・ドイツ間の夜行列車のコンパートメント(椅子のある部屋)で、弘樹とダイアナ妃は、ダイアナチルドレンの仲介で、会って話をした。

 二人は、いくつかの話をした。その中の、ビートルズの話をした1節である。



静寂の中、弘樹は、静かに声を出した。

「ダイアナ妃は、ビートルズの曲では、何が1番、好きなんですか?」

と、弘樹は、ダイアナ妃に聞いた。

ダイアナ妃は、静かな瞳で、少し間をおいて、こう言った。

「strawberry fields forever」

と、ダイアナ妃は、静かに答えた。


「僕は、the long and winding roadです」

と、弘樹は、言った。

そう言うと、弘樹は、静かに歌いだした。


♪ the long and winding road , it leads to your heart.

I love you Princess diana.

Even if it’s an unforgiven love. ♪


と、弘樹は、静かに、自分の思いを込めて、ダイアナ妃に、The long and winding roadを、歌詞を変えて歌った。

 ダイアナ妃は、喜びの笑みを浮かべて、大きく拍手をした。

「You should be a singer.」

と、ダイアナ妃は、満面の笑みを浮かべて言った。

「 your second son should be a singer」

と、弘樹は、たどたどしい英語で言った。

「I hope it」

と、ダイアナ妃も、おどけた笑顔で言った。


「あなたは、私に何かしてほしいことある?今の歌のお礼に、あなたが望むことをしてあげるわ」

と、ダイアナ妃は、弘樹に、温かい瞳で言った。


「えー。本当ですか?」

と、弘樹は、考え込むと、ふと、思い浮かんだことを、口にした。

「ビートルズのロンドンでの屋上ライブを再現してほしいです。ビートルズをロンドンに呼んで、ビートルズのビルの屋上ライブをやってください。僕は、それをビルの下からみたいです」

と、弘樹は、ダイアナ妃に言った。

「impossible , now they are in america」

と、ダイアナ妃は、残念そうに言った。

「ダイアナ妃ならできますよ。ダイアナ妃から、声がかかったら、ビートルズも喜ぶと思います」

と、弘樹は、少し声を強めに、興奮気味に言った。

「あなたは、やる人です!絶対にやってくれます!!あなたに、無理なことはない!無理と思ったら、全部無理になります!あなたなら、やれます。あなたは、やる人です!」

 そんな弘樹の、急ぐような語りに、

「やれるだけ、やってみるわ…」

と、ダイアナ妃は、少し、困り気味に言った。

「やったー!!」

と、弘樹は、両手を挙げて、声を上げた

それを見たダイアナ妃も、満面の笑みを浮かべた。

「I will do the best for you」

と、ダイアナ妃は、楽しそうに言った。

「no, no, for peace of the world」

と、弘樹は、高いテンションで、ダイアナ妃に言った。

「for peace of the world」

と、ダイアナ妃は、笑顔で、首を大きく縦に振って、弘樹と固い握手をした。


「ビートルズのロンドンでの屋上ライブを見たとき、いつか、ビートルズに憧れた日本の女の子とかが、ロンドンの屋上でライブする映画とか撮れるといいなって、思ったんですよ」


「So do i」(私もそう思うわ)

と、ダイアナ妃は、静かに微笑んでうなずいた。

「そんな、ロンドンの屋上でライブをする、日本とイギリスの懸け橋となる子が、近い将来に、日本から出てくるといいですね」

と、弘樹も、ダイアナ妃の微笑みに応えるように微笑んで言った。

「きっと、近い将来に、期待の天使が現れるとおもいますよ。」

と、弘樹は、静かに微笑みながら、静かに言った。

「その子は、まだ、産まれていない。きっと、これから生まれるでしょう。21世紀の希望になると思います。」

と、弘樹は、目を輝かせて言った。

ダイアナ妃は、弘樹の瞳をそっと見つめて、頷いた。


少しの静寂が、コンパートメントを包んだ。


暖かく優しい白い霧がかかるような空間が、感じれた。


その空間は、間違いなく、希望のあふれる21世紀に続いていた。







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