雲電車

kutsu

雲電車

うさぎの家族は丘の上の大きな木の前で待ちます。

ひさしぶりの旅行です。

お父さんのロジオンが腕時計を見てみんなに確認します。

「もう来る頃だよ。切符は持ってるかい。」

子供たちがお父さんとお母さんに切符を見せていると、音もなく雲電車がすーっと目の前に止まりました。

「やあ。こんにちは。」

お父さんは運転手に声をかけます。

つづいてお母さんと子供たちもあいさつをしました。

「やあ、こんにちは。」

お父さんは運転手に声をかけます。

つづいてお母さんと子供たちもあいさつをします。

「こんにちは、今日は良い天気ですね。乗車券を拝見します。」

運転手はそう言うとみんなの切符にパチンパチンと雲型の穴をあけました。

車内にはすでに何人か乗っています。

うさぎの家族は空いている席に向かい合わせに座りました。シートは見た目どおりふかふかです。

子供たちは初めて乗る雲電車に興味津々です。

運転手の発車しまーすという言葉のあと、すーっと動き出しました。

雲電車は空を進みます。

街の上、山の上、湖の上、

しばらくすると運転手のアナウンスがながれました。

「雨をふらせまーす。」

うさぎの家族が窓から下を見ると、雲電車からは雨がふり、その雨は畑をぬらしていました。

またしばらくすると、

「虹をくぐりまーす。」

というアナウンスがながれました。

雲電車は虹へむかいます。

子供たちは窓から身を乗り出して大きな大きな虹を見て大はしゃぎです。そして虹の下を通る時には二人の頭にきらきらとした虹の粉が降りました。

雲電車は気持ち良さそうに空を走ります。

またしばらくすると、

「夜に入りまーす。」

というアナウンスがながれ景色は月と星になりました。

雲電車は月へむかいます。

月に停車すると運転手は、まんまるい月をその日のかたちにきれいに切る仕事をしているネズミのトマと話しをしていました。うさぎの家族がそのトマに手をふると、にっこり笑って手をふりかえしてくれました。

雲電車は月を出発します。

たくさんの星のあいだをスイースイーと進みます。

そのうちうさぎの子供たちは眠ってしまいました。

お父さんお母さんも眠りました。

次の朝、子供たちはお母さんの

「もうすぐ着くわよ。」

という声で目を覚ましました。

そして窓から外を見ると、青い空と地上には見渡すかぎり花畑が広がっていました。色とりどりの花のにおいが空でも感じることができます。

「もう少しでうさぎの花畑に到着しまーす。」

というアナウンスがながれると、雲電車は花畑の中に建つかわいらしい家をめざして少しずつおりていきます。

大好きなおばあちゃんはもう家の前で手をふっています。

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雲電車 kutsu @kunimitsu0815

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