想像力について
魅力的でリアリティ溢れる人物像も創造できた、緻密で鮮やかな世界を描写することも出来るようになった。でも、ホラー小説を書くにはそれでは足りないですよね。私小説ならいざ知らず、あなたが「ホラー小説」を書くなら想像力が重要です。だって、現実にない話を生み出すんですから。血の通った人物達が動くリアリティのある世界を舞台に想像力で物語を創造する。
でも少し考えると矛盾していますよね。だって「リアリティのある非現実な虚構の世界」なんですから。
あなたが創造しようとしている恐怖の物語の
恐怖を抱く対象は具体的には死や暗闇、超自然の存在、不穏な人間の心のなど様々な対象がありますが、突き詰めていくと「未知のもの」になるのではないでしょうか。かつては原因が分からず恐怖の対象だったものが科学の光により原因が解明され、恐怖や畏怖の対象から単なる将来に起こりうる不安へと堕とされてきました。
あなたの未知なる恐怖はなんでしょうか。そしてそれはどうやって想像しますか? あなたは死を体験したことがありますか? 意識が闇に溶けゆくその瞬間を。体験したことも無いのに他人の死の描写をなぜリアリティがあると思うことができるのでしょうか。 幽霊・怪物などの
本当の死の恐怖を体験してみたいと思いませんか?
どのような死があなたの物語には必要ですか? 温かい血が体から抜けていく感触を文章で読んだ時に「これは真実なのか?」と疑問に思ったことはありませんか? 死の直前に過去の記憶が走馬灯のように頭の中を駆け巡るというのは本当でしょうか?
或いは人を殺してみたいと思いませんか?
筋肉がブツブツと切断される感触をあなたはリアルに描けますか? 返り血の吹き出す様をあなたは本当に知っていますか?
異常者を、快楽殺人者をこの目で見てみたいと思いませんか? 彼らがどんな表情で人を殺すのか、どんな言葉を発するのか知りたいと思ったことは? 彼らの思考を覗き込みたいと思ったことは?
人を呪い殺す幽鬼はどんな姿をしているんでしょうか。生涯消えることのない悪夢を見ることになった人間は正気でいられるんでしょうか。狂ってしまうんでしょうか。
ねえ、ねえ。
……そんな顔しなくても大丈夫ですよ。これは「小説の書き方の小説」。そしてあなたは小説を書いてみたい人。体験しないと書けないなんてナンセンスです。これは己の想像力の限界ついて真摯に向き合うことの重要性についてのお話ですから。
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