おふれ

それから、10年もの年月が過ぎました。

王子も姫もすっかり大きくなり、そろそろ王になる時期でした。

でも、あの時画商が売った絵は、まだ残っています。

王子と姫の一番のお気に入りですから。

そして、その作者の絵がもっともっと欲しくなりました。

ちょうど、1ヶ月ほど前、「この絵の作者には、賞金を払い、王家専属画家の地位を与える。」と、おふれを出しました。

画商は、あの時以来王様にすっかり気に入られて、可愛い子供に囲まれて、幸せに暮らしていました。

女の子は、もう大人になって、立派な絵を描いて暮らしていました。

女の子のお父さんの絵は世間から認められ、お父さんはとても有名な画家となりました。

でも、女の子はそれに負けず劣らず絵の腕がいいのです。

そして、ある日絵を買った男の人に――

せんべい屋の男の子は、美味いせんべいを作ろうと、何年も何年も努力して苦労して、やっと満足するせんべいを作る事が出来ました。

今では、大繁盛。値段は昔と変わらないのに味は大違い!

それでも怠けず、しっかりと商売をする店長は町の人気者です。

そして、あの絵を描いた男の子は――


王子がおふれを出してから2ヶ月経ちました。

しかし、作者は見つかりません。

それもそのはず、だって男の子は知る由もありません。

何故かというと――

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